Action is my middle name ~かいなってぃーのMorrisseyブログ

かいなってぃーのMorrissey・The Smithsに関するよしなしごと。

It's the 62nd birthday of Morrissey, the greatest singer~モリッシーはなぜエイサップ・ロッキーとコラボしたのか

2021-05-22 13:00:08 | 『お騒がせモリッシーの人生講座』

本日は、モリッシーのお誕生日です。このブログでモリッシーの誕生日祝い投稿をするのも、今年で10回目!!

心より…

お誕生日おめでとうございます!

 

最近のモリッシーはと言うと、シンプソンズに「酷似」キャラの登場や、

エイサップ・ロッキー新作『オール・スマイルズ』に参加とのニュースがありました。

エイサップは、大ファンであるモリッシーと1年にわたってリモートでコラボ、

『オール・スマイルズ』の楽曲に取り組んでいるとか!

モリッシーがこの新作でプロデュース・ヴォーカル、そして「作曲」をしているとな!!

作曲というのは…モリッシーが曲をつけた歌を、エイサップに送ってくるのか??

 

友人のアギオ君は

「モリッシーの曲の作り方ってラッパーぽいよね。インストを聴いて歌詞とメロディーを作る

と言ってましたが鋭い。

 

エイサップ・ロッキーはかつてより、スミス、モリッシーファンであることを公言していましたね。

2018年の前作の段階で、モリッシーと「エモでリアルでレトロみのある」ものを作らなきゃと願望を言っていました。

さすがアズスーンアズポッシブルASAP、有言実行!!

 

今回エイサップは、

「モリッシーにやってもらう必要があったやつには参加してもらって、やってもらうだけだったよ」

とも語ってます。

新作でモリッシーがどんなエモでリアルでレトロみのあるからみを見せるのか…

モリッシーが全面協力だった模様のこの新作、楽しみです!!

 

ところでなんで今回、モリッシーはエイサップ・ロッキーに協力!?

ある友人からは「え!?モリッシーってラップとか嫌いなんじゃないの?」とも聞かれました。

確かに2015年『ラリー・キング・ライブ』に出演した時のインタビューで

 

「声がいつも同じなんでラップは好きじゃないけど、そこにこめられた社会的な感情はとても好きだ。

彼らの言っていることは好きなんだけど、繰り返しの音が好きじゃない」

と言っていました。「声」にこだわっての好き嫌いなだけで、アティチュードが嫌いなわけではないとわかります。

 

モリッシーはエイサップの「社会的な感情」にとても共感したからやったんだと思います。

そして実はエイサップは・・・ここが大きなポイントだと思うんですけどヴィーガンなんです。

気に増す、モリッ試験合格の納得み!!

 

ヴィーガンと聞くと、「ファッションかな?」な~んて最近は思ってしまいますが、2019年リリースの「Babushka Boi」

 

(ビジュアル怖すぎる・・・)

の歌詞でも「I became a vegan」と、誇りを持って歌っています。

 

A$AP Rocky - Babushka Boi (Official Video)

 

「バブーシュカ」ってロシアの「おばあさん」の意味で、「大きなかぶ」の絵本なんかでもおばあさんはスカーフみたいのつけてましたよね。あのスカーフを「バブーシュカ」と言うんですけど、エイサップもよく頭に巻いてます。この歌で、それは単なるファッションでなく、15歳の時発砲されて残った左頬の傷を隠すためだと判明!!筋金入り・・・。MVでは警察をあざわらうような強盗劇を見せ、このアクティブな「対:警察」アティチュードもモリッシーの「いいぞ」ポイントなのでは?

 

2012年のインタビューでは

「鶏がどうやって扱われているか調べてみ。拷問みたいに加工されてく。ステロイドなんか注射されて」

とコメント。これ、モリッシーのセリフかって感じですね。

2015年のインタビューでは

「俺は肉を食べなくなって、もう4年。チキン、ポーク、ビーフ、ターキー、全て。魚は食べる、ペスクタリアン」

とコメント。そこからどんどん進んでいったのか…、2019年にはヴィーガンになり、それが誇らしい模様。

 

冒頭に少し書いた「シンプソンズ事件」。問題の「シンプソンズ」は、登場人物のリサが本物のクウィルビー(きれいなモリッシー酷似キャラ)を見るために「ザ・スナフズ」(スミス酷似バンド)のコンサートに行くと、実物はガサツで、ヴィーガンではない外国人フォビアの男(きたないモリッシー酷似キャラ)であった、というエピソードです。

「きたない酷似キャラ」を登場させるのはさておき、差別主義者という汚名を揶揄するのはさておき(それもひどいけど)、「ヴィーガン」であることはその人たちにとっては、哲学でありアイデンティティーであり矜持であり、そこをイジるのは、セクシャリティや人種いじりに匹敵するほどの、「いじめの極致」だなあと思います。でぶなモリッシー酷似キャラがステージで肉サンドがぶりは、ひどすぎ。案の定、モリッシーも、マネージャーのピーター・カトゥシスも激おこしていましたよね。

 

特にカトゥシスは、レイシスト扱いについて

「最新のシングルではモリッシーはテルマ・ヒューストンと共に歌い、ジェイムズ・ボールドウィンの支持者で、自身のバンドに3人のラテン系を含んでいる。そんな彼がなぜレイシストと呼ばれなければいけないのか、理解に苦しむ。根拠はどこに!?」

とコメントを出していました。昨今の事件や評判も影響してか、モリッシーは5月19日、自身のサイト“Morrissey Central”で、Morrissey’s International And Diverse Appealとして世界のモリッシーファンによる自曲カバー動画などを紹介。

自分がいかに国際的で多様なファンに受け容れられているか、また自分も「多様性」を支持していると打ち出しているのでしょうか。手を替え品を替え、黙っていない・・・。

 

そんなこんななモリッシー界隈事情。うんざりなものも多いですが、私たちファンが今できることって、「また悪口言われてるよ…」とちょっと心を痛めつつ見守ること以外にもあるんじゃないかな。

モリッシーが戦っているものって決して「酷似キャラいじめ」とか「悪口」いうちっぽけなものじゃなくて(それにもいちいち怒ってるけど)、私たちをとりまいてる問題とかバイアスとか、人間をそうさせてるこの社会とかシステムとか、そういうデカいムカつくものなんだと思います。

「今世界を覆う、デカいムカつくものって何」「自分はそのことをどう考えるか」など、いつまでも元気に、歌って、しゃべって、怒って、気づかせてほしい、そうしみじみ思う誕生日でありました。

 

エイサップのも待ち遠しいけど、ご自身の新作(なんか着々と作ってるという話もアリ)が待ち遠しい~

ハッピーバースデイ!!

 

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