銅板法華説相図, 長谷寺,奈良国立博物館に寄託 画像はウィキペディアから
長谷寺には、飛鳥時代につくられた銅板法華説相図が伝わっています。
そこに描かれているのは、お釈迦さまが、自分は釈迦族の王子として生まれ、菩提樹下で悟りを開いた一人の人間ではなく、過去から未来にわたって永遠の命を持ち、いつでもこの娑婆世界にあって、すべての人を救おうとされている本当の仏であると自ら語られる場面です。
お釈迦さまが、いよいよそのお話をなさろうというとき、大地から大きな塔が涌き出て、空中に浮かびます。塔の周りには、それこそ無数の仏さまが、あらゆる世界から、現在、過去、未来、時空を越えて集まり、お釈迦さまを囲みます。虚空にかかる塔の中には、多宝如来という仏さまが座っておられ、お釈迦さまは塔の中に入り、並んでお座りになります。そこで自分は、本当の仏であるとお説きになります。
法華経というお経に説かれているこの場面を、法華説相図は描いています。
持統天皇(一説では天武天皇)のために、この法華説相図を作り、豊山という場所を選んで、塔を建立したのが、長谷寺の起源とされています。