亀の川登

難聴に苦しむ男の日記帳。

写謡 俊寛

2020-10-23 | 能楽
俊寛のカセットテープを引っ張り出したら、平成4年の氷室会のテープが出てきた。私は成経の役で謡っていた。出番頻度は一番少ない。聴いていると出演者の中で一番ヘタクソだった。先生は気を利かせて出番の少ない役を当てたのかもしれない。当時はまだ教室での発表会で能楽堂ではなかった。なのにパラパラと拍手の音がしていた。自分たちの謡いに手を叩いているのです。それでも気持ちがよかった。
みんなと一緒に謡う所は多くあるが一人で謡う部分は殆どない。
俊寛の稽古順は初伝奥の分と書いてある。かなり難しい謡のようだ。
下段に曲趣と言って謡い方を細かく指示している。どの曲にもあるのだが、こんなに多く指示がある曲は珍しい。それだけ難しい曲ということか。

謡には突然関係のない中国の話が出てくることがある。
黄色く塗った部分が中国の話。古典に詳しくない私はこんなのが出てくると混乱してしまいます。
都から使いが来て、天皇の妃がおめでただからと赦免状を持ってきたという。
これでやっと都に帰れると喜んでいたら、そこには俊寛の名前がなかった。他に2人と同じ罪で流されたのに何で自分の名前がないんだろう。どこかに名前がないだろうかと書状の隅から隅まで探したがどこにもない。俊寛一人が島に残こることになった。
せめて向こう岸迄でも乗せて行ってくれないかと頼んだが冷たく引き離された。今まで3人にいたからなんとか暮らせたが一人ではとても暮らせない。
私も気が小さい方だからすぐ仲間はずれにされてしまう。いつも一人ぽっちになって寂しい思いをしたものだ。俊寛ほどでもないが彼の気持ちがよく分かる。
先日、ある人から電話があった。彼女は片目が全然見えず残ったもう片方の目もかなり悪いと話ていた。「あんた、新聞の字読める? 私は見出ししか読めないの、それもやっとなのよ」。外見からはそんな様子は少しも感じないけど。外見からは分からないけどそんな人もいるんだなと耳の悪い私はどこか救われる感じがした。毎朝数人の仲間と一緒に山登りをしているが、皆楽しそうにおしゃべりしている。私には、その話の内容がさっぱり分からない。だからいつもさっさと先に行ってしまう。みんなと一緒に歩けないのだ。
ネットサーフィンしていたら、NHKの「チコちゃんに叱られた」という番組で間違ったこと言っていると、指摘があった。「ギョウザ」の漢字が間違っていると出演者が叱られていた。ギョウザは「食」ではない。「𩙿」だという。
それは間違っている、どちらを使ってもいい。NHKは公共放送で受信料を取っているのだからもっとよく調べてほしいとのことだった。
謡本には今は使われない古い字がよく出てくる。私はそれを出来るだけ忠実に
書いている。謡本は昭和の初めに改定して以来戦後になっても改定せずにそのまま発行されている。能は普通の芝居と違って古典を大切にする出し物だ、新しく書き変えると伝統の意味が失われてしまう。ということなのだろうか。私も出来るだけ忠実に表現をするようにしている。現代の文字にしてしまうと価値が無くなってしまうような気がする。パソコンで打ち込んでいるので、コンピュータ―にない文字は仕方ないが、其の為随分昔の字を覚えた。
 
毎朝ラジオ体操をやっている、体育館の隣にリンゴ園がある。大分赤くなってそろそろ収穫しないとカラスに食べられてしまうよ。もう頭のところがかじらてているよ。

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