Action is my middle name ~かいなってぃーのMorrisseyブログ

かいなってぃーのMorrissey・The Smithsに関するよしなしごと。

モリッシーインタビュー Morrissey Talks to Fiona Dodwell for Gabfest, April 2023

2023-04-04 15:45:40 | Morrissey Interview

(撮影 by かいなってぃー EVENTIM APOLLO LONDON 19.3.2023)

昨年11月に続き、ジャーナリストのFiona Dodwell twitter:@Angel_Devil982 がモリッシーに独占インタビュー

4月3日(日本時間)、自身の運営するサイトGabfest に公開しました。


ヨーロッパツアーを終えたばかりのモリッシーの最新の心境や音楽、メディアについて語っています。まあ、いつもと同じことですが、言い回しとか、自虐を超えたあふれる自信とか、ますます力漲り、超然とした高みに上るモリッシー。そんな彼の最新の言葉は読みごたえありました。

早速翻訳しました。以下、日本語訳です。

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Gabfest Exclusive: In Conversation With Morrissey

Morrissey Talks to Fiona Dodwell for Gabfest, April 2023

Fiona Dodwell(以下、F ):ヨーロッパでのミニツアーが終了しましたね。ライブの評判は本当に絶大なるものでしたよね。私はロンドンのハマースミス・アポロでのコンサートを拝見しましたが、今まで見た中で最高のショーのひとつでした。コンサートや新曲が証明していますが、依然としてあなたが絶好調なのは明らかです。それなのにメインストリームの音楽誌で、あなたを評価しているものはほとんどありません。これは悔しくないですか?

今となっては誰にもわかることだが、理解不能に近いものがある。業界に「不適合」な歌手への蔑視もあるし、音楽オーデイション上がり系の才能より虚栄心志向の延長線上にある考え方なのかもしれないが、どのレコード会社も、1年や2年で終わってしまうような歌手しか欲しがっていないように思える。実際、歌手という職業には、他のどんな職業よりも短いキャリアしか期待できない。100万枚以上売り上げるスター連中の多くは、歌が下手なことはわかっているからか、自分で歌う自信がないんだ。

一般的な傾向としては、やはり私の信用を落とそうとしているんだと思う。なぜなら、世間の人々は皆、喜ばせることなんて到底できないほど、偽りの政治に踊らされ、しょっちゅう怒りを爆発させているので、多目的スターだけが許容されているからだ。奴らが知的で有益なことを決して言わないので、レコードレーベルにとって安心だからだ。


F:あなたがその全てに属していないのは良いことです...。

私は音楽人生の中で、拍手喝采アザラシどもを避けるように過ごしてきたし、今さら加わることはないだろう。 だから私は、賞賛され同時に嫌悪されている。

F:あなたの音楽が今なお愛され続け、ライブチケットが完売するという事実は、未発表アルバムをレーベルと契約させるという問題をさらにややこしくしているのではないでしょうか。腑に落ちないです。レコード会社は何をそんなに恐れているのでしょう?なぜ、こんなにも物事を難しくしているのだと思いますか?

ある有名レーベルは「はい、傑作ですね......でも26歳以上の人とは契約しません」と言った.....。でも、今は多様性が大事で、境を越えてチャンスを提供するんじゃないのか? 現実にはこれらの言葉は、いかにより好みして使われているものであることか! ロンドンの有力なCEOを2人知っているが、彼らは私のキャリアを阻止するために、あらゆる手段を講じているよ。

F: それは信じられませんね、実際にそのような障壁に直面しているなんて。

こういうことに直面したアーティストは他にいないんじゃないか。また業界の重鎮の中には、スミスの再結成への一番の近道は、あらゆることからモリッシーの参加を遮断することだと考えている人もいる。今ではいたるところで、その証拠を見ることができる。 私はキャンセルされたわけではないが、バル・ミツバー(ユダヤ人の少年が13歳の誕生日を記念する通過儀礼で宗教的責任の始まり)に招待されたわけでもない。でも......そんなこと今まで、あったかな?まあ、私の人生を記録したいと考える映画監督が急に増えてきたのは興味深いことだ。 良い人たちは理解しているし、そうでない人は......そのつもりはない。

F: いわば中間マージンをカットして、インディーズでニューアルバムをリリースしたいと思ったことはありますか?ネット上で何人かのライターやファンが、レーベルから離れ、自分でアルバムをリリースすることも選択肢のひとつかもしれないという考えを示しているのを目にしました。レーベルがあなたを失望させることが多いようだから、というのが主な理由です。それとも、もっと伝統的な方法でリリースしたいのでしょうか?

やらないな。同じ段取りを組むとしても、レベルが下がるから。

F:どうしてそう思います?

車輪を回し、完全に「今」に集中するには、少なくとも6人のスタッフが関わる必要があるが、彼らは自分たちの利益にならないと何もしない。もう賃金だけでは人は動かない!したがって、既存のレーベルにとどまる方が良いでだろう。実際に私は、EMI、サンクチュアリ、そして先史時代のラフトレードで人生で最高の時を過ごした...それらは本当に面白かった...軽蔑的な意味ではなくね。毎週毎日ラフトレードのアジトに行った...それは彼らにとって苦痛だったでろうけど。当時のジェフ・トラヴィスは私と同じく何かを発見しようとしており、少なくとも私たちは妥協を許さないという決意を同じくしていたし、とてもうまくいっていた。

F:あなたのことを何度も何度も公に批判したがるある人物(ここではあえて名前を出しません)がいるようですね。彼らはあなたの名前を言ったり、記事にしたり、ツイートしたりせずにはいられないのです。彼らがあなたのことを嫌いだと言いながら、あなたを放っておくことができないということは、まったく混乱していることだと思いませんか?

それはほとんど性的な執着として伝わってくる。また、私が生身の友人であったという架空の時代のことを強く主張し、その主張によって啓蒙的な苦言を呈する権利が認められていると思っている。頭にロニー・ドネガン(英国の歌手。50年代に英国で大流行したスキッフルの第一人者)のかぶり物をつけ、自らを吠える政治的発言者とみなす者は、1970年代のメアリー・ホワイトハウス(英国の教師、保守的な活動家。英国メディアに反対するキャンペーンを実施)と何ら変わりない行動をしている。自分がたまたま嫉妬しているすべての人に腹を立てているから。頭の悪い子供でも、奴らの正体を見抜くことができる。彼らは、自分たちのことを暴露されるのを恐れて、キャンセルしようとしているんだ。もちろん、私は言論の自由の擁護者だが、嫌がらせや迫害は、かつては法律違反だった。しかし今はそうではない。

F:その点については、多くの人があなたに同意してくれると思います。あなたは長年、マスコミや特定の人物からの嫌がらせを経験してきたと思いますが...。もし、80年代に戻って音楽の旅をやり直せるとしたら、何か変えたり、違うことをしたりしたいですか?もしくは自分の音楽の旅やエンターテインメントの世界を横断してきたことに満足していますか?

絶対に(自分の今までの音楽人生を)好きだと思っている。 歌ってきた歌は素晴らしいし、マスコミの偏見に満ちた戯言の後でも...私の魂はまだ私自身のものだと思うんだ。

F:それはよかったですね。

自分の遠いルーツにスミスがあることは、誇らしい気持ちにさせてくれる。かつて我々が嘲笑され拒絶された理由が、今では、なぜこんなにも多くの人々がスミスを2023年に愛しているのか、という確かな理由になっている。盛り上がっているしね!ほら、人々はいつも正しい。Spotifyでは、スミスの曲はビヨンセと同じヒット数だ。それなのに、ビヨンセはセルフリッジ(英国の高級デパート)のエスカレーターで毎時間宣伝されているというのに、スミスは何の宣伝もされたことがない。

スミスには、今ではありえないような勢いが毎週あった...毎週木曜には、スミスの活動に関する新しい情報が入ってきて、ウルワースやアワープライスで3ヶ月ごとに新しい7インチレコードが発売されていて、とてもイギリス的で、みんなそれを本当に楽しんでいた。その後、コロネーション・ストリートにスミスに関する落書きが見られるようになった。しかし、ラジオやチャートがテクノ・ダンス・ミュージックに独占されたため、今はバンドを追いかけるためのそんなドキドキ感はなくなってしまった。

私にとっては、『Viva Hate』『Bona Drag』『Your Arsenal』『You Are The Quarry』『Ringleader of the Tormentors』『World Peace is None Of Your Business』といった作品と共に音楽キャリアを歩めたことは、この上ない幸せだと思う。


F:音楽活動以外の時間は、どのように過ごし、どのようにくつろいでいるのでしょうか?

古い鉛筆を噛んでいる…ということはないね。私は関わらない。ほとんど世捨て人みたいなものだ。ヨットにも馬にも乗ったことがない。スマートフォン文化のせいで移動が大変なんだ。どこへ行っても、写真を欲しがる人、あるいはすでに撮っている人がいる。でも、そうはいっても、正直なところ......どこへ行っても、人々はいつも、とても親切だ。リシ・スナク(英国首相)には、そんな主張はできないと思うが。

F:本当にそうですね!次は本の話をしたいと思います。私も熱心な読書家なので(そしてあなたの小説『List Of The Lost』を何度も読んでいます!)、あなた自身のお気に入りの小説は何なのか知りたいと思います。

私は本を手に取り、貴重な宝石のようにひっくり返したり回したりしている。1751年にアントワープの塔で細かい手書きで600ページもの書物が編まれたことには驚かされる。それは私にとって究極の達成物だ。古典文学を書き換えようとする「キャンセルハゲタカ(キャンセル文化によって、他人のキャリアや社会的地位を狙って攻撃する者たち)」の話を聞くと、部屋が暗くなるような気がする。

F: 人々は、表現の自由や個性を永遠に腐敗させようとしているように思えます。芸術の世界でも......おそらく芸術の世界ではもっとそうでしょう。なぜなら、権威ある人々は芸術がいかに真に力強く、変容し得るかを認識しているからです。では、好きな作家は誰ですか?

ウィリアム・メイクピース・サッカレー(19世紀イギリスの、ディケンズと並びヴィクトリア朝を代表する小説家。上流階級を痛烈に批判した『虚栄の市』で文名を高めた)のような小説家が好きだ。しかし、この作品を読み解くには、ある種のアームチェアに座っていなければならない。カーソン・マッカラーズ(20世紀アメリカの小説家)も好き。『心は孤独な狩人』。タイトルは常に。実際の本そのものよりも多くを語らなければならない。

F: メインストリームのマスコミが悪質で、キャンセル文化がますます頭をもたげる中、自分自身を「水増し」しないことは、大きな自信につながるのではないでしょうか。マスコミから厳しい扱いを受けているのだから、そうすることも許されるでしょう。しかし、あなたは自分自身で強さを保っています。その自信はどこから来るのでしょうか。また、ネガティブな報道の影響から自分を守るにはどうしたらいいのでしょうか。

昔は、真面目な評論家に救われてきたと思うが、今は難しい。音楽界には、明らかに何もかもが優れていないくせに大成功している者がたくさんいるので、音楽ライターには刺激の栄養失調状態のようなものがある。昔はもちろん、ニック・ケントやジュリー・バーチル(2人とも、英国のロック・ジャーナリスト)のようなライターが、ある種の喜びをもって、立ち入り禁止のテーマに取り組んでいた。しかし、今、誰がそれをする準備ができているのだろうか?誰がそれを引き受けたいと思うのだろう?

F:多くの人が「キャンセル」されることを恐れているから、ごく少数です。彼らはむしろ、守る価値のあるものを持たずに、無難に過ごすことを望んでいます。

どこの国でも、隣人の意見にひどく依存しすぎている。その結果、A&Rマン(レコード会社や音楽出版社において、アーティストや作家の才能を発掘し、彼らの芸術的発展を統括する部門の人間)であるはプテロダクティルス(鳥の恐竜)と同じような存在になり、キャンセル文化は実際に現代のリンチの一形態になっている。

F:近年の音楽業界は、才能よりもイメージやギミックを重視しているように思えますが、そう思いますか?

それが長い間続いていると思う。新しいバンドがオアシスやレディオヘッドを連想させれば、すごいと思われるような、比較ゲームばかり盛んになっている。 私は、何も思い出させないバンドを待っているのに!ロボトミー手術を受けたような顔には死ぬほどうんざりしている...そしてアーティストが表現しているのはすべてセックスに関するものだが、実際にセクシーな人はいない。サム・スミスは、女性版W.C.フィールズ(アメリカの俳優、コメディアン。人間嫌いで怒りっぽい酒豪のエゴイストキャラで笑いを呼んだ)みたいなものだ。

F: サム・スミスとW.C.フィールズ...。この比較は頭から離れません。

さて...『Bonfire Of Teenagers』と『Without Music The World Dies』が完成し、現在は未発表となっていますが、モリッシーは次に何をするのでしょうか?この2つのアルバムのリリースを待ち、このことに集中するのでしょうか?

ああ、どちらも発売されることはないと思うけど、もし、ある程度の力を持った人が前に出て、人々が音楽を買うことを許してくれたら...世界中の何十万人もの心の中に、永遠に大切な場所を持つことになると思うんだけど..。

F: これらのアルバムがリリースされないかもしれないと思うと、ショックです...。

こんな時代を誰が予想できただろうか。 キャピトル・レコードは私が死んだら『Bonfire~』をリリースするのだろう。 そうでなければ、誰もこのアルバムを救い出すことはできない。

F:メディアはしばしば、あなたをこの永久に不幸なアーティストと表現したがります。一部のジャーナリストは、「Heaven Knows He's Miserable Now」という言葉を永遠に使い続けています。これは真実からどの程度離れているのでしょうか?

ボブ・ディランがジョークを飛ばしたことがあるか? ジョニ・ミッチェルがウーピー・クッションの上で跳ねるのを見たことがあるだろうか? あるいはトム・ウェイツは? もしビリー・ホリデイが死から蘇ったら、このジャーナリストたちはきっと「Heaven Knows She's Miserable Now」と書くだろう。 ニーナ・シモンはふざげて唇をぶるぶる鳴らしたことがあるか? ルー・リードがコミック・リリーフ(1985年から毎年3月に行われる英国芸能人による慈善企画)のために着飾ったことがあるか?

でも、実際には、マスコミは いつも 私についてそういうことを言っていた。 40年間成功し、人生も楽になったはずなのに、賞を与え、音楽を称えるどころか、なぜか私はシャミマ・ベグム(15 歳のときにテロ組織イスラム国参加のためにシリアに入国した英国生まれの女性)よりも報道陣の支持を得られない!彼女はゴミ箱に入れられた切断された頭部に肩をすくめていた...それでも私は彼女より下だ! たとえ私のことが嫌いでも、この状況は間違っているし、現代のイギリスの芸術や文化を酷く反映している。 でも、私はもうネガティブな声には興味がない。

F:あなたはそれらを克服し超然としている..。

私が歌う曲は、今の現実世界と絶対的な関連性を持っている...そして、他の誰もそれに匹敵するとは思えないんだ。


モリッシー5年ぶりの動くインタビュー Morrissey Interview 2022 日本語訳-3

2022-11-30 19:55:11 | Morrissey Interview

11月28日公開の動くモリッシーインタビュー、日本語訳第3弾。ラストです

第1弾はこちら。第2弾はこちら

後半以降は、ダイバーシティダイバーシティダイバーシティ!!!(何回言っているだろう…)の悪口と、キャンセルカルチャーへの苦言、ベジタリアン・動物愛について語っています。特にダイバーシティへの憎しみ。

「『多様』なもんなんて見たこともねぇ!!単なる『同調(conformity)』の詭弁!!(意訳)」と昂っています。

↑身振り手振り、あらゆる動きで憤懣と憎悪を表現

 

このインタビューでの剣幕としつこいくり返しに、「モリッシーは『ダイバーシティ』に一族郎党焼き討ちにあったのか!?」というくらいの怨恨を感じますが、実際2020年にこの「ダイバーシティ」のせいでひでぇー目にはあっています。

2017年にやっとのことで契約し、3枚もアルバムを出したBMGが、BLM運動を受けて「グローバルなダイバーシティ&インクルージョンカンパニーを目指すにあたって」、結果的に契約解除されたのでした。

モリッシー曰く「このニュースは、2020年にもたらされた情け容赦ない電気ショックのような恐怖と完全一致」…。

 

★詳しくは…参考記事👇

「BLM」運動が飛び火!?BMGのモリッシー契約解除

 

この↑記事の中に自分も僭越ながら、

 

多様性ってなんでしょう??その受容ってなんでしょう??もちろん色々な人への「配慮」を表に出すのは立派なことです。けれども、あの人「差別的だよね」とくくって、排除することで解決される問題なのでしょうか?本当の「解決」に目を向けた、対話はあったのでしょうか?

 

と憤りかましましたが、時に「言葉」は本当に危険です。最初は「善」で生まれた言葉が、形骸化し、陳腐化し、使用する人を「あ、よくある言葉でパッケージすればいっか」と思考停止にさせる。このインタビュー読んでまたメディアは「モリッシー、ダイバーシティにモノ申す!!」とか騒ぐんでしょうか。モリッシーが問題視しているのは「ダイバーシティ」そのものではなく、その言葉に飛びつく烏合の衆とその衆たちの作る文化のことだと思います。

ちなみに、キャンセルカルチャーの話に出てくる排除しようと虎視眈々としている輩への「ケーキでも焼いてろ(Bake a cake)」というコメントは、何人かのモリッシーファンたちが気に入って、ハッシュタグ #bakeacake を作っていましたw 私もイヤなヤツがいたら心の中で「Bake a cake」と念じよう。 

 

・・・あかん!前置きが長くなった。

 

こんな昂りのまま、インタビューはどのように着地するのか…と思いきや、たとえ金儲けのために仕方なく渋々であっても、世の中にベジタリアンレストランが増えたことや、動物愛の話になって、Calm downしたモリッシー。最後はFiona Dodwellに優しく称えられてはにかんだような素敵な表情を見せて終わるのでご安心ください。ほっ、良かった。

起承怒怒怒転結エキサイティングで、とても素晴らしいインタビューでした。では、下に日本語訳(やっと)。

 

Morrissey Interview 2022

 

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モリッシーインタビュー2022 日本語訳-3

(前回のモリッシーコメント続き)

そして、今、音楽業界のヤツらは、ああ、ダイバーシティ、ダイバーシティ、ダイバーシティの考えを持たなきゃだめだ、ってことばかり言ってる。ダイバーシティとは、誰かも知らない人たちの多様性のことだ。多様性、それは単に「同調」と言う言葉を言い換えただけだ。「同調」の新しい言い方が多様性なんだ。「多様」なものなんて見たこともない。とにかく、すべてが同調行動だ。

-逆効果になってしまっているということですね。

その通り。それは、人々がダイバーシティについて語るとき、我々誰もが共通では持ち得ない独特の素晴らしいものについては考えないからだ。そういうものは、無視されている。ドイツに行けば、ドイツの素晴らしい文化を見ることができた、イタリアに行けば、イタリアの素晴らしい文化を見ることができた、それなのに今や、ぜーんぶが同じ、同じ、同じであることが望まれている。

ダイバーシティは「同調」を意味し、「アヴァン・ギャルド」のことは指していないし、「本当に面白い、他にはない芸術を作ろう!」という意味でもない。皆をひとつに閉じ込める言葉、ダイバーシティ、恐ろしい言葉だと思う。何にでも当てはめることができ、そうするとその状況は終わる。おぞましい言葉だ、おぞましい…。

-ソーシャルメディアについて何かご意見はありますか?というのも、極端な意見を押し付ける集団思考は、あなたが指摘している問題の一部だといつも考えてしまうからなんですが。

そうだと思う。なぜなら、今や誰もが批評専門家なんだから。誰もが科学専門家だし、ヤツらはすべてを知っている。すべてをレビューして、人を破滅に追い込むこともできる。そして仲間を集めて、誰かを排除してやろうぜ!とキャンペーンを行うことができる。そういうことは多かれ少なかれ起こっていて、ジャーメイン・グリア(オーストラリア出身のフェミニスト、作家、ジャーナリスト。モリッシーはシングル”Back on the chain gang”のスリーブに彼女の写真を起用)、J・K・ローリング(作家。ハリー・ポッターシリーズの作者)の2人の件は完璧な例だ(2人ともトランスジェンダーに対する発言で批判され、キャンセルカルチャーの標的にされた)。みんなで協力しよう!こいつらを排除しよう!こいつらがどんな危険かを言い続けよう!というのは、死をもたらす行為だ。いずれはコントロールできる方法があると思うが、まだ誰にもわからない。

政治家のエリートたちも、この状況を好ましく思っていないと思う。政治家も急激に変わってきているのに気づくかもしれないが、それは今やソーシャルメディアや人々が「あいつが嫌いだ」と言うことができるようになったからだ。昔はできなかったのにね。

-ソーシャルメディアにも2つの面がありますよね。私はよく、ソーシャルメディアで起こることを見ていますが魔女狩りは本当には終わっていないように思います。

終わってないね。人々は必死に、魔女を見つける必要がある。見つけなければならないんだ。不名誉で恐ろしくて何とかで、何とかで、何とかな、誰かを見つけなければならない。それで喜んでるのがわかるね。メアリー・ホワイトハウス(イギリスの教師、保守活動家。社会的自由主義やイギリスの主流メディアに反対するキャンペーンを30年に渡り展開)を覚えている? 多くの人々がメアリー・ホワイトハウス化して、排斥を行おうとしている。私は傷ついたんだ、って、あたかも自分が傷つけられたかのように! そんな知性があるというのは、まさに愚かであることを意味する。私たちは今、このメアリー・ホワイトハウス文化の中にいるんだ。みんなが「やめろ!そんなの好きじゃない!地球から消え失せろ」って主張する。そういうヤツらは、おぞましいと思う。あっちに行ってくれ。こっち見んな。スイッチ切れ。何か他のもん聴け。ケーキでも焼いてろ。

-他の人のために、あなたがやっていることを止める必要はないですよね。

私たちは60年代後半のようなプロテスト文化の中にも置かれているからね。あの頃人々は、出かけて街頭に立って抗議し、何かに対して怒って行ったり来たりする、のが大好きだった。今、誰もがそういうのをやりたがっているんだ。みんな何かに対して激怒したがってる。まあそれはいいけど、時間を無駄にしているかもしれないね。


-そうそう、動物の権利について触れたいと思います。あなたにとって、とても重大なことですよね。最近のあなたの音楽におけるテーマでもありますし、インタビューでもこのことについて語っていますね。個人的には、レストランやカフェでポジティブな変化が起きているのを感じています。ベジタリアンのためのメニューも増えてきてますよね。今、私たちは良い方向に向かって進んでいると感じますか? それとも理想とはあまりにも遠くかけ離れていますか?

本当にうっとりするようなことだと思うよ。私は十分な年なんで、本当に何も、何も、できなかった昔を覚えているからね。「ベジタリアン」という言葉を口にすれば、信じられないほど嘲笑われたものだ。でも今はどこもかしこも変わっていて、とても嬉しいね。本当に、本当に、幸せだ。これまで、(ベジタリアン対応の必要性については)延々と語ってきたんだけどね。今は、そのほとんどがもっともなことだと認められたと感じているよ。(以前は、飲食業界として)どの道やるべきことなのに、大きな抵抗があったし、信用したがらなかった。でも(レストランは)金儲けのために、とにかくやらざるを得なかった。例えば、8人の友達とあるレストランに食事に行ったとして、その内の2人がたまたまビーガンだったら。その2人のビーガンに対応できなければそのレストランは、客全員を失うことになる。だから、みんな「あーあ。今やらなきゃならないか」って思っているんだよ。

そして、誰もが動物を、人間のためにたくさんのことをしてくれている美しい生き物として認識するようになった。動物は私たちのために多くのことをしてくた。休ませてあげて、ほっといてあげよう。人類は動物に、あまりにも世話になってきた。今、動物たちは報われるべきであり、生きることを許されるべきだ。私はそう思っている。

-それこそ、あなたがしてきた、重大なことですよ。モリッシー、あなたは、実際に動物の問題にスポットを当てた、代表的人物のひとりだと言えるでしょう。

そうかな。頑張ったけどね。頑張らないとね。

 

(終わり)


モリッシー5年ぶりの動くインタビュー Morrissey Interview 2022 日本語訳-2

2022-11-29 17:23:35 | Morrissey Interview

11月28日公開の動くモリッシーインタビュー、日本語訳第2弾。第1弾はこちらより。

中盤では、ゴルフもやらねえ、馬に乗らねえ、24時間音楽のことだけ、という音楽愛と音楽業界への文句を中心に語っています。いつもの通りですが。

でも、それでも、音楽愛にはいつも感動します。何も足さない、何も引かない。混ぜ物なしの歌手。

写真は、揶揄されたりすることもない「空っぽのつまらない人たち」(つまり自分と反対の人たち)をディスった直後の表情で、ものすごく好きです。

 

Morrissey Interview 2022

 

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モリッシーインタビュー2022 日本語訳-2

-ニューアルバム”Bonfire of teenagers”の話に戻りますが、お気に入りの曲はありますか?

選ぶのは不可能だ。ある意味、どの曲も同じ、どの曲もすごく好きだし。だから、レコード会社がどの曲をシングル曲に選んでも問題じゃない。全部すごいし、私にとっては全部素晴らしい。

-とても幸せそうですね。

それは心配だな。心配だ。

-モリッシー、あなたはもうずいぶん長い間、音楽の世界にいます。ちょっとお聞きしたいのですが、あなたの経験上最大のフラストレーションは何だと思われますか?

フラストレーションはありがたいよ。音楽業界の外にいて、関係ない人は、まあ私は関係あったこともないからいいし、それはそれでいいんだ。でも時々、自分はラジオに出演する資格があるんじゃないかと思うんじゃないか。私は本当にどこかに入れてもらえるべきなんじゃないかと思ってる。でもそんなこと起きたことはない。音楽業界のヤツらは私を、どこであろうと入れてくれやしない。ただ我慢するためでも、ただ私を黙らせるためにでも、私をどこかに入れてくれない。とても奇妙だし、独特のことだ。

-ショッキングでもあります。彼らはあなたにはいまだファンがついていることを知っているに違いないのに。

ヤツらはそんなこと気にしない気にしない、全然気にしない。音楽業界のヤツらを追いかけて、「お願いです、私のためにこうしてください、お願いですお願いです」と言わないと、ダメダメってなだけだ。追いかけられて懇願されたがってるんだよね。そんなことできるわけないだろ。するわけがない。

-このことについてよく質問されていると思いますが、あなたは個人的には、マスコミによってよく自分がフィクション化され、キャラクター化されているのを見て、どのように向き合っていますか?それは難しいことなのでしょうか?それとも、慣れてしまっていますか?

慣れている。でも肯定的にではない。私が知る限り、いつもたいてい馬鹿げているからね。でも自分をさらけ出してみると、踏み出してみると、そういうことは本当に起きると心づもりしておかなくちゃならない。興味深い人間になら誰にでも、ある程度は起こることだ。あまり面白くない人間には起こらない。

-その通りですね。つまらないと思われている人たちとは多くの場合、自分の心の中にあることや信じていることを実際に口にすることに怯えている人たちですよね。

たいてい、空っぽだ。

(「ふーっ」と深いため息)

-これから新しいアルバムが出るのに、あまり先の話に飛びたくはないのですが、また作曲とレコーディングをしていると何かで読みました。

そうだ。次に出すアルバムを作っていて、すぐにレコーディングする。すぐにリリースするつもりはないよ。”Bonfire of teenagers”に息吹きの機会が必要だからね。でもすぐにレコーディングはするつもりだ。

-実はとても印象的なことなんですが、あなたのキャリアと同じくらいの長さのキャリアを持つ他のアーティストは、しばしば音楽活動のペースを落とすことがあります。けれどもどちらかというと、あなたはより規則正しくなって、「多作」になってきていますよね。

それはいい言葉だ。他の人は別の言い方をしそうだが。でも、私が考えていることは音楽作りのことだ。私は変わっていない。私が考えているのは歌のことばかりだ。一日中、一晩中、声、歌、それだけを考えている。私は捕われている、身を捧げている、どう言ってくれても構わない。でもこれが、私の人生だ。

-それがあなたの存在意義ということですね。

それが私の目的だ。本当にそうだ。ゴルフコースにいたりどこかで乗馬している私を見ることはないだろう。他のことは本当に何もしない。

-音楽がすべてですね。

私が走っている姿…パン屋にかな、を見るだけで、それ以外は本当に存在していない。それでいいんだ。それで大丈夫。

-ここ数年、個人的に見てきた音楽業界を鑑みてひとつ言えることは、実に当たり障りのないものになってしまっていることです。立ち上がり、何かの点で突出している人がほとんどいません。彼らはほとんど何もせず、何も表現していません。でも、あなたはそれとは正反対ですね。これは、あなたがあなた自身であるかということのからなのでしょうか?それとも、人々に挑戦してもらい、考えてもらいたいというような、何か精神的な決断があったからなのでしょうか。

選択の余地というものはなかった。でも(音楽をやっていくなら)、人々にとって興味深いものにしなければならない、ということだ。音楽を興味深くしなければならないし、自分の立場を面白くしなければならない。90年代後半、私は多くのインタビューを受け、イギリスのあらゆるところで起こっているダミング・ダウン(教育、文学、映画。ニュースなど文化の知的内容を意図的に過度に単純化すること)について常に話した。テレビ、コマーシャルなど、イギリス人の生活に関係するものすべて狙い撃ちされていた。そしてそれは絶対的に今も起きている。

イギリスのテレビコマーシャルを見ると、耐え難いものがある。雑音も内容もいつも同じ。600万ポンドのキッチンで踊る人々......イギリスの人々がすることは、ダンス、ダンス、ダンス、ピザを出前してダンシング、ダンシング、ダンシング。本当にバカだ。それがいたるところに流れている。多くの人はもう、音楽に信念を持っていないんじゃないか。

音楽業界では経済的な面で様々なことが変化しているから、すぐにプラチナアルバムになってヒットしなければそのアーティストを排除できるようになった。若いバンドでファーストアルバムで成功した例はたくさんある。でも、23位、22位、21位までチャートインして売れても、まだ足りない。彼らは捨てられる。だから、セカンドアルバムを作ることを許されないんだ。数年前までは、5枚のアルバムを作れば、レーベルは彼らを支持した。今や血も涙もない。ただ追い出されるだけ。レーベルの意にそぐわないことを言えば、すぐに追い出される。

-レーベルはもう、あなたの音楽作品ともつきあわないんですかね。

まったく、まったくだよ。興味がないんだ。

(→第3弾、最終回はこちら


モリッシー5年ぶりの動くインタビュー Morrissey Interview 2022 日本語訳-1

2022-11-28 22:16:19 | Morrissey Interview

本日11月28日、甥っ子Samのチャンネルでモリッシーのインタビュー映像公開!

動くモリッシーインタビューは2017年以来。Larry Kingの番組のこちらですかね?「今までのところの彼の最高アルバム」について語るってことだけど、発売ペンディング中“Bonfire of Teenagers”のことを語るのか…?と、楽しみに視聴しました。15分強、たっぷり現在のモリッシーの考えを知ることができます(とは言っても一貫して変わらないけど)。ただインタビュー収録は10月8日ロンドン公演時、Capitolから2月発売白紙ってことは公式アナウンス(11月14日)前段階…なので「一体いつアルバムだすんだべ!?Capitolはどうすんだべ?」の答えまでは言及ありません(というか「もうすぐ出る」と喜んでいて切ない…)。このインタビューを今公開というのは、あえてコンテンツの良さを自らの言葉で強め、新アルバムリリースムードを高めるのが目的なのでしょうか?煽ってる??外堀埋めッシー!?…とこの件もろもろ、いろいろ考えるところはあるのですが、それはまた。

まず見てください。

3回くらいにわけて翻訳も下の方にのせておきます。

Morrissey Interview 2022

 

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モリッシーインタビュー2022 日本語訳-1

 

-モリッシー、まず手始めに、”Bonfire of teenagers”の話から始めようと思いました。アルバムは明らかにまだリリースされてないですよね。状況を教えていただけますか?

とてもいい感じだね。もうすぐ発表され、とても迅速にリリースされる予定だよ。ということで、発表は他の人に任せる。そう、発売間近ということだね。ついに!ノロノロと長い道のりだったよ。でも歩を進めている。とても嬉しい。美しい作品なんだ。絶対的に美しいんだ。

-本当に嬉しそうですね。

とても幸せだ。本当に嬉しいんだ。信じられないよ。私は長い間この世界にいるが、もしまだ本当に自分を興奮させる音楽を作ることができるなんて、とても珍しいことだと思う。40年くらいこの世界にいる多くの奴らがこういうことってできないと思う。生きていると、多くの人がそうすることができないと思うんだ。自慢したいわけじゃないけど、ここにきて突然、私の人生にこのアルバムが登場した。人がみんないつも「これが一番だね」と言ってくれるけど、このアルバムは実際にそうなんだ。実際に。私は感謝している。

-この数年を経ても、自分が今もその場所にいることを実感できるのは、とてもいいことだと思います。

そうそうそう、その通りだ。ここ数年の間に、たくさんの音楽を作ってきた。かなりコンスタントにね。だから、まだ伸びしろがあるなんて、信じられないよ、私は22歳じゃないんだから。

-最近のあなたのライブのセットリストをチェックしたところ、”Bonfire of teenagers”の曲が多かったので、ちょっと聞きたかったのですが、まだお客さんになじみのない曲を披露する時、余計にプレッシャーみたいなものを感じるのでしょうか?それともそんなこと思いもしないのでしょうか?

どんな曲ででも、誰にでも興味を持たせることができるはずだと本当に思っている。私はあの曲ででしかダメなんだ、あの曲にしか興味はない、あの曲しか歌えないなんて言えない。絶対にどんな歌でも歌えなければならないし、人が興味を持つように歌わなければならない。それこそが、本当にステージに立つにふさわしい人なのかどうかの基準だと思う。

-そうですね。私があなたのパフォーマーとしての才能に感心するのは、同じことを何度も繰り返して観客を見下すようなことがない点です。レアな曲や無名の曲を演奏することをためらわない。それはごちゃ混ぜの曲選びをするための意図的な選択なのでしょうか?それとも、文字通り直感で選んでいるのでしょうか?

オーディエンスも、王道じゃなくて無名の曲を聴くのが好きだと思う。だから、そういう歌も歌えて、ちゃんとしてて、説得力があって、楽しければ、何を歌っても問題ないと思う。

-あなたのショーはとても素晴らしい評価を得ています。

本当に信じられない。本当にボーっとするほど驚いてしまうし、明らかに感激している。明らかに。

-あなたのファンたちは、多分私がこれまで目撃した中で最も熱狂的なファンたちに入ります。彼らは世界中を旅しているようなものですよね。会場の外でキャンプをしています。

ああ、そうだよ。

-あなたにとってそれはどのような感覚なのでしょうか?何年経ってもそのレベルの尊敬と愛を受けるというのは。

それは、私が本当の人間であり、私が本物であることを知っているからだと思う。そして、そのようなファンを持がいるということは、実はとても稀なことだ。音楽業界にいて、スタジアム・バンドになったり、毎晩巨大な会場で演奏することはできる。でも、ヤツらの観客は誰もステージには近づきたがらない。ブランドになったり、ビジネスになったりするヤツらもいる。でも私はそういうものではない。私は音楽業界によって作られたのではない。人々によって作られたのだ。

そこには大きな違いがある。アーティストを見ると、音楽業界によってそこに置かれたヤツらだとわかる。ビッグになり、有名になるかもしれない。一方で、人々の中にいる人々もいる。人々の中にいる歌手もいる。私がそのひとりだ。業界は私のような人間を特に好まないので、よくそれが不利に働くこともよくある。音楽誌は私のような人間を特に好きではない。私が人々の中にいる者だと知っているからだ。そして私が金が注入されただけの人間ではないことを知っているからだ。私には何も注入されていないと請け負えるが。だから、私のような人間をどうしたらいいのかわからないしおかしいと思っている。

-アーティストを製造することで、彼らがコントロールすることができるようになることを望んでいるようなものですよね。

音楽業界は製造されたアーティストなら理解できる。業界が彼らに飽きたら排除することができる。でも私のような人間は排除できない。撃たれでもしない限りは。

-オーディエンスとの間に個人的なつながりができたように感じられるから、それが業界に製造されたアーティストとの大きな違いなのではないかと。

ああ、それは大きいよね。ラジオのせいで成功できなかったからね。イギリスのラジオは決して私の味方についたことはないから。だから嬉しいんだ。

-あなたはただ(オーディエンスへの)愛のために活動していますね。

そうだ、本当に本当に偽りのないものだ。とても純粋だ。

 

(→第2弾はこちら


It's the 61st birthday of Morrissey, the greatest singer

2020-05-22 15:08:29 | Morrissey Interview

本日は、モリッシーのお誕生日です。

 

お誕生日おめでとうございます!

 

61歳も、現役リアルタイム歌手であり続け、元気にファンのための「絶対消えない光」でいてほしいと思います!!

 

 

新型コロナウィルスの世界的大流行の昨今、モリッシーはどうしているのかと思っていたら、イギリスに帰りマンチェスターにいた模様。

5月20日の『デイリー・メール』では、マスクではなく「ハンド・イン・グローブ」で、地元近郊ヘイルにある有名な

「ヒルズ・ベーカリー」にパンを買いに行った(嬉しそうな)様子が報じられていました。

 

 

元気そうで何より!このヒルズ・ベーカリーは、ヒルさん一家が4代続けている創業100年以上の老舗だそう。

ベジタリアン用の特注なんかもしているし、モリッシーのお気に入りのパン屋さんなのかもしれませんね。

 

 

私もパン好きなので、この「パン屋から出てきた時の達成感」の「にんまり」には、親近感おぼえました。

このパン屋さん、いつか行ってみたい!!

 

興奮して友達にこのニュースを知らせると

 

「て言うか、パン買いに行くだけでニュースになるって何??『はじめてのおつかい』!?」

 

と、呆れられました。

初めてでもなんでもない、61歳直前の人の単なる食料調達www 

 

モリッシーは2018年9月にも、パン屋でパパラッチされてますね(マンチェスター・イブニング・ニュース)。

 

 

この時はアルダリー・エッジ(マンチェスターから24キロくらいのとこ)の「G.ウェインホールド」。

お客さんとして溶け込んでいる・・・↓

 

 

ところでさっきのパン買いにんまり写真でかぶってる帽子、「MARFA」って書いてありますね。

マーファと言えば、メキシコ国境近くの砂漠の町。

街のあちこちにアートが点在して、最近オシャレピーポーに人気の観光地だと、ファッション誌でとりあげられていたような。

 

ここにプラダができたんですけど、店自体があまりにもアート。映画みたいです。

 

 

ヤング・アンド・オルセンも地名シリーズで、MARFAロゴキャップ出してました。

 

 

同じ砂漠でも鳥取砂丘みやげのこれとはわけが違う・・・。

 

(これはこれで渋いけど…!)

 

まあモリッシーがかぶってるのは、「旬」であること以上にマーファが、大好きなジェームズ・ディーンの『ジャイアンツ』の撮影地だったことへの

「こだわり」なのかな、とは思いますが。

地元のパン屋ひとつに行くんでも、そういう自分の趣味や美意識をさらっと反映していて素敵です。

 

…って前置き、長っ!(↑ここまで前置きだったんです)

 

このブログでモリッシーのバースデーをお祝いするようになって9年目。

毎年誕生日には、モリッシーの「年齢」や「人生」に関する引用などを紹介するのが(自分の中での)お約束なので、今年もやるんだった。

 

今回は、このパンデミック・モーメントにぴったりと思って2011年「ザ・テレグラフ」のインタビューからの引用を紹介したいと思います。

 

インタビュアーに、当時の最新アルバム『イヤーズ・オブ・リフューザル』の「ワン・デイ・グッバイ・ウィル・ビー・フェアウェル」の歌詞が

まるで引退計画を示唆しているのではないかと問われ、モリッシーはこう答えています。

 

“The fascinating thing about human beings is that they don't last, and everything eventuates,

and everything is very, very brief. And even if you do manage to look reasonably well as you age,

unfortunately you are attacked at every level by illness and so forth. It's a fact of life.”

 

「人間の魅力的な点は、人間が長続きしないことだ。

そしてあらゆることが起こるが、すべてがとても、とても、短命なことだ。

年をとるにつれて、なんとか分別を持っているように見せたとしても、残念ながら、病気などによってあらゆるレベルの攻撃を受けている。

それが人生の真実だ」

 

…答えになっているようななっていないようななっているような。

その後インタビュアーに60歳まで歌い続けるか問われると、まだここにいること(当時52歳)がすでに、とんでもない驚きだと語っています。

てことは、61歳を迎えたモリッシーは、さらにとんでもなく驚いていることでしょう、今頃!!

 

上記の言葉によれば、「人間が長続きしない」ことに悲観的になっておらず、

むしろそれが人間の魅力だと語っている。

このインタビュー後モリッシーはいくつもの病を患うし、そして今人類は新型ウイルスの脅威にさらされている。

 

人間がどんなに偉そうに、大人になってわけ知り顔をしていても、人間活動のすべてははかなくて、

その存在はかよわいという圧倒的真実が、モリッシーの人間に対する「萌え」ポイント。

そうであるなら、今のこの世界的な人間のピンチには、めちゃくちゃ萌えていることでしょう!!

 

「萌え方」はいろいろあるだろうけど、この61歳になったアーティストは「真実」を前にひるまず、

きっと何かを綴り、創っている…はず

 

気休めやまやかしもきかないこんな時。

「詩人」たる者その役割は、色々な困難や苦境にさらされている人間をサディスティックに上から見つめることではなく、

言葉を駆使して救うことではないでしょうか。

 

ウイルスが不可避であり、人間が有限であることも真実だけど、心を震わせるものを

創る人間の力が無限であることも真実だと思うのです。世界的なウイルスの脅威はすぐに乗り越えたり完全解決できなくても、

どの「真実」を見つめるかで、「やり過ごす」ことはできると思います。

それこそ、はかないながらもしぶとい人間の知恵。

そういうヒントや気力を与えてくれるものこそが、芸術であり音楽ではないか。

だからあまりにも必要なのではないか。

…おい、ウイルス、よく聞いておけ…(耳、ないけど)!!

 

単にお気に入りのパン屋のパンを食いまくってるだけでなく(食いまくってはいそうだけど)

今後の世界を熱くするようなモリッシー61歳の活動にも期待できそうです。

そういう気持ちをこめて、

 

ハッピー

アンハッピーパンデミック

バースデー~~~★

Happy Unhappy Pandemic Birthday

 

★過去のお誕生日記事 

It's the 60th birthday of Morrissey, the greatest singer ~『イングランド・イズ・マイン モリッシー, はじまりの物語』に思うこと

It's the 59th birthday of Morrissey, the greatest singer ~モリッシーとボールドウィンと『私はあなたの二グロではない』

It's the 58th birthday of Morrissey, the greatest singer ~モリッシー最新インタビュー翻訳

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