うたたね日記

アニヲタ管理人の日常を囁いております。

H&B 第3話

2015年10月26日 20時09分29秒 | ノベルズ
一体相手はどういうつもりでカガリの下駄箱にそれを置いていくのだろう。目的がはっきりわからない。しかも願い事の可能条件が何も書いていないのだ。そこだけ空白。
何か善行をしたわけでもない。今日あったといえば、遅刻しかけたことと、委員会の担当だったというだけ。それ以外変わったことなどない。
誰かとカガリの下駄箱を間違えている節は十分考えたが、それでも疑問は残る。下駄箱にはクラスと名前がちゃんと書かれている。いい加減同じ間違えに気づくはずだろう。
「それに…」
何故だろう。どうにも捨てられないのだ。気味が悪ければ、さっさと捨てればいいだけなのに、どうしても気にかかって捨てられない。

そしてもう一つ、気にかかること。
アスラン・ザラのことだ。
偶然として気持ちの中では片づけたが、何故か気になってしまう。図書館のことだけではない。朝教室に入るとき、彼がこちらを見ている気がする。
親衛隊をかき分けていくのは何時ものことだが、部屋に入ると彼はどことなく安心したような表情をするのだ。無論、毎日彼を見ている訳ではないから断定はできないが、今日図書室で会った時と、同じ表情をしていたように思えてならない。

二つの不思議を抱えたまま、カガリはベッドの中で悶々と渦巻く気持ちを打ち消すようにして毛布を頭からかぶった。

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H&B  第2話

2015年10月26日 20時01分06秒 | ノベルズ
「カガリ、何、そのカード?」
放課後、カードをつくづくと眺めていたカガリにミリアリアが声をかけてきた。
「あ、ミリィ。今朝下駄箱で見つけたんだけれど…ミリィはこのカードに何か見覚えあるか?」
「う~ん…『商店街の買い物のスタンプラリー』という文面じゃなさそうね。」
つくづく眺めてミリアリアも思考を巡らせてくれている。
「そっか…誰か間違えて、私の下駄箱に入れたのかもしれないと思っていたから、大事にしまっておこうとは思うんだけど。もし、ミリィも探している人を見つけたら、教えてくれないか?」
「うん、それは大丈夫。…それよりもカガリ。もう委員会の時間じゃないの?」
ミリィに促されて時計を見たら、もう15時30分。
「やばっ!遅くなったら怒られる!ミリィ、サンキューな。今日は先に帰っていてくれ。」
「うん、わかった。頑張ってね。」
ミリアリアが手を振りながら、飛び出していくカガリの背を見送った。

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