
■■■■■■■■■■旅に出る■■■■■■■■■■
中西英樹
タイ王国チェンライ市在住、ロングスティヤー
⬛️「旅に出る」
🔵 感染症騒ぎの日本から チェンライに戻って2年経った。 その間,
2,3泊の国内旅行はしているが外国には行っていない。 9月に半月
ほど一時帰国したが日本は外国ではない。
どこか 外国に行ってみたいな,, という気持ちが湧いてきた。旅行に
行く老人は 健康だ,という統計があるが、元気だから出かけられるの
であって,旅行すると健康になるというものではない。
でも最近は, 健康に不安のある高齢者も旅行を楽しんでいる。介助が
必要な高齢者の場合, トラベルヘルパーの方に介助を依頼する事がで
きる。
🔵トラベルヘルパーとは、介護技術と旅の業務知識をそなえた
「外出支援」の専門家のことで高齢者の旅行についての知識は もち
ろん、トラベルヘルパーは介護の技術も持ち合わせている。
トラベルヘルパーを依頼することで、介護が必要な高齢者も安心し
て旅行を楽しめるという。まだ介助の必要のない、やや元気な高齢
者には添乗員付きツアーやシニアプランがある。添乗員はトイレの
場所をすぐ教えてくれる。
またシニアプランは高齢者が無理なく旅行を楽しめるように、立ち
寄る観光地の数を少なくしている。また,できるだけ歩く距離が短く
できるようなプランになっていたりと、高齢者への配慮がある。
ところで. 総務省の家計調査報告(貯蓄の状況)2022年結果による
と,世帯主が65歳以上の世帯における貯蓄金額の平均値は2,414万円
となっている。中央値は1,677万円と下がるが 貯蓄以外の資産と合
わせれば、日本の高齢者は金持ちである。お金は墓まで持っていけ
ないのであるから「ワシが全部払ってやるけんのう」と言って子供
や孫と一緒に旅に出る、はいかがなものだろうか。冥途の土産にも
なるし、旅先で大往生すれば大いに歓迎されると思う。
⬛️「シニアの望み」
🔵介護ケアサービスなどを行う日本ロングライフは, 全国の60歳~
79歳の男女を対象に「人生の円熟期(プレミアム世代)と 理想のセ
カンドライフ」に関する意識調査を行った。
それによると「喜びや期待で心が躍る時,ときめきを感じる瞬間」の
・1位「旅行に出かけるとき」(60.5%)で、
・2位「美味しいものを食べる・飲むとき」(53.2%)、
・3位「きれいな景色を見るとき」(48.4%)
となった。
また「実現したい夢」について、自由回答形式で尋ねたところ、
ここでも
・「旅行」がトップで23.5%(1000人中235名)となり、
・2位「健康・長生き」(5.1%)、
・3位「お金」(3.7%)
と大きな差を見せた。
(タイ観光を象徴するタイ航空のエアーバス)
🔵旅行をすれば, 美味しいものを食べる, きれいな景色を見るは
当然含まれる。
高齢者がときめくのは「旅」に集約されるといっていい。
そしていつか"行きたい旅行先:海外“では
・1. 北欧(20.6%)
・2. スペイン(16.4%)
・3. ローマ(13.9%)
・4. オセアニア/南太平洋(13.1%)
・5. パリ(12.3%)
・6. ニューヨーク(12.1%)
・7. ロンドン(11.7%)
・8. バリ島/セブ島(10.8%)
・9. カリブ/中南米(9.7%)
・10. ハワイ/グアム/サイパン(8.7%)
が上がっている。因みにタイは15位に顔を出している。
あそこへ行ってワクワクしたい、こういった夢を持つことが健康や
若さを維持する秘訣につながる可能性がある、とこの調査は結んで
いる。
(●ベトナムの首都ダナンの街とビーチ)
⬛️「ダナン」
🔵ベトナムは数年前、フォルツァを駆ってラオス、ベトナム国境ま
で行った。ハノイまで行くつもりだったがラオスの入管で外国人は
バイクで入国できないことを知った。そこでフォルツァを置いて,タ
クシーで半日ほどディエンビエンフーを見物して回っただけ。
友人がダナンに往復2万円で行けるよ、と教えてくれた。LCCは日に
よって値段が変わる。予約ページでチェンマイーダナンの フライト
を18,450円で予約した。
(●ダナン.チャム博物館)
これまでの自分の旅行は点と線、宿泊先は毎日変わるという慌ただ
しい旅が多かった。ツーリングならば仕方ないが、今回はゆっくり
したい。チェンマイからダナンまでは直行便で2時間, 東京から大阪
の新幹線より早く着く。
🔵旅色編集部の調査「人が旅する理由」によると
・1:美味しいものを食べたい!
・2:絶景が見てみたい!
・3:人と触れ合いたい!
・4:傷心を癒したい!
・5:やりたいことを見つけたい!
・6:自分を見つめなおしたい!
・7:知らない自分を見つけたい!
以下略。
前段「ときめきを感じる瞬間」と重なる部分がある。ダナンは
港町、美味しい海の魚が食べられるはず。また古都フエや ホイアン
など世界遺産も近くにある。触れ合うベトナム人にぼったくられる
かもしれないが,これも旅のスパイスだ。5月病の学生では あるまい
し4位以下の,「傷心を」とか「やりたいことを」という気持ちはさ
らさら無い。さて,どんな旅になるか。
「古人も多く旅に死せるあり」というからこっちのほうが心配だ。
■■■■■■■■王侯貴族の暮らし■■■■■■■■
⬛️「いくらあれば暮らせるか」
🔵タイで暮らすといくらかかりますか, という質問を受けることが
ある。案外,この質問に対する答えは難しい。質問者がどういったレ
ベルの生活を送りたいかわからないからだ。
東京は物価高で暮らせない,とにかく生活費を安くあげたい、という
ことであれば、タイの田舎で月1万円以下のアパートに住んで, 庶民
と同じ食事を摂っていれば月5万円で暮らせるだろう。
でも食べて寝るだけ、普通の日本人がこんな環境で満足できるとは
思わない。タイの食事は辛いものが多いし、香辛料も違う。たまに
は和食が食べたくなると思う。チェンライでも和食店が増えてきた
が、店によってはなんだかなあという料理が出てくる。
🔵外国に住む以上、ある程度の妥協を要求されるし、妥協のレベル
が高い人は それなりのコストを覚悟しなければならない。あなたの
要求レベルによって生活費は変わってくるでしょう、が正しい 答え
かもしれない。
最近、ヤフーニュースに「タイにプチ移住してみた 生活費は
いくら必要かリアル検証」という記事があった。
業界紙の記者がバンコクでロングステイしたという体験記である。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=
20191107-00000004-moneypost-bus_all
・東京ーバンコク間の航空運賃が日本円で3万円前後、
・夏服だけで過ごせる、
・セブンイレブンの弁当が150円、
・エアコンをつけっぱなしでも電気代は3500円、
といった体験が綴られている。
記者は「月10万円あれば充分暮らせる、少し余裕ある贅沢をしたい
なら、月15万円ほどあれば十分といえそうだ。もし日本の生活に不
満を抱いているなら タイ移住を検討してみてはいかがだろうか」と
結んでいる。
■「ストレスだらけ」
🔵この記事を読んだ日本の友人から,年金だけでもこれなら 王侯貴
族の生活が可能ではないか、とメールがきた。 ウーン, 王侯貴族ね
え・・・・。
業界紙の若い記者と違って年金生活者はどこかしら体調に問題を抱
えている。屋台のぶっ掛け飯でおなかを壊さないとも限らない。
冷房の部屋に引きこもり、というわけにもいかないから30度の炎天
下を歩いて脱水症状、体力を消耗して生活習慣病が悪化する、
・タイの医療レベルはどうか、
・同じ薬を処方して貰えるか、
常備薬を受取りに日本を往復するのではとても月10万では暮らせな
い。
自分を含め、老い先短い年金生活者に残された楽しみは食事、たま
には和食もどきで故国を偲びたい。ところがそのわずかな楽しみが、
ええっ、これが和食かよ、とストレスの元になりかねない。
周りは言葉も通じず気転も効かず、何事にもお気楽なタイ人ばかり、
アー もう嫌だ、日本に帰ろう。それほど短気でなくても病を得て、
心弱くなりひっそりと日本へ帰国する人は少なくない。
帰る家が日本にある人はいい。「父帰る」ではないが、自分勝手な
ことして暮らしてきたんだから、と日本の親族、友人から見放され、
帰るべき家もなく,タイ嫁にも逃げられて, 北タイのアパートで孤独
死という末路を迎えたご同輩もいる。どこが王侯貴族なものか。
■「生活を比較すると]
🔵ところで王侯貴族の生活とはどんなものだったのだろうか。ウェ
ールズ歴史研究家、たなかあきらさんのブログによいると,中世ヨー
ロッパの王侯貴族の生活は
・1)祈りと勉強:精神の安らぎ、統一と自己啓発
・2)領国の業務:午前中に集中し、短い時間で効率的に
・3)休養と娯楽:効果的に休養し、夜は娯楽に
というものだった。
朝は早起きで,領主としての重要でかつ難しい仕事は、午前中に詰め
込んで終わらせている。午後は,狩りや貴族同士の会談、人脈構築の
ための行事で、現在の接待ゴルフみたいなもの。そして夜は,晩餐の
あと音楽,ダンス,道化芝居を楽しみながら身近な人との交流・歓談っ
て感じ、だそうだ。
(●タイ北部の都市チェンライ)
🔵今の自分の生活は,というとお祈りも仕事もせず、狩り(テニス、
ドライブとか)と娯楽中心、PCで貴族でも聴けなかった最高級のク
ラシック音楽を聴き、道化より笑えるバラエティのユーチューブを
見ている。
晩餐といっても 中世の貴族は手づかみで肉を頬張るくらい。こっち
は タイ飯、イタ飯、和食、肉、魚、野菜なんでもござれ、酒だって
世界の酒が金さえ出せば飲めるし、実際飲んでいる。
何千キロも離れた友人との歓談、交流も思いのまま。これは 王侯貴
族どころか、神様でもできなかった恵まれた生活ではないか。
考えてみれば自分は何と言う幸せな時代に生きていることか。昭和,
平成を生き,令和の御世に暮らす幸せを感謝しなければバチが当たる。
まあ「いくらあれば」も大切だが、どこで暮らそうと, 面白く住みな
すものは心なりけり、の気持ちが一番大切ではないだろうか。
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