KADOMIUMTANK ソフビブログ

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グリフォン×マタンゴ

2010年08月03日 | 特撮・SF




すっごい暑いけどおもしろいからいい!つーわけで
ぶたのはなさんからグリフォンが到着。
さっそくすでに先行発売で入手した東宝キャラクター、マタンゴといっしょに紹介することに。
もしかして今後はソフト焼き玩具シリーズで東宝系キャラのソフビ化がつづくのカナ?



現在もトイグラフさんがヤマダマサミ氏による新規造型で製品化したり、東宝キャラクターでも
根強い人気で知られるきのこ怪人マタンゴ。

このマタンゴはTHRASH OUTでの大橋氏紙工作個展でも先行販売し好評となったもの。
その造型は当初の予想をいい意味で裏切ったのですが、質感がリアルタッチで
マタンゴのソフビとしてはミドルサイズながら類を見ない力強い造形になりました。



チビラ「うわー、ぼくたちの頭にもキノコが!!」

大橋氏によると、あまり映像に固執しないで自分のイメージで仕上げたそうなんですが、
自分的にはスチール写真で幼いときに見たマタンゴの不気味さにずいぶん近い
アイテムになったなと思いました。植物怪獣の造形は基本、ぶたのはなさんも楽しそうですね。
ウルトラマンタロウのきのこ怪獣マシュラもいつかこのテイストで作ってくれるとうれしいな。

グリフォンは初ソフビ化された怪獣だけに
個展にさりげなく置かれたサンプルに注目していたヒトも多かったのでは。
海外でもぶたのはな個展の画像にグリフォンの未塗装サンプルが映っていて
現地のジャパニーズ カイジュウファンにとっても
アメリカのケーブルTVなどで「緯度0」はおなじみの映画なんでしょうね、
現場でも「OH!Its Latitude Zero!Griffon !」みたく
声を上げているファンもいたくらいですから。

仕上がったグリフォンは絵本的目線から独自のぶたのはなアレンジが入って
愛嬌たっぷりな表情の仕上がりに。S隊員の絵本に出てきても違和感なさそう。
スプレーワークもワシの羽根の部分や
尻尾をグリーンでさりげなく吹き分けてみたり「緯度0」の
劇中設定である合成怪獣らしさもよく表現されています。



以下は「緯度0大作戦」のグリフォン登場(たぶん)全ショット。

マッドサイエンティストで合成怪獣を使い世界征服をもくろむ悪党マリク
(演じるは怪優 シーザー・ロメロ)がライオンに自分の愛人「黒い蛾」の脳を移植して
生み出した合成怪獣グリフォン。映画を見るとわかるけど
いきなり改造された黒い蛾の脳がサボタージュして
高い岩のがけの上でタイガーマスクの虎の穴の像みたいな状態で
ポカーンとしてたりして、あれっ?活躍しないのか?と思うハズ。
締めでは裏切ったマリクに復讐とばかりに大暴れしますけどね。
キグルミに入って演じたのはご存知中島春雄氏。







グリフォンの全身が写るショットはラストに集中。
この作品もじつは2000年代中期に入るまで長らく封印状態で、
海外販売のビデオのコピーが海賊版としてマニアの間で流通する「幻の特撮映画」だった。
本多猪四郎監督一門、日本の特撮スタッフが
海外製作プロのドンシャープ社に招かれて当時、作った作品だったので
ずっと版権上の問題があり、東宝が公開やソフト化などの面で自由にできなかったんですが、
当時の契約書面等の状況が近年になって明らかになり、今では国内で正規ソフト化もされており、
普通のレンタルビデオに行き東宝映画の棚で借りて見られる映画になっています。

ゆえに登場怪獣の製品化もなかなか果たせなかったところがある
ソフビの題材的にはダークホース的作品であった。
そう、グリフォンもあやうく封印怪獣の一匹になるところだったのデス。









黒い蛾が改造されてライオンに脳移植されるという、ショックシーン。
こうしてみると公開当時の1960年代中期、海外で好まれていたヤコペッティなどが
潮流を作った残酷モンド映画のテイストもやや入っていたのでは…と思いますね。
今見ると映像にとんちの利いたほのぼのSFなんですけど、味はある。
黒い蛾を演じた女優さん・黒木ひかるは元タカラジェンヌで
切れ者の女幹部というよりはヒトのよさそうな年増のSM嬢、みたいな風貌なんですが
マリクからの見切られっぷり、哀れさも絶妙で「改造されちゃうのがかわいそう」とか言われて
今も年季の入った特撮ファンからこの役でみょーな人気があったりする。
マリクにだまされて巨大なトリカゴが落ちてきてつかまり、
手術台につながれて泣きわめくシーンが今もトラウマってヒトも多いのでは。





イワクラ(キャスト)さんも製品化してないような気がする(どうだっけ?)
グリフォンの元になったワシとライオン。ワシが手術台で
麻酔がかかりぴくぴくしてるのがロングで引いた画で確認できて妙にかわいいです。
キマイラ的なルックスの
怪獣を標榜したんだろうな。で、改造したマリクは神様気取りと。
ほかほか弁当の工程みたいにあっという間にグリフォン一丁上がりなのがほほえましいです
でも生まれたグリフォンはなんだか木馬座ケロヨンのおともだち的
ほのぼのお菓子癒し系だったりして、ほほえましい。。。
アメコミ的ヒーロー・ハードSFなコンセプトと
できたフィルムの仕上がりとのギャップもまた
この映画のミリキだったりします。
ぶたのはなさんによるグリフォンの製品化は、作品を新鮮な目線で
鑑賞しなおす上での良い切り口となったかも。





「緯度0」劇中にはマリクの改造怪獣・コウモリ人間、大ネズミ、グリフォンが登場。

コウモリ人間のキグルミはのちのち「行け!ゴッドマン」に怪獣バットマン
としてまんま流用されました。また「チビラくん」の1エピソードで、タイムトラベルした
チビラくん一家が未来で出くわすコウモリ人間の一家の親のキャラクターとして
流用されたりもしていた。今回のグリフォン製品化はそこに引っ掛けた感じで
思い立ったのカナ?
コウモリ人間もソフビ化したら味が出るアイテムになりそうですネ。



マリクの改造怪獣がうごめくブラッドロック島の魔窟にのりこむ
アルファ号のマッケンジー博士、ならぬチビラくんたちわんぱく怪獣風に妄想して
撮ってみました。
マリクと愛人のルクレチアはゴルバとママゴンでなんとなくそれっぽく。



ブラッドロック島の地下回廊、獣の檻に獲物を待ちうけ蠢く恐怖の合成怪獣たち。
「Gメン75」の香港ロケ編・人食い虎シリーズみたいな。
自分的にこういう構図がわくわく。



ブラッドロック島の処刑の浜で待ち受けるのは。。。突然変異した大ネズミの代わりに、
モングラーならぬ大モグラにしてみました。

X星人の円盤やメーサー光線車の砲塔、日本誕生のヤマタノオロチなど
東宝キャラクターのプロップがいろいろゲスト出演していたチビラくん。
操演が面倒でなければグリフォンのきぐるみももしかしたら
「チビラくん」に出演していたかもしれませんね。どんな役どころになったのでしょうね。
意外とオズの魔法使いのライオンとか、魔法系のキャラになっていたかもしれないな。
それはそれで似合いそう。









昭和70年代当時に発刊された「怪獣怪人大百科」に掲載された
「緯度0大作戦」の登場怪獣たちの写真を見て
(彼らはそれまで怪獣図鑑に写真が載ることが少なかったのです)
子供たちは「これはいったいどんなスゴイ映画なんだ!?」と
見れる時をワクワクして待ったものです。どちらかというと「大人の映画」扱いになっていて
深夜枠でこの映画がかかると新聞のラジオ・テレビ欄で知ると
わしらは眠い目をこすってオンエアの時間を待ったものでした。

ラストで主人公が目を覚ますと、ブラッドロック島でのマリクとの戦いは
夢だったのかどうかはボカされていて、島で同行していたマッケンジー博士とマリクそっくりな
軍人に救助されるという、なんともキツネにつままれたみたいな結末なんですけど
あれはまさに深夜映画で鑑賞した子供たちの目線・そのままのオチだったのではないかと。
夕べ夜更かしして観た映画は夢だったのカナ?みたいな。
しかもその後は幻の特撮映画になってましたしね。



いや、幻ではありませんでした。
主人公メカのアルファ号、敵メカの黒鮫号双方の
メカ描写は現在の目で見ても緻密で天下一品ですし
このグリフォンもかっこいい怪獣であることには変わらない。
シリーズ化されるようなムーブメントにこそなりませんでしたが
「緯度0大作戦」はいまだ見るたびにワクワクする極北孤高のファンタスティックムービーです。
とうとう今般、その登場怪獣がソフビにまでなってしまいました。