KADOMIUMTANK ソフビブログ

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太田工房の怪獣ソフビたち

2010年08月21日 | インディーズソフビ



やった、だいぶ暑さもノーマルに暑いと知覚する許容範囲になってきましたね(関東圏計測)。
幸い酷暑を前にワンフェスやコミケなどの大きなイベントも終わっており、
なんとか命をつないだなんて思えるヒトもいるんでないカナ。
ちょっとここのところの暑さはシャレにならないでしたからね。
そんな自分も暑さの落ち着いた今になって急にバテてきて
なーんか思ったようにカラダが動かない。
たんに暑さにかこつけてダラけてるだけダロ、って?
とにかく睡眠だけはしっかりとろうと思うかぎり。やっとよく眠れますね。
みなさまもこれまでの猛暑で寝不足ではないかと思います。どうかご自愛ください。

てなわけでブログのほうも気の向くまま、つれづれなる思いのままにやっていきます。

マーミットさんのソフビ原型を90年代のビニパラ当時から手がけている
太田さんという方がいるんですが、この原型師さんがなんと
ソフビファンなら皆知ってる昭和のマスダヤスペクトルマンシリーズをはじめとする
ソフビ原型を手がけていた方であったと判明。
けっこうマニアの間でも造型テイストが昭和からひきついでいるっぽい人、
との印象で見られていたようなのですが、怪獣天国マグラーの受注前にそれが
明らかになりちょっとビックリ。




上はマーミットさんでの太田さん造型の最新作、スペクトルマンの
マグラー。スーフェス53での8月受注新製品サンプル展示コーナーで撮影。

先日自分はソフビ棚の配置を模様替えしようと思って、
出てきたコレクションのビニパラをじっくりとながめていたのですが、
太田氏の事実を知った上で改めて観察すると
道理で、90年代のビニパラリアルタイムでも「昭和のレトロ感」という面で
このシリーズ、大作りというかコテコテ感たっぷりで
妙に曲者なソフビ群であったわけだな~と改めて思いました。

というのもマスダヤさんのアクの強いスペクトルマン怪獣と地続きの
原型スキルから生まれていたからなんですね。
最近マーミットプラスでその事実が明かされているのを見たときは
ちょっとした軽いジャブをくらわされた気分でした。

んなわけで太田ソフビらしいイイ味のビニパラをちょいと並べてみることに。
独断と偏見でついついジャイアントロボ、マグマ大使の怪獣に集中してしまいましたが
このほかにもビニパラもウルトラ怪獣、東宝怪獣、大映のガメラモノ等も太田氏の作です。
マイナー怪獣好きのタコなのでそこは笑ってゆるして~、というトコロで。






昭和の時代へのタイムスリップ力も漂うマスダヤのスペクトルマンアイテム。
サンダーゲイはほとんど太田イマジネイティブ版という感じ。

三白眼でゴツい感じのテイスト、大ぶり感、無骨さ。でもおもちゃらしい
愛らしさや遊ぶ子供たちの目線におりたチャイルディッシュなテイスト配分、
太田さんの造型は当時から洗練されたマルブルラインとは
異質な独自の解釈で怪獣ソフビのテイストを作り上げておりました。

解釈、といっても、聞けば太田さんは怪獣に対してそう知識等なく作っていたそう。これは
太田さんに限らず、当時のどの怪獣ソフビの原型師氏もおそらく同じだったのでしょうけど
とりわけ強い怪獣ソフビへの認識力が働きかけないことによって、これらのプロダクツは
「意識しない」「仕事でやった」「凝らない」ことからかえって
今の時代でも愛好者が生まれるほどの妙味をかもしだしたような気がしてなりません。

ダストマンとかサンダーゲイに漂う、きっとこんなのが怪獣らしいんだろう、的な
独特の凶暴さをカリカチュアした表情は、そんな作り手の無頓着さからゆえ
生まれたものなんでしょう。
しかしマーミットさんで30年以上の時を越えて再びスペクトルマン怪獣を手がけるというのは
奇遇ですね。(そういえばビニパラベビーのスペクトルマンシリーズも太田造型なんですね。
あれは実質リメイク原型だったということか)




タコフェバリットの太田造型ビニパラを並べてみる。
スパーキーは劇中では操演によるエチゼンクラゲのような怪獣ですが、
このヒト型アレンジがイイ味になってます。
のちに再発売された、本来の膨潤比率通りの寸法のもの(右)も持ってますが
自分的にはやはり左の1期品のむやみなデカさを推します。




イカゲラス、アンバラン。
イカゲラスは今見ても大振りなポリ人形みたいな質感が
造型とあいまって絶妙です。古物かと見まがう感じがありますね。



ガンモンス。こちらもテレビの現物はキグルミ撮影時の
足の解釈が腰みののような毛細血管を生やして処理され
全身があいまいになっていたのですが、太田造型では
くっきり2本足処理のアレンジのソフビになっていて
ほとんど棒立ちなんですけど、スパーキー同様に大胆でイイ感じです。



サタンローズ。こらまた棒立ちで、ほとんどいけばな等で使うオブジェか何かみたいです。
劇中でもBF団の陰謀で都内の喫茶店に、観賞用の植木に偽装されて運び込まれてましたが。。。
このソフビは昭和の頃に作られた用途不明の変なプラスチック雑貨みたいです。
曲者造型にヨワい好事家にはビビーンとくる妄想力を放射能のように放っているアイテムです。
ビニパラは毎月数点のハイペースなので、昭和頃の怪獣ソフビと同じで
おそらくは煮詰める間もなくどんどん原型ができあがっていったのでしょうが
その勢いゆえに生まれた味のある一品ではあります。



海外でもPOPな怪獣として多数のファン、フォロアーを生んだ、
造型が映像を超えたビニパラの名獣、マグマ大使・バルザス。
その産みの親も太田氏です。
昨年「かえってきたビニパラ」の一匹として再発売されるくらい
味のある造型として再評価されたビニパラの出世頭です。この太田造型独特の
小細工のなさ、飾らないつくりが直球の味として
海の彼方の好事家にも新鮮さをもたらしたのでしょうか。
上のサタンローズとこのバルザスを見ると
太田造型は植物怪獣との相性がいいように思えます。また版権もので
何か植物怪獣系キャラのソフビ化をぜひてがけてもらいたい気がします。






マグマ大使のテラバーデン、キンドラ、ストップゴン。
3匹ともプレーン&ピュアな造型テイストで
手足の反りっぷりもオモチャらしくアレンジされ、
凝りがないのですがその素っ気無さが逆におもちゃとしてのアクをうまく相殺する結果になり
妙にひっかかりのある、飽きの来ないデキになっています。
マグマのビニパラは初期のものが少しアクが強すぎたかも。
後半のものが原型製作での慣れから何かをつかんだ感じがして、
自分はこの後期辺りのがフェバリットですね。

テラバーデンのもともとキグルミがもっている
どうにも暑苦しい表情なんか、太田造型と相性が良かったようで絶妙です。
テラバーデンとキンドラは同じ4足怪獣ですが、つくりの時期が近い頃からか
似たところもあって並べて楽しめる感じです。
初期のモグネスあたりもこのテイストでリメイクしてほしい感じ。

この3体は一見パチ怪獣ソフビのような素っ気無い感じもまたミリキかと。
太田氏はマスダヤ以外にもいろんなソフビの原型を
昭和当時手がけていたようなのですが
パチ怪獣の造型にはかかわったことがあるんでしょうか?
イベントでマーミットさんにお聞きしたのですが
残念ながらマスダヤのスペクトルマン等、明らかになっている部分以外は
太田氏自身があまり当時のことは細かく記録を残していたり
記憶にとどめていないとのことでした。当時のソフビ事情など、
記憶のある範囲でいいのでこれから語っていただけると興味深いでしょうね。



左の公害巨人ブラックジャイアントは昨年、マグマのビニパラ完結アイテムという
ことで海坊主とともに「怪獣天国」シリーズから補完発売されたもの。
この2体のリリースでビニパラマグマ大使はめでたく完結した。
2体とも正式にマグマ怪獣としてカウントするかどうかというところか
ビニパラ展開時は製品化されていなかったのだが、
ファンのアイテム完結に向けたこだわりの声もあり
13年ぶりに追加製品化されたもの。
原型はビニパラマグマシリーズと同じ太田氏によりしめくくられた。
相棒?のダコーダ(右)との2ショットも意外とネットでは見かけないような
気がするので載せてみました。
それにしても13年前に製品化された、この異形のダコーダ自体、
製品化がそもそも画期的というか酔狂といえるものだったのだが。。。



海坊主とブラックジャイアントの2ショット。シュールの極み!
考えてみたら、マグマ大使もスペクトルマンと同じピープロキャラなんだな。。。
この辺りも太田氏をめぐる縁のようなモノを感じます。



最新の太田怪獣の一体である、マーミット怪獣天国・超獣レッドジャックと
当時モノのマスダヤ・バロンザウルス。
この辺りのプロダクツを比べて見るとこれぞ太田テイストというのか、
昭和ならではの無骨さや怪獣としての攻撃的な
表情の強調、大作りなテイストなど、たんに洗練さだけでは出せない
怪獣ソフビのミリキに近接した独自のスキルから共に生み出されていること、
同じ人の作であることが時空を超えて理解できるところです。



やはりマスダヤのゼロン(ソフビ名はゼノンか)がもっとも太田氏らしさの漂う
ROOTS OF OTA KAIJU SOFT VINYL TOYという気がする。

現在も同社の怪獣天国シリーズで怪獣ソフビの造型を手がけている太田氏。
ご高齢の方のようですが、昭和と平成の世をつないで今も怪獣ソフビの愛好者がいる中、
レトロテイストとはなんぞや?という命題を
当時の空気を知る昭和感をもって、今も現役で怪獣造型を語り継ぐ原型師として
これからも活躍してほしい人です。