19:38 ついにバックドロップがジェームス・ボールドウィンに変わった!!出てくる、出てくる、出てくる。その安堵とともに頭に浮かんだのは、ボールドウィンの言葉。
「愛というのは、我々が思うとおりには始まりも終わりもしない。愛は戦いであり、愛は争いである。つまり、愛とは成長することなのだ」
愛は戦いであり、愛は争いである。自分なりに戦った。やっとこの瞬間にたどりついた。成長したかといったらしてないかもしれないけど、たった今、何かを本気で愛さないと見えない地平線に立ってる自分を俯瞰で見て「すごいな、おい」と思った←こうやって書いてるとちゃんと思ってるみたいだけど、頭の中で同時多発ぐちゃぐちゃ感情からの
あんなにみんな待ってた、待望のカリスマなのに、降臨!!という感じではなくふつーに舞台に散歩みたいに出てきたモリッシー!!くわえタバコでうろうろしながらいろんな方向に丁寧にお辞儀。
コンニチワ!!ユーアーザワンフォーミ―…トウキョウ!!
と叫んで歌い出したのはWe Hate It When Our Friends Become Successful。
マイクコードさばきの切れ味が、またすごくなっている。あの鞭打ちなら当たっても構わなかった(本当に当たりそうだった)、、、
おいおい、このまま1曲ずつ感想書いてくのかよ、と思いますよね。
感想ってどれにしたって結局「良かった」なわけで、もしくはツラツラ書いても千夜一夜物語になるには目に見えてるので先に「結論」を書く新スタイルでいきますw
(とりあえずセットリストはこちら)
We Hate It When Our Friends Become Successful
Suedehead
Alma Matters
Our Frank
Stop Me If You Think You've Heard This One Before
Sure Enough, the Telephone Rings
I Wish You Lonely
How Soon Is Now?
Girlfriend in a Coma
Irish Blood, English Heart
Let Me Kiss You
Half a Person
Speedway
The Loop
Please, Please, Please Let Me Get What I Want
Everyday Is Like Sunday
Jack the Ripper
Sweet and Tender Hooligan
18曲約70分と、コンパクトな感じだけど、短いとかそういう感覚もなかった。とにかく体当たり、疾走。すべて本気。64歳のライブと思えなかった。どんどん身体の機能が上がっている感じ。バンドの演奏もすごくよかったです。でも、歌手の声が、どの楽器をも凌駕しているってどゆこと??と思いました。あまりにも「人間」の力を感じるライブ。オペラとか声楽系とかそういうのでなく、ロックで中身ど・パンクで、そもそもインディーで、、、そういう人が還暦を過ぎて、こんなに声を武器にした歌手になるなんて・・・。
また観客も、64歳お歌手のライブの観客じゃなさすぎw スーツ姿の会社帰りのサラリーマンまでマジもんでモッシュピットで叫んでた。そもそもモッシュ「ピット」という概念がない。見渡す限りのモッシュwww モッシュ豊洲ピットです。それで思い思いに咆哮したりおもむろに「ありがとうー!!!!」と叫んでいる。「日本の客はおとなしい」っていつの話!?という感じでした。
そんなモリッシーの凄さって、これでも何年もファンをやっているんで私は知っている方なんですよ(必死の強調)。それでもこんなに驚いたんです。ザ・スミス好きのモリソロ嫌いの人とか、あんまり知らないで来た人とか、どう思うんだろう、と思ったんです。何を見せられた?聞かされたんだ??「あっけ」みたいな感じなのかなと。
それでライブの後のアフターパーティー帰り「モリッシー」で検索して見てみると、エロ垢がトレンドにあがった「モリッシー」を無駄につけてツイートしているので、それに紛れ過ぎててよくわかりませんでした。エロ垢業者も、まあ自動でキーワードで入れてるんだろうけど、よりにもよって「私の本気〇〇画像見たい? モリッシー」とかほんとなんなんだ??? やっと昨日くらいからトレンド便乗エロ垢が消えたので、落ち着いて見ることができました。
すると
「歌声が凄い」
「期待をはるか上回っていた」
「現在進行形だった」
「甘く見ていた」
「過去一良かった」
「ただただ凄かった」
と、絶賛の声ばかり。現在進行形であり、懐メロ歌手でもない現役歌手。モリッシーは「自分には今しかない」とよく言いますが、3月のロンドンのライブでもこう言っていた。
Here!
Now!
That'sall!
ここ!
今!
それだけ!
モリッシーのこの臨場感、今しかない感を、多くの人に、やっとわかってもらえた!!と思いました。
まがりなりにもモリッシーの本を書いたり、ブログを書いたり、会う人会う人にモリッシーの話をしたりしてきた女ですが、自分の無力さを感じました。それは幸せな無力感です。百聞は一見にしかず、一モリッシー体験が、人の心をこんなに動かす。やっぱ人は、自分で体験しないとダメなんだと思う。「きっと凄いに決まってる」とは思ってきたけど、そう思ってきた人間にすらも「もっと上から来た~!!」と焦ってしまうほどの「一モリ」だったのです。たくさんモリッシーを観ているルーピーさんも言っていました。
「あんなに上機嫌で、あんなに素晴らしいモリッシー見たことない」
こうやって、驚かせて、更新していくんです。まあ私は好きだしもう(あり得ないけど)最悪なライブだったとしても好きなんで、自分を信用できないから、誰か説得力のある人の言質とりたいな…と思っていたら、今朝、自称「頑ななまでのスミス信奉者」、スミス好きのモリソロ嫌い、3代前から極スミス(そんな昔からない)kimuraさんからDMが来ました。
「モリッシー凄過ぎました!ありがとうございます! 人生で三本、いや驚き、凄さに圧倒されたと言う意味ではNo.1かもしれません!普通に低体調が1カ月続き正直行くのが億劫でした…いやいやいやいや、危ないとこでした!絶対観るべき体感、目撃すべきライブです! ご存知の通り生粋のスミスファンですが、ライブ進むに連れ、いやいやサービス精神でスミスやらなくて大丈夫だよ!とモリッシーの現在が観たいよ!となりました。かいなってぃーブログの、出る出るモリッシー16曲中心に数日前にプレイリスト作らせて頂いたお陰も大きいです。感謝。 今年もそこそこライブ観まして〇〇、××が最高で!でも比較してしまうと、彼らも懐メロになります。UKが、北米が好き、あの曲この曲が好きじゃなく、モリッシーって全人類、ホモサピエンスの数パーセントの必須成分なんだな、彼がいない世界はありえないと思ってる人が多く集まった空間なんだな!と思った次第です」
という文章を読んで驚きました。いやいやこの人、何をどう言ってもザ・スミスしか勝たん!!の人が「モリッシーの現在が見たいよ」ってなに???平気??と思いました。驚いたのは私だけでなくご本人もみたいで、
「スミスガチ勢の一人として、一番最初に来た感情が驚きでした。どんなに若く先鋭的なバンドより今を体現し表現している感じ。だからあんな激しいバンドサウンドなんだなと。How Soon Is Now?は原曲を超えましたし。 正直2016年は懐メロ、ディナーショーと感じました。大好きなスミスのモリッシーを一回観られたからオーケーと。だから予想してないんですよ、今回の凄さを! あれから当日のプレイリスト作って聴いてますが、Jack the RipperもIrish Bloodもライブで凄い事になったんだな!と改めて感じました。Half a PersonとPlease Please Pleaseは泣きそうでしたが、もっとモリッシーの曲が聴きたかった、これが素直な感想なのが自分でも驚きです!」
私は受験生だったら、参考書だったら、以下の箇所に蛍光マーカーで線を引きたいと思いました。
モリッシーの現在が観たい
モリッシーって全人類、ホモサピエンスの数パーセントの必須成分
彼がいない世界はありえないと思ってる人が多く集まった空間
どんなに若く先鋭的なバンドより今を体現し表現している
Kimuraよ、やっとわかったか…(涙)。って、わからせたかったわけでも無理に「ガチモリに転向せよ!!」とか「おのれ、ジョニー・マー踏み絵を踏めるか!?」「か、隠れマイク・ジョイス担か…!?」とかやりたかったわけではありません。ただ、もう、モリッシーの実存に触れた人の心からの驚きが嬉しいばかりです。
このモリッシーの「凄さ」はどこから来るのか。それは28日に新豊洲のうねるような人間の圧、絶叫、咆哮、「ありがとうモリッシー!!」(なぜか今回日本語で感謝を言うブーム到来)を体感した人はわかると思います。
「絶対あんたがいないとダメなんだ」
あんた=「スミスのモリッシー」とかそういうことでなく、今目の前、ここにいるモリッシー。そう思っている人間たちとの相互作用であのようなモンスターが生まれたのです。いわばポジティブ共依存。我々の愛の力が反映されてのあのモリッシーなのだと思います。いまだにモリッシーが増強中なのは、身体管理やストイックな(ちょっと普通と違う)プロ意識もあるでしょうが、それを下支えしているのはファンの愛です。モリッシーはファンとの愛の交歓のプロなので、出てくるだけで日本のオーディエンスの愛と渇望の雰囲気がわかってしまったんだと思う。だからあんなに上機嫌。べつにユニオンでレコード買えたからなだけであんなに上機嫌じゃないと思いますwww とてつもない愛と愛のぶつかり合いがあり、相乗効果であんなモンスターが生まれてしまった11月www
モリッシーは何度も、ここにいて幸せ、ありがとう、ありがとうと繰り返していた。
Irish Blood, English Heartを歌う前、
「私は世界のあり様を目の当たりにし、言いたいことを言う。考えたいことを考える。誰にもそれを止められない。たとえ殺されてもだ」
と声を上ずらせて強調していました。その強さは我々に力を与え、その我々がまた彼を強くする。
モリッシーが昨日、「TOKYO!」と公式サイトにアップしていた写真には「My love, my life」と書いてあった。
この写真(ケンさんモリセンデビュー)見てると泣いちゃう。撮っていたRyan君も必死の形相で物凄い恰好で撮っていた。
ボールドウィンの言う通り、愛というのは、我々が思うとおりには始まりも終わりもしない。愛は戦いであり、愛は争いである。それは人生そのものではないか。70分で物凄い衝撃とともにそれを伝えモリッシーは去ったけど、我々の愛は終わらない。終われない。
たぶんこの実録ブログも終われない。