




スーフェス54のサプライズアイテムというと自分的には
会場でコレがビビーンと電撃走りました。
マーミットさんの怪獣天国シリーズ「戦えマイティジャック」
に登場する悲劇の宇宙猿パッキー。
昭和の怪獣図鑑にも載っていた、長い腕と腹までを
包むようについた大きな顔面を持つ異形かつどこかキュートな風貌のアイツ、
劇中でどんな活躍をするキャラなのだろう?とワクワクしたヒトも多かったはず。
でもマイティジャックは再放送なども多くなく、このパッキーが
動いている劇中の姿を見たことのあるヒトも映像ソフトなどが出るまでは
少なかったはず。本放送時物心がついてた人も少なかったのではないか?
マイティジャックは途中で路線変更して怪獣やロボット、宇宙人なんかも
出てくるようになったけど路線変更まで
マイティジャックを怪獣目当てで見てた人は少なかったのではないか?
しかもそんなキャラが今般いきなし立体化・ソフビになっちゃったということで、
10月の受注通販を控えてですが、さっそくソフビのレビューなんかもしてみました。


戦えマイティジャック「来訪者を守りぬけ!」に登場したパッキー。
地球に不時着した平和的な宇宙人。モノロン星人のペットの
宇宙猿が宇宙船内の事故で巨大化する設定。
この話の興味深いポイントはウルトラセブンの「ダークゾーン」のように
防衛隊の特定のメンバーが、異星で遭難した
孤独な宇宙人を助けようと孤軍奮闘し
相手と友情が芽生える点。




しかし異星人を信じる隊員は宇宙船の修理時に起きたトラブルで
パッキーが変異し怪獣化、人里を襲ったことで苦境に立つ。
じつは友好的宇宙人を装った侵略者ではないか、
との誤解を生み、防衛軍の兵隊たちどころかマイティジャックの
他の乗員たちまでもが一見穏やかな物腰のモノロン星人の真意を疑い、
結果宇宙間に芽生えた友情はやりきれないモノロン星人たちとの
別れと結末を迎えることになる・・・。
ラストでモノロン星人が地球からの去り際に
友好のしるしとして人類に篭に入った異星の鳥を置いていくが
人類はまたパッキーのように突然変異すると見て平然と射殺してしまう。
20年以上後に作られたハリウッド映画「マーズアタック」にも似たシーンがあるが、
ティム・バートン監督は
マイティジャックを見てパロディにしたのだろうか(んなわけない)









のどかな奥多摩の山村を破壊、やり場のない力をふるって進撃するパッキー。
おとなしい手乗りの宇宙猿が宇宙船の修理中に変異、口から炎を放ち
マイティジャックの艦載機エキゾスカウトと激しい攻防をくりひろげるが
結局力尽き全身火だるまになって死ぬ。宇宙で変異した宇宙飛行士
ジャミラの哀れな最期の変奏曲的なキャラのようでもある。
パッキーのキグルミは勢いよく火に包まれているので
撮影現場で焼失したようだ。
登場時間は2分程度と短いながら見ごたえ満点。
パッキーは、じつはウルトラシリーズにも関連深い重要な怪獣でもある。
もともと「ウルトラセブン」が企画段階は7人の原始人を描いた
原始時代のSFドラマとして作られる企画案があり、
その番組制作検討時、タイトル通り7人いる原始人の一体として
試作的にキグルミが作られたのがこのパッキーなのだという。


しかし原始版「ウルトラセブン」てどんな内容だったんでしょうね。
もしかしておかしなおかしな石器人や
フリントストーンみたいな恐竜なんかも出てくる原始コメディみたいな
作品になったのカナ?当時は「チビラくん」でも家族モノの
コメディになっていたのでその流れの原始SFスラップスティック
コメディのようなストーリーだったのかもしれませんね。
今リメイクしたらどうか?八木毅監督あたりが新規にリファインしたら
「ウルトラセブンX」みたいにいい意味で暴走した
アバンギャルドな企画になりそう。パッキーも
新規きぐるみでリメイクしたりして。
こうしてみると、同時代の「チビラくん」にぷらっと
ゲストで出てきても違和感なさそうだなあ、パッキーは。
東宝の逆襲コングを徹底的にデフォルメすると
こんな感じ?


劇中のキグルミを観察すると、目がパチパチとウインクしたり
するギミックもついていたりかなりコミカルなキャラを標榜して
スーツがつくられていた気配なので、原始版セブンでは
ゲスト怪獣ではないレギュラーキャラであったなら
原始人たちのマスコット的存在として活躍する予定だったのかもしれませんね。
それだけにこのマイティジャックで与えられた出番では
全身火あぶりになり異星の土になるという悲惨な末路・・・。
つくられなかった原始版セブンの企画が変更になり一度も映像に使われず
彼は倉庫で眠っていて、いきなりマイティジャックの現場にかりだされて
最初で最後のお勤めとあいなりました。蛇足ながら、
戦えマイティジャックでは同様に無印マンの名獣ケロニアも
巨大ミイラ役として登場しマイティジャック号のリアエンジンの
ノズルで焼かれ腕がもげ、海に転落しとにかく悲惨な目にあって
おります。使えるものは何度でも見立てして画面に放り込む。
擦り切れるまで酷使する円谷の環境にやさしく
キグルミに過酷な慣習がここでもフル発動、ってな感じですね。
そんなわけでこのパッキー君、映像の中では非常に登場場面は
短いけどいわくのあるキャラなのでマニアはあれやこれやと
脳内補完して楽しめるソフビになるのではないかと思いマス。


そういえば、飼い主のモノロン星人のキグルミは
セブン最終回に登場したゴース星人を赤くリペイント
したもの。セブンに縁の深い宇宙人のペットとして登場するのも
なにやら因縁めいたものを感じマス。ベアモデルさんのゴース星人と
いっしょに飾っても楽しいかも。
このパッキーのソフビを手にしていると、いろいろと
原始版セブンのあったかもしれないストーリーが脳裏に浮かびそう。
でも地球防衛ヒーローモノとしてウルトラシリーズが
その後連綿と作られていくことを考えると、もしこの巨大猿の
キグルミが出てくる、実際に作られたウルトラセブンではない方向に
この時作られたら・・・その後のウルトラシリーズもまったく
違った方向性に進んでいたかもしれないですね。
そんな意味でこの宇宙猿パッキーはウルトラシリーズの進化というか、
あったかもしれないウルトラシリーズの突然変異のきわどい
軸線上に立っていた歴史の証人、ミッシングリンクの猿とも
いえる重要な存在なのかもしれない。。。!

今年はサンガッツさんのナキラといいこのマーミットさんのパッキーといい、
マニア泣かせな隠れた昭和の名獣のソフビ化が続いております。
そういえばどちらも名匠・高山良策さんの造形キャラではないか!
ソフビファンの棚=立体版怪獣図鑑も、昔から思い描いていた、
あいつがソフビになってこの場所に置けたら・・・!てな空席が
インディーズソフビメーカーさんの手により
どんどん補完され埋まっていく、うれしい流れになっていますね。
今なら絶対とおらなそうなデザインで
スゴイですね。
今は通らなそうなディザインが
通っちゃってる例なんて見たこと
ないからなぁ。
もう俺たちは死んじゃうんだから、
どうでもいいけど、
これからを生きなきゃいけない連中には
厳しいだろうなぁ。
こういう日本の通りそう/通らなそうってのも、美意識に入っちゃうんでしょうね。
なんというか、合理性とか質実剛健以外の
ディザイン的排他言い訳を
認めたくないのも
しがないれぷりかんと職人としての
性質なんですかねぇ。(とか、㌧㌧
しかし、ゴース星人って、セブンの時でもこんなに作ってあったんじゃろか?
どんどん無難になったのはいつからだろうか。
なんらかのコペルニクス的転回があったのは、バブル崩壊以後の90年代初頭以降だな。
結局今では通らないようなアバンギャルドな
ルックスのデザインや造形の立体化が
今のウチのブログであつかってるような
インディーズトイの「作られる」
「消費される」ニーズの根幹にあると
思う。
このパッキーもね。
外人さんはこのキャラが映像さきにありきと
知っても、画像をみないとキグルミでなく
人形アニメで動くのでは、と思うかも。
逆説的な話も通用する。
いかにも企画が通らなそうなルックス=
立体化すると売れそうと思い込むように
なったのもある時期からの習い性の
ような気がするな。
原始版セブンてこういうパッキーのような
デフォルメされたキャラが
たくさん出てくるなら
人形アニメとか置きかえの
クレーアニメなんかを使用して作っても
面白かったかも。でもそんなのが
実現していたらますますウルトラシリーズ
から遠ざかって行っただろうけど(笑)。
ゴース星人というかこのキグルミは
ゴースの時も数人いたので
全部塗り替えたんだね。
ゴース時はチーフのヤツだけ
服の色や仕様が違ってたけど。
ウルトラファイトの最終回で
怪獣倉庫内にゴース星人の仮面が
ころがってる場面があるけど
もうリペされたモノロンの状態だったんだ。
なんで赤い顔なんだろうとこのパッキーの話を
後年見るまで謎だったなー。
すごく楽しみです。
つか既成事実にするということで。
自分もぶたのはなさんに
さりげなくそのことは
教えてもらいました。
そちらもビッグサプライズです。
ぶたのはなさんのテイストなら
ピッタリですね。
すでに似たようなテイストの
キャラでサンダーマスクの
猿怪獣もイイのができてるし、
パッキーは当然ながら
ハズレない出来になりそう。
ここはぜひ、実はマイティジャック
以外にチビラくんにも出てきた。。。
てな妄想で、チビラくんたちと
並べたいですね。
2つのメーカーによりスタンダード
とミドルでパッキーがファンの手元に
そろいそうでうれしい展開に
なりましたね。
http://blogs.yahoo.co.jp/hirano282828/61700193.html
はじめまして。こんばんわ。
ブログの記事で拙文を紹介していただき
ありがとうございます。
ブログ拝見したんですがマグマ大使のマーミットアイテムの棚、かっこよく
ゴア怪獣がそろってていいですね。
ソフビへの愛をものすごく感じます。
ミニチュアセットを設置して写真
撮ってるのもなんかシンパシー感じずに
いられないにゃあ(微笑)それと
アニメも特撮もオールマイティ
なんですね。
記事がいっぱいあるので
ゆっくり拝見させていただきます。
パッキーはちょっと意表をつくリリースでしたよね。特撮ファンは写真を見て
このビジュアルインパクトで
パッキーの名前を記憶しているヒトも
多いと思います。
もすらさんもやはりお目に留まりましたか。
11月に受注開始するようなので
気になったらぜひ
パッキーもコレクションにも追加して
あげてください。
>≫結果、宇宙間に芽生えた友情はやりきれないモノロン星人たちとの別れと結末を迎えることになる・・・。ラストでモノロン星人が地球からの去り際に友好のしるしとして人類に篭に入った異星の鳥を置いていくが.人類はまたパッキーのように突然変異すると見て平然と射殺してしまう。
>「来訪者を守りぬけ!」は未見ですが、金城哲夫さんのシナリオ集「宇宙からの贈り物」に掲載されたシナリオでは、エンディングが異なっていたそうですね。
この本では、今井隊員(マイティジャックの隊員)が攻撃中止を訴える→「今井さんの言うとおり、私たちはとんでもない間違いを犯したのかもしれないわ」(奈美隊員)と小川隊員の「敵の見方を出る意味で攻撃を中止しよう」と言う言葉に天田隊長も頷くシーンを挿み、救助隊の宇宙船に乗り込むモノロン星人→ふとモノロンは立ち止まり、マイティ号に向かって手を振る・・・と言うシーンが用意されてました。
その後シナリオでは、マイティ号のモニター越しに「さよなら」とモノロンに言う今井を見て「やっぱり迎えに来たのね。」と言う奈美隊員→天田隊長が「大きな間違いを犯すところだった」と呟くシーンの後に、以下のエンディングナレーションが用意されていました。
「二つの魂と魂のふれあいが、無益な戦いを避ける力となった。マイティジャックにとって、それは大きな教訓となるに違いない。」
この文を読むと、シナリオ版「来訪者を守りぬけ」はハッピーエンドなラストが待っている雰囲気を感じました。
こんにちわ!ご高覧いただき多謝です。
そうだったのか、
シナリオ段階では随分前向きな結末なんですね。
金城さんのシナリオ段階では
あえてペシミスティックなラストでなく
違う星の人間同士、未来に期待が持てるラストに
なっていたんですね。映像化された本編は
真逆で危機管理に個人の友情が打ちのめされ
重苦しく終わる結末だったので、
現場とのコンセンサスなどから改稿されたのかも
しれません。
ただ、本編もシナリオも結果として、同じような
テーマとしてお客には届いた感触がありますね。
星人も無事帰還できたし、地球人にも理解者は
できたということで、
シナリオと本編で結末こそ異なれど
同じテーマを説いたといってもいいんじゃないでしょうか。
昭和40年代初頭のまだ戦後を背負った
文化や人同士が邂逅して新しい価値観を
生み出しても旧体制の空気により峻別される
リアルタイムの空気も背負って、あえて
異星からの来訪者とは
ビターな別れでまとめた気配もします。
でもしんごさんの教えてくれたシナリオ版の結末の
ほうがウルトラとか円谷らしい結末ではないかと
思います。「それでも相手を信じたい」という
希望がハッキリ描かれていますしね。
あと、パッキーの死もこのシナリオでの結末のほうが
報われるように思います。
マイナー目な特撮キャラの記事を掲載していると
こうして詳しい方からの来訪もいただけることもあり
いろいろ教えていただけてとてもうれしいです。
これからも機会ありましたらご教示のほど、
よろしくお願いいたします。