NHK朝の連続テレビ小説「あさが来た」。昨日、加野屋の元主人正吉さんが亡くなりました。
死期を悟った正吉は、「よの(妻)と二人にしてくれへんか。」といって、枕元を取り囲む家族や店の者を下がらせます。
よのの膝に頭を乗せ、一緒に行こうと約束した伊勢参りができなかったことを詫び、二人で空想の旅に出ます。
「うわあ、大きな鳥居やなあ。」「人がぎょうさんいてますなあ。はぐれんように。」
そのとき、正吉の手がすっと畳の上に落ちます。はっとするよの。
「よのさん、手。」正吉の意識が遠のいていくようです。
よのは、正吉の手をしっかりと握ります。よのに抱きかかえられながら、正吉は、神さまに祈ります。
「神さん、頼んまっせ。加野屋と私の一家がどうぞ、あんばいよう生きていけますように。よのさんが、うまいこと生きていけますように。よろしう、頼んまっせ。」
言い終わった正吉はもう、息をしていませんでした。
(画像はNHKのHPより)
こんなふうに、自分の家で、愛する人に囲まれながら、最後の思いを伝えることができて、静かに「息を引き取る」ことができたらと思わずに入られませんでした。
太陽が西の山に入るように、ともしびが燃え尽きるように、人の命が消えていくのを静かに見守ることは、ほんとうに厳かな瞬間だと改めて感じました。
僧侶として、人の死に接する機会が多いですが、この厳かな気持ちを常に忘れずにいたいと思います。