共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

どこで息吸ってるの…?サックスアンサンブルによるバッハ《われ汝に呼ばわる、主イエス・キリストよ》BWV639

2024年05月13日 18時50分25秒 | 音楽
今日は凄まじい雨の音で目が覚めました。何事かと思って外を見てみたら、ものすごい風雨が吹き荒れていました。

子どもたちには申し訳ありませんが、こういう時に出勤日でなくて本当によかったと思います。この雨は明日には上がる予報なのですが、にわかに信じられない状況が続いています。

ところで、今日自宅で調べ物をするためにYouTubeを見ていたら、サックスアンサンブルによるバッハの動画が出てきました。内容はバッハの《コラールとオルガン小曲集(オルゲルビュヒライン)》の中の一曲『われ汝に呼ばわる、主イエス・キリストよ』をサックス3本で演奏しているものなのですが、それを見てビックリしたのです。

『われ汝に呼ばわる、主イエス・キリストよ』BWV639は、全45曲から成る《コラールとオルガン小曲集(オルゲルビュヒライン)》BWV599〜BWV644の中に収められています。

この《コラールとオルガン小曲集》は、当初1年分の典礼に必要なコラールを164曲選び、その全てに作曲するつもりで計画されたようです。しかし何らかの理由で、実際に作曲されたのは45曲となりました。

この《コラールとオルガン小曲集》が作曲されたのは1713年から1716年にかけての頃と見られています。当時30歳前後のバッハは、ザクセン=ヴァイマル公国の宮廷オルガニストとして活動していた時期でした。

実際に楽譜を見てみると



こんな感じで、右手(最上段)にコラールの旋律があり、左手(中央段)の細かなパッセージとペダル(最下段)がそれを支えています。これを見ると分かると思いますが、中央段はひたすら16分音符が動いているのです。

そこでこのサックスアンサンブルに戻りますが、ソプラノサックスがコラールを、テナーサックスが中央段を、バリトンサックスがペダルを担当しています。それだけ書くとさして驚くこともないのですが、先程も書いた通りテナーサックスのパートには息を吸うタイミングが全く無いのです。

一体どうするんだろう…と思って見てみたのですが、これがどこでブレスをとっている=息を吸っているのか分からないのです。勿論、全く吸っていないわけではなく何回かブレスはしているのですが、ソプラノサックスやバリトンサックスと見比べてみると、圧倒的に回数が少ないのです。

おそらく循環呼吸をしているのだと思うのですが、こんなに音の切れ目の無いオルガン曲を、よくサックスアンサンブルでやろうと思ったなと感心してしまいます。そして、実際に演奏して動画をアップしているあたりに、彼らの技術力の確かさを見る思いです。

ゴチャゴチャ言うより、とにかく先ずは聴いていただきたいと思います。アーチス・サクソフォン・カルテットの演奏で、柔らかな音色のサックスアンサンブルによるバッハをお楽しみください。




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