KADOMIUMTANK ソフビブログ

ヘミングウェイの詩にこんなのがある。
「人生は素晴らしい 戦う価値がある」
後の方は賛成だ byモーガン・フリーマン

アガスケロン×ミイラ人間

2010年08月02日 | インディーズソフビ

WOMBAT TOYSさん、ヘッダーがいつの間にかパルプSF風にカッコいいものに
変わっている。



真夏の納涼怪奇系?ソフビ。

昭和のゾッキカード系発祥の怪作・熱海を襲ったパチ怪獣
アガスケロン(カード上名称はアカスケロニ)。
パチ怪獣ソフビファンならおなじみのWOMBAT TOYSさん製で
立体化済みなんですが、ブラックVER.やクリアVER.など何回かのカラバリ展開を経てとうとう
カードオリジナルカラーでリリース。このたび手元に届きました。
ふき取りで全身のひび割れに墨入れして、アクセントのブルーを体表に部分吹きしていたり、
無駄にカードのカラーを精密再現しているのがプロダクツとしてのリスペクトゲージも
ピピッと上がります。カラバリ続きでもうおなかいっぱい、と思うと
こんな凝ったカラーが出ると注文せずにいられませんでした。

まあ、自分的にはイチオシのスーパーモンドな観光地である
熱海ホームグラウンドの怪獣ですしね。



今すぐはちょっと熱海に行けるめどがたたないので
まずはアガスケロン2号くん
(ギャンゴを勝手に命名)といっしょにカード上のポーズを再現。
自分的に盛り上がることは少し実現まで、寝かすくらいが実際はいいのかもしれんしなあ。
というわけで先に備えてカメリハ(笑)。

元のカードは1枚しか絵柄が存在しないので当然リアビューや下半身はないところを
WOMBATさんのほうでうまく「らしい」感じでディティール補完しています。
下半身はカードをよく見ると途中で描線が消失しているので
長らくマニアの間では腰みのの部分から下が存在しない説があるんですけど、ただでさえ
不気味な怪獣なのに、上半身だけで空中を浮揚しているのか…。それはそれで怖いな。



これが元のカード。以前、旧ソフビブログでも記事を書いてるので
それと重複しない部分でいろいろ考察してみると、
このカードを製作したヨコプロの絵師さんは
ギャンゴが熱海のホテル街で暴れているスチール写真を用意して、
ギャンゴが横向きに写っているアングルをレタッチ。背中に
変な突起のある別怪獣に仕立てた。さらにその傍らに
別スチールのジャミラ(たぶん高山良策スタジオでのスーツチェック写真の一枚)を
レタッチして一つ目で腰みのをつけた怪獣にデッチUPしてレタッチ。
ギャンゴの横にぺったん貼り付けたと。
問題は中途半端な位置に写植が打たれている
怪獣名「大怪獣アカスケロニ」。2匹いるどっちをさしてるのか
わからない。アカス(左の)とケロニ(右の)という怪獣だという説もありますが
ヨコプロカードは2匹居る絵柄の時も1個しか名前が指定されていませんから。。。
自分的にこれは「アカスケロニ」は両方の怪獣だと思っています。
ヘドロ1号/2号みたいな個々に姿の違う怪獣なんですよ、きっと。



で、これがタコが熱海まで行って撮った写真。自分ながら酔狂です。この頃は
ミカンみたいな色のアガスケロン2期しか持っていなかったので
色はカードとそろっていません。1期のアガスケロンは大阪スーフェスが
初売りというハードルの高さ。ホワイトボディに
レッドのスプレーだったのでカードの元色に近かったのですが、
当時パチ怪獣のソフビは全般に高かったので気に入った色のをショップ等で見かけても
ぜんぜん買えんかったです。まあ今にして思えばこれだけアガスケロンに
こだわりをもったのは1期を入手できなかったからなのかもしれないのですが。

それはそうと、この風景はあるホテルの庭から撮ったんですが
ちょうど熱海の街を見渡せて、アガスケロンのカードを再現するには
格好の場所でしたね。ホテルの人も自分が撮影してるのを見つけての対応で
非常に理解のある人で、おいてあるツボまで移動していい位置で撮らせてくれたり。
自分が熱海の街が好きなのもそういう、暮らしているおおらかな街の人の雰囲気も込みで、
なのかもしれない。観光地としてはバブル崩壊後のどん底を
ずっと見てきた立場としては、佇まいは変わらずとも経済的復興は期待したいですね。
そんな熱海も最近は人気の萌えゲーム「ラブプラス」の
イベント会場としてご当地的ニュアンスも加味されて稼動しているみたいです。

しかしこのアガスケロンのオリジナルカードですが、
カードの絵柄をきちんとアングル再現するには熱海湾に船で出て、高所から
湾に面したホテル街をバックに2匹のソフビを並べて撮らないと
完全ではないところなんでしょうが。。。
(しかしこれがハイタワゴンだったらエッフェル塔まで行かないといけないのか。
夢中になったのが熱海という近場のアガスケロンでよかった。。。あ、
怪獣世界一周カードは観光絵葉書バックのほうがリアリティあるか(笑))





ブラックVER.はパチサミで販売されたものだったカナ?
完全ガングロフラダンサー風でこれも気に入ってます。



アップルゼリーのようなレッドクリアVER.もパチサミだったと思う。
このほかイエロークリアのKILLER J限定版もありました。
販売は何度か行われたけど、全部で6カラーカナ?

熱海→リゾートショーのフラダンスみたいな腰み装着という確固たる南方ムードが
担当絵師の脳裏になんとなく浮かんだので、斯様にファンキーな姿になったっぽいアガスケロン。
アガスケロンという名前は、なんかいい怪獣に使えそうな名前はないかな~とか
恐竜図鑑でも見てて、アーケロン(古代カメ)の名前からインスパイアでも受けたのでしょう。

夏向きの怪獣ですね。こういう暑い日、昼間の余熱をじわじわ地面が吸い込んでようやく
迎えた涼しい夜に届いたダンボールを開封して、おそらく製作者の思惑以上に
しびれてしまったわけですが。

しかしヨコプロカードについて、元絵の仕事としてはどう好意的評価してみても
やっつけ・適当としかいえないんだけど、無自覚に作られたものならではの奇妙なミリキは
考え抜いたり売るための下ゴコロなど一切はねつけたものができる。
洗練とか計算も働かないことで初めてパチ怪獣としては
「本物」になりうる、みたいなアンビバレンツさ。

まあ~恐るべしは、青息吐息その日暮らしのバックボーンで生み出された無自覚で
直感的な作業の妙、それは昭和の世のパチ職人がひしめく修羅の世界ならではの産物
ということなのでしょうが。
ヤツはおそらく心底怪獣に興味のまったくない人間でこそ生み出しえた
けっして狙っては作れない怪獣です。だから自分にとってどこまでもポイントが高い。

それは乱暴に言うなら、賞賛も利益も得ることなくモノだけ生み出せ、
作ったヤツは何の報いもなく血の涙を流しながらさっさとこの世の果てに消えうせろ
さもないと本物ができない、みたいな
非常にむちゃくちゃな話ではありますが、当時のパチ怪獣がミリキあるのは
どうもそんな路傍の根無し草のようなはかない存在が
根源の定義に横たわっているみたいな気がするな。。。
大きな資本とか的確なマーケティングでババーンと注目されるようなものに
持ち上げられるとどうも、存在の意味合いが狂ってくるのは確かです。



WOMBAT TOYSアイテムの通販を担当しているマーミットさんから
アガスケロンの段ボールに同梱されて届いたミイラ人間も紹介。
今回はロボット刑事のガトリングマンも購入しているんですが
なんともマニアックな荷物だな。

ミイラ人間もオレンジの1期ver.を持っているソフビなのですが、
劇中カラーのようなので思わず入手した次第。成型色はミイラに似つかわしくない
青空のようなブルーにチョコ色をブラシワーク。
腕を上げると上の内側のブルーが見えてミイラとしては違和感があっていい感じ。
スプレーワークの設計って大事ですネ。




「ミイラの叫び」。この時期にぴったりの納涼系キャラですね。

当時アリな空気も漂うレトロソフビとしてのミリキを
捉えた一品ではないかと。こういう、怪獣をあやつる等身大の怪人系円谷キャラは
マルブル隆盛当時はなかなかソフビ化されなかったものも多かったのですが、
マーミットさんがここまでのリリースでかなり空席を埋めてくれました。

あとは新マンのストラ星人かな。。。ストラ星人はデザイン画が出てこないと
ディティールが確定されないので製品化が困難らしいのは惜しいところです。
イメージ版とかのあつかいでなんとかならんかなあ。気長に期待したいところです。
最近ソフビ関係の版権取得に関しては、あくまでファンが傍で見ている感触で言っているのですが
人間キャラクターのソフビ化もここのところ悪魔っ子や巨人、ガメロンの上に乗っている
少年などを見るようにかなり自由度がましてきたところだけに
どんなキャラクターのソフビ化が今後も果たされるかは要注目というところですね。
なにかサプライズなリリースがあるとええなあ。

MINDMELT

2010年08月02日 | 日記


ほんとに暑さが続きますね。さすがにお盆あたりには暑さの折り返しに気づきそうな
気配はありますが。。。例年だと仕事で熱海に行くころなんですが。

この景気ながら実はありがたいことに
熱海のお客からお呼びはかかってたんですが
なんとなく電話やメールのやりとりで用が足りてしまいどうしても
顔を出す機会をここまで逸してしまったりする。
フットワークおちてるねん。いかんいかん。

熱海自体、風景が昭和最大の観光都市であり、そして
どこか怪獣が出現する場所であったのが年々キッチュでアナログな記号的面白さを失っており
その変化を目前にするのをタコもどこかで避けているのかもやしれぬ。。。

アニメ「地球防衛企業ダイ・ガード」の劇中ではなんと
熱海に日本最大の国際展示場が建ってたりするのですが、
(劇中で描かれなかったけど首都高速鉄道が発達してすぐ熱海に行けるんだろうな。
よく登場した中央線は今と変わらなかったようだけど)
熱海はここのところ、再々開発も進み、部分的にはダイガードでの未来予測通り
お台場と変わらない垢抜け(すぎ)た場所になっちゃいました、
なんてのはナシだぜATAMI。自分の中ではあいかわらずキングコングやゴジラ、
ガッパやギャンゴに襲撃されたモンドな熱海のまま。

そうそう、マーミットさんのアガスケロン、最近出たVER.は
まんま元のパチカードカラー再現なんで思わずオーダーしてしまったのだけど、
あれ届いたらちょっとテンション上がるカナ?
そったらまたウオッチしに熱海行きかな~。





夏の水辺にこらまた鮮烈なソフビ的追憶があるんですよ。

夏ごろの子供時分は、親や親戚の人や近所の団地の人たちと
よく車数台で連なって釣りに行ってたんですよ。
川沿いに釣具屋や食堂なんかがあって
そこで釣りの合間に食事したり親がお酒を飲んだりする間、店内を巡るわけ
なんですが、怪獣人形とかも当然売ってる。
空想雑貨さんのマスター氏が書いた本に書いてありましたが
「ジャイアントツインテールは海水浴場の海の家や釣具やのデッドストックとして
眠っていた!」っていう話のリアルタイムですな。あれは事実です。

昭和のころは遊びに行った先もそうやって釣具屋にしっかり怪獣が
待ち受けてるんですよ。吊り上げた鯉やフナ、なまずなどの魚やら、
網ですくったりスルメで釣ったザリガニやらと、店の軒先に
吊るしでぶる下がってる怪獣や怪人の人形。
川でラジコンのモーターボート浮かべてるラジコンマニアのアンチャン
なんかも居て、いわばローテクなテーマパークに行った感じ。

昭和のショミーンの家庭はリゾートなんぞにはちょいちょい行けなかったから
近場の遊園地に行くか、ただの川辺とか山の近くにデッチUPされた
パチリゾートで納涼されていたというわけ。
その手軽さは、今でいうゲームセンターとかスーパー銭湯みたいな位置づけカナ?

怪獣と春夏秋冬の森羅万象がごっちゃになっていて、
海水浴場、川と問わず夏の水辺はいかにも濃度が高い場所だった記憶があります。





自分が子供のころに釣りに行った川のほとりには
夏の間だけ稼動する掘っ立て小屋みたいな店が軒を連ねてた。

今考えるとそんな車の往来の多い場所はホコリっぽいし、
人も行き交うごみっとしたとこでメシ食うなんてたぶん思わないんだろうけど、
そういう場所の売り場にはビニールの爬虫類とかアテくじとか
怪獣人形とかプラモとか駄菓子系グッズなんかが置かれてて、
独特な空気を発しつつ釣りにやってきた子供たちを迎撃してた。

なんというか昭和のおもちゃの共通的な特徴として
「発達途上ならではのがむしゃらに過剰なエネルギーを漂わせている」傾向があるんですが、

いきずりで立ち寄った釣具屋とか
観光地のおもちゃ屋なんて、お客も日常からの開放感の中で見立てがユルイだろうし
パチ怪獣ソフビのような無版権の商材を売り逃げるには絶好の場所でしょう。
しかしそこは商人根性もあるのか、パチものとか平気で子供に売りつける商魂の一方で、
とりあえず手にしたモノでいっとき楽しく遊ばせる娯楽供給者として、
けっこう勘が鋭いというか、一家言あったのかもしれない。
実際、そういうお店にはうさんくさいけど
正規のおもちゃ屋では見かけない面白いモノがあふれていたように記憶してます。

店そのものがおもちゃ屋としてはパチ者、対・普通のおもちゃ屋のスタンスなわけですから
今にしておもえば、供給する業者も行きずりの客」相手で
商才に長けている特殊な手合いだったのカナ。
まあ、当時は娯楽も少なかったですしね。
まして昭和のおもちゃは、今では大きくなった人々の心を
なおひきつけるようなエネルギーを持っているのだから。

それにしても、われわれは怪獣ソフビという存在になぜ惹かれるのか。

娯楽への渇望がみなぎっていたものの
完全にそれを果たしえなかった未成熟の時代の面影を見出して
あたかも当時の精神的鮮度を、たとえ記号的なものにすぎなくても
今ひとたび取り戻したいから、なのかもしれない。

釣りなんて単調な遊びなんで獲物がかからないと、子供なんてすぐ飽きちゃうもの。
で、ふと水辺にたらした竿の先から目を川辺に移すと
あやしい店に目が行く。雨が降ると水が増水して沈んじゃいそうな場所に
ガクガクと傾いたような掘っ立て小屋を建てて商いをするセンスも謎ですが、
そんな投げやりな感じもまたタマラナイ。子供たちも誘蛾灯に引き寄せられるように
入っていくとそこには変なグッズや怪獣が。あとガチャポンまわしたりとか
子供たちは親が呼びにくるまで、だんだんここに来た当初の目的を見誤っていく。

それがまた釣具屋の軒先には巨大な吸血植物みたいなサボテンが植えられてたり、
悪の組織の幹部が連れてるような、しゃべる大きなオウムが足輪をはめられて
お客にささやきかけてきたり、入り口には
昭和の黒人カルチャーにのっとってトーテムポールなんかも
あって、「ワールドワイド」の記号を強引にしょったキーガジェットたちが
純和風の食堂である店内に無理やり暑苦しく溶け込んでお客を迎えてくる。

魚好きに商売になったんでしょうね、
熱帯魚屋もあったな、ワシントン条約?そんなものまだないっす。
平然とアロワナとかワニとかカメレオンとか売ってた。
怪獣も生き物もいっしょくたな感じ。ピラニア買った思い出がある。

まるで逆柱いみり先生の描く漫画に出てくる観光地の店まんまでしょう。
あれはほんとうにあった光景なんです。だから逆柱氏はよく読者に言われるのかも、
「なんでぼくの子供時代に見た風景をあなたが知ってるんですか?」と。

とにかく水辺といえば、過剰なエネルギーで、擬似的な観光地としてのアイディンティティを
いやがおうにも迷い込んだ者に注ぎ込んでくる場所。

デオドラントな日常離脱を果たす意味で完全な観光地といえる現在のデニーズランド
なんぞよりも、昭和の川辺はむやみに日常から乖離させることについて
過剰なエネルギーを供給するファンタスティックな空間でした。
そしてそこは怪獣たちが水から上陸し潜伏する場所という
子供たちにとっても重要ポイントだったのデス。



とりあえず強力な布陣を集め、冷やしてもらうことにした。ひえびえ~