今年も残すところあと一日となりました。
お寺では、大掃除をしたり、新年の準備をしたり、とても慌ただしく時間が過ぎていきます。
心證寺では、新年1月3日に鬼子母神様のご祈祷会をしています。
今日はその鬼子母神様のお札に心を込めてお名前と祈願趣をお書入れいたしました。
家内安全、身体健全、病気平癒、学業成就などを祈願します。
鬼子母神様は、法華経を信じる者の守護神です。
法華経陀羅尼品(だらにほん)第二十六で、鬼子母神様は、娘の十羅刹女(じゅうらせつにょ)とともにお釈迦様の前に進み出て、法華経の行者を守護しましょうと約束し、陀羅尼を唱えます。その陀羅尼に従わず、法華経を説く者を悩ますならば、頭を七つにたたき割るという恐ろしい誓いを立てました。
当山にお祀りする鬼子母神様は、古くから伝わる木像で、衣紋などは金線で描かれています。鬼のような恐ろしさの中に、全ての者を守る強さと優しさを秘めた表情をしていらっしゃいます。
鬼子母神像は、ご祈祷会の折りにご開帳します。脇にかけてある仏絵を載せました。どうぞご参詣のうえ、お姿を拝してください。
祈祷をする修法師(しゅほっし)は、中山法華経寺に寒中百箇日(十一月一日~二月十日)こもっての荒行を終えています。朝三時の一番水から夜十一時まで三時間おきに一日七回水をかぶって身を清め、堂内にこもって読経三昧、食事は朝夕一杯ずつの水粥のみという厳しい修行です。寒さ、睡眠不足、空腹、足の痛み、疲労などで意識がもうろうとする極限状態の中で自己を見つめ直し、それまでの己の罪障を払います。まさに死ぬよりも苦しいところから自力で立ち上がり、諸天善神のご加護を受けながら、自己を厳しく鍛え直す修行です。
尊神祭で修法師が手に持っているのが木剣(ぼっけん)です。文字通り木でできた剣です。珠の大きな数珠とともに握り、カンカンという大きな音を立て九字を切り、魔怨、邪気を払います。
修法師が首から提げているのは撰経と言います。日蓮聖人がお選びになった法華経の要文を修法師みずからが荒行中に写経したもので、その経巻で頭や、肩、背中を打つことで、法華経の功徳が祈祷を受ける人の体にしみこみ、一年間の健康、安全、息災を祈ります。
鬼子母神様は、子どもの守り神でもあります。お正月は、お子様、お孫様とご一緒に心證寺にお参り下さい。