ジョッシュの日記

ジョッシュは好きな映画「big」の主人公の名前からとりました。趣味を大事にしながら長男くんと次男くんの育児に奮闘中です。

ボクシング過去名勝負(ベスト20)3位

2012年12月30日 11時36分12秒 | ボクシング

それではベスト3位です。

 

ホルヘ・カストロ vs 竹原慎二(1995年)

日本王座3度防衛。東洋太平洋王座6度防衛。23勝無敗。世界挑戦するには十分すぎる実績である。しかし私を含めて世間一般の評価は「世界挑戦は無謀な戦い」と思っていた。何故か?それは世界で最も層が厚く、そして日本人が誰も踏み込む事(挑戦)すら出来なかった階級、彼が「ミドル級」という「大き過ぎる山」に挑もうとしているからである。相手のカストロについてはWOWOWで何度か試合を観た事があるが、とにかく馬力が凄く、頑丈、そして劣勢に見せてからの大逆転を演じる試合巧者ぶり、まさに強豪、難攻不落な王者である。竹原慎二の十分すぎる実績があっても、この王者に勝つ事は無理だと思われた。私自身、数多くの展開(パターン)を想定するも勝利するイメージが全く出来なかった。当時の「期待の無さ」を物語るエピソードがある。それはテレビ放送についてで、竹原慎二の試合はいつもTBSが深夜に放送していた。しかしTBSはこの世界戦の中継を(期待出来ないという理由で)自ら辞退。そこでテレビ東京が放送権を得るのだが、テレビ東京でさえもゴールデンタイムではなく深夜枠での放送となった。いくらボクシング人気が下火になりつつあった当時でも、ほとんどの世界戦はゴールデンタイムで放送されたいた。深夜だった世界戦放送が「期待の無さ」を物語っている。

そして試合が始まった。ゆったりとしたカストロに対し、竹原慎二はスピードあふれるフットワークとジャブでペースを握る。竹原慎二がどんなにスピードが勝っても、カストロは「いつかしとめてやる」という余裕が感じられるのが怖い。しかし3R竹原慎二の左ボディーブローがカストロの腹をえぐると、カストロは顔を歪めてよろよろと後ずさりしそのまま膝をついた。正真正銘のダウンである。まさかの光景に後楽園ホールは大歓声。カストロは自らマウスピースを落とし時間稼ぎをする。効いている証拠だ。ダウンから立ち上がったカストロはゴングに救われるが、4Rからはさすが名王者、カストロも攻勢をかけ、一進一退の攻防へ突入。竹原慎二のボディーブローで何度もカストロがロープを背にするが、「劣勢と見せかけて大逆転」を何度も演じているカストロは最後まで油断出来ない。終盤は竹原慎二も打ち疲れを見せ、両者はフラフラになりながらも打ち合った。そして判定の結果は竹原慎二が3-0で文句無しの勝利。判定の瞬間の後楽園ホールの熱狂は凄まじいものがあった。

深夜放送だったので「これ夢じゃないか?」と頬をつねったのを思い出す。竹原慎二が教えてくれたのは、ボクシングに「絶対」は無いということ。そしてあれから17年がたったが未だミドル級の日本人世界チャンピオンは彼ただ1人である。どれだけの偉業だったか、この年月が物語っている。



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