茂原市ことぶき堂鍼灸院

茂原市で鍼灸治療院を営んでおります。
東洋医学や日常生活のあれこれを日々綴っています。

壽堂日記28年4月6日「前立腺肥大・浮腫の鍼灸治療。」

2016-04-06 06:50:38 | 日記

前立腺肥大は多くの男性が経験する症状ですね。当院でも前立腺肥大の相談を受けることがあります。

今回は前立腺肥大が原因の浮腫と頻尿の患者様を治療しました。


尿は東洋医学的に「気の概念」として考えれば身体の熱を調節するもので、身体に尿が溜まると身体の熱が吸い取られて身体が「冷え」ます。

さらに尿を排出す るためには、一定の「気」の力が必要です。

尿の排出に障害がある方は、身体の「冷え」が強く、「気」の力が出せないため、水分が身体に残り「浮腫」となる と考えられます。

前立腺肥大など器質的な異常は特に「精気の虚」が強く「冷え」が強いと言えます。

今回の患者様は「冷え」がかなり強く、「陽虚」と考えられ、曲骨上の圧痛が著明であるため「腎虚証」で治療を行いました。

「腎」は東洋医学では精を蔵するとされ、腎の気が衰えると元気が無くなり、活動が低下したり、身体が冷えたり、生殖能力が低下したり、老化現象が生きたりします。

また腎気の固摂作用が低下すると腎気不固となり漏れ出る症状が出たりします。さらに腎は津液を主るとされ全身の水分代謝を調節していますが腎気が衰えると浮腫、尿閉、頻尿、下痢などの異常が起きることがあります。

今回は刺さない鍼を使用する「積聚治療」で気を動かす治療を「腎虚症」の本治法で行いましたが、背部の膀胱経2行線を治療した段階で足の浮腫が取れて来ましたので「冷え」が取れて来たと判断し、督脈上の命門上に箱灸をして、最後に右足の照海の圧痛 が残ったので、補助治療で左太谿を巨刺して反応を見ると、右足の照海の痛みが緩解、曲骨上の圧痛も消失していたので今回は治療 終了としました。

 

 

 

 


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壽堂日記28年4月4日「鍼灸による慢性疼痛の緩和。」

2016-04-04 04:19:19 | 日記

『腕・肩・腰・足が痛い。』と患者さんがお見えになりました。鍼灸治療は慢性の痛みの緩和に良く効きます。

では何故鍼灸治療を受けると、痛みや凝りが取れ、血行が良くなるのでしょうか。

「痛み」というものを、東洋医学では「気」であると考えます。

気血が阻滞すると痛みが発生する事を「不通則痛」と言い。気・血・精の不足などで臓腑・経絡が滋養されないと痛みが発生する事を「不栄則痛」と言います。

つまり「気」の異常が「痛み」であると考えます。

東洋医学に対して西洋医学では「痛み」は感覚神経の異常、あるいは神経の異常興奮だという考え方があります。

鍼の刺激により異常興奮の神経を鎮静させるというのが西洋医学の鍼理論です。

この西洋医学(現代医学)的な鎮痛効果の実際に目で見える現象として「軸索反射」と言う現象があります。


皮膚を鍼で刺激すると、局所に紅斑が出現します、この現象を「軸索反射」と言います。


これは

「求心性神経線維の終末にある受容器を鍼で刺激すると、インパルスは求心性に伝達されるが、軸索の枝分かれ部分から逆行して末梢にインパルスが伝わり、その神経端末部からも脊髄におけると同様な神経伝達物質(サブスタンPなど)が遊離され、血管拡張神経に作用し、血管の拡張が生じて血行が盛んになる」

ために起こるものであり、「軸索反射」は鍼が痛みや、凝りに有効的に作用する機序の一つとされています。

刺鍼による「軸索反射」が血流を促進して疼痛物質を排除し痛みや、凝り、筋疲労が改善されるわけです。

私の治療院では、本治法は接触鍼を使う刺さない手技を使いますが、標治法として刺す鍼も使います。

刺す深さは、浅く切皮程度ですが、「不通則痛」「不栄則痛」を改善する補法の際の鍼法として使用しています。
この鍼法は気血を対象として、陰虚や衰弱の強い人、深部の痛み、麻痺、悪感、痺れなどに良く効きます。


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壽堂日記28年4月3日「逆子の灸は熱い?」

2016-04-03 07:34:06 | 日記

「逆子の灸」を受けに患者さんがお見えになりました。お灸の治療の中でも「逆子の灸」は有名ですね。

当院では鍼灸による「不妊治療」を施術しておりますが、妊娠に係る、つわり、浮腫み、逆子など様々な症状も治療しております。

以前出産予定の方がお見えになり『一週間で逆子を治してほしい。』とのご希望を受けた事もありました。

『一週間以内に逆子が治らないと「帝王切開」になります。』とお医者さんに言われたそうです。

「逆子の灸」として一般的なのは「至陰」のツボを使用するお灸です。

足の小指の爪の外側に据えるのですが、灸熱緩和紙を使い両足の「至陰」に直接灸で行います。

お灸を据えると『体が暖まりました、手まで暖かくなりました。身体が冷えていたんですね。』との事でした。

「逆子」の原因は様々ありますが「冷え」が原因の一つではないかと考えられています。

今回の例は「至陰」の直接灸でしたが、棒灸を使用したり、鍼を刺すこともあります。

また経穴も「至陰」+「三陰交」・「至陰」+「足三里」あるいは「至陰」+「三陰交」+「臍返しの灸」などを組み合わせ症状に応じて治療しております。

本当は毎日お灸をするのが良いのですが、通院するのが難しいとい言うので自宅で出来る台座灸をお渡しして、旦那様にして貰う様にお願いしました。

結果として逆子は一週間で治り、無事に御出産を迎えられました。

 


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壽堂日記28年4月2日「美容鍼を受けてみませんか?」

2016-04-02 07:32:55 | 日記

「眼の下のクマと顔の筋肉が固いのが気になる」と男性の方が「北川式美顔鍼」を受けに見えられました。最近、美容鍼を受ける男性も増えました。

美容鍼といっても施術の方式として「全体治療+美容鍼」と「美容鍼」単独の二種類のスタイルがあります。

「全体治療+美容鍼」の施術をするところは少ないようですが当院では「美容鍼」の前に「積聚治療」による全体治療を行い、その後に「北川式美顔鍼」による施術を行うのがスタンダードとなります。

美容鍼の前に全体治療を行うことにより、体全体の気・血・水の流れを調えると、美容鍼の効果と持ちが違います。

今回は「眼の下のクマと顔の筋肉が固いこと」が気になるということでした。お体を拝見すると頸・肩・背中の凝りが強く感じられました。


「東洋医学」では、五臓の状態が顔に表れると言う考え方があり「顔は五臓の鏡」といわれます。

具体的な例を挙げますと、
・肝の働きが悪いと「瘀(お)血」と言われる目の下のくまが出来たり。
・脾の働きが悪いと顔色が黄色く萎びて見えたり。
・肺の働きが悪いと吹き出物・肌荒れが起きたり。
・腎の働きが悪いと顔色が煤けた様に黒くなったり、浮腫んだり、髪が白髪になったりします。

当院ではお客様の顔に鍼を刺すだけの美容鍼ではなく、根本にある様々な症状の「本」となっている五臓の状態を調える「本治法」により治療し、その後に顔に鍼をする「標治法」により五臓の失調でお顔に生じた症状を改善するのを基本としております。

美容鍼のお客様の多くは「私は体の具合が悪い所はありません。」「美容鍼に来たのに何故体全体に鍼をするのですか?」と質問されます。
しかし良く話しを伺うと、肩こり・頸凝り・頭痛・冷え性などの症状をお持ちの方が多いのです。


眼の下のくま、肌のくすみなどは「肝実お血証」が原因であることが多く、「ただ顔に鍼を刺すだけ」では期待する効果が出にくいのです。

当院では「肝実お血証」の場合は「脾虚証」で治療する事が多いですね。

何故かと言えば「肝」が実することにより相克関係にある「脾」が虚しているからです、東洋医学では「先ず補ってから寫す」というのが原則にあり「脾虚肝実お血証」の場合も「脾」を補してから「肝」を寫す事になります。

全体治療で頸・肩・背中の凝りを緩めた後に「美容鍼」は「北川式美顔鍼」で施術し、短鍼を使い鍼管を使わず二指推鍼法でお顔に30本を刺して置鍼しました。

顔に鍼をして暫くすると「顔が温かくなってきました。」との事、顔の筋肉が緩み始めた証拠です。


「全体治療+美容鍼」を終えますと、肌のくすみ、眼の下のクマが改善され、顔の筋肉が緩み、口角も上がるようになり、眼も開くようになり、お肌が白くなり透明感が増しました。


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