時間のしずく time drops 

たいせつなもの。すきなこと。

バスにのって。

2010-02-13 | essay
あれはいくつの頃だったのだろう。

母と一緒にバスにゆられていたあの頃。
小さい子は運転のお邪魔になるからと、
決して運転席の後ろの席には座らせてもらえなかった。

あのバスの座席の色は明るいキミドリ色。
伊丹のちゃこのおばちゃんの家に行くバスだ。

ある日、母がもうおねえさんだからと
あの憧れの席に座ることを許してくれた。

あの時の誇らしいきもち。
あの気持ちは今でもそのまんま想い出せる。

できるだけおねえさんらしくいられるようにと
微動だにせず、きちんと座っていた。

右側の隙間から見える、スイッチを操る運転手さんの右手。
魔法使いの手のように見えたっけ。

弟が産まれて「おねえさん」になった頃だったのだろうか。

4才か5才の小さなワタシ。

明るい日射しのバスの中、
キミドリ色の座席の上、
目に見えるほど、ひとまわりこころが大きくなった瞬間の記憶。


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