いまジャーナリストとして

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観光資源としての東京(1)・・・銀座を訪れる中国人観光客はどこで何をするのか、ご存じですか?

2011年01月16日 19時36分01秒 | 日記

 最近の銀座は、中国人の観光客であふれている。銀座
を歩いていると、おおげさではなく、通行人の3分の1
は中国人の観光客ではないか。
 よく知られているように、2009年秋、日本に来る
中国人に出す観光ビザの発行条件が緩和された。
 それをがきっかけに中国人の観光客が急増したのだが、
その多くの人が、銀座に来る。

 銀座で中国人の観光客が訪れる場所を見ていると、東京
という街が、実は、日本にとって大きな観光資源である
ことがよく分かる。同じように、大阪も、横浜も、神戸
も、つまり、私たちが暮らす普通の都市は、日本にとっ
て大きな観光資源になるのではないか。
 観光といえば京都や鎌倉――というパターンにとらわれ
る必要は、もうない。

 そこで、今回は、銀座に来る中国人の観光客は、いっ
たいどこを好んで訪れるのかを、紹介する。これは、普
段、筆者が実際に見て取材した事例を中心に、JTBに
勤務する友人に取材した内容を加えたものである。

 銀座通りの銀座8丁目の端っこ、新橋との境、銀座9
丁目とも呼ばれる部分に首都高の高架が通っていて、そ
の下が大きな高架下になっている。
中国人の観光客を乗せた観光バスは、この高架下に着
く。この高架下には、こうした観光バスが、常時、3、
4台は駐車している。本来は駐車場ではないので、厳
密にいえば駐車違反になるのだろうが、銀座通りの端
っこでけっこう広いで、まあ、交通の邪魔にもならな
い。警察もあえて文句は言わないようだ。

さて、ここにバスが駐まると、大勢の中国人の観光客
がどっと降りてくる。
この人たちがまず目指すのは、すぐそば、銀座8丁目
にある博品館・トイパークだ。
 トイパークは、ニューヨークの5番街にあるおもちゃ
の店FAOシュワルツを手本にして建てられたおもちゃ
のお店で、ビルの1階から4階までがまるまるおもちゃ
屋さんとなっている。
 おもちゃといっても、子供のおもちゃだけというより
は、むしろ、しゃれた生活雑貨のお店といったほうがい
い。
 筆者も好きで、毎日のように行く。
 とくに1階は、楽しくなるような雑貨であふれている。
 中国人の観光客は、この1階に、どっと入ってくる。
ユーモラスな貯金箱や、ちょっと変わった置時計、おも
しろい筆記用具など、手にとって、喜んで見せ合ってい
る。そして、実際に、買っていく。だから、レジは、中
国人の観光客で混雑している。
 博品館のスタッフに聞くと、
 「いやー、売り上げ、増えましたよ」
 という。

 博品館のあとは、一番近いデパート、松坂屋に向かう。
 松坂屋は、銀座にある3つのデパート、松屋、三越、
松坂屋の中で店舗が小さく、近年の消費不況の中で苦し
い状況にあった。
 筆者が見ていると、09年の夏ごろは、お客さんも少
なく、なにか、さびしい感じのするデパートだった。
 それが、いまや、中国からの観光客で、すっかり息を
吹き返した。
 中国からの観光客があまりに増えたので、昨年秋には、
デパートでは初めて、店舗の中に電器店ラオックスをオ
ープンした。ラオックスはもともと秋葉原の電器屋さん
だが、数年前、経営不振で中国資本に買い取られた。そ
のことを、中国人はよく知っているので、松坂屋のラオ
ックスには、どこか親近感を持って買い物にくるようだ。
当然のことだが、スタッフには、中国人や中国語を話せ
る人をとりそろえている。
 
 松阪屋で、ラオックス以外のフロアで何を買うかとい
うと、コーヒーカップやスプーン、フォークなどの生活
雑貨だ。
 日本のデパートに並んでいる生活雑貨は、小粋なデザ
インで我々もちょっと買ってみたいなと思うようなもの
が多い。こういうのは、中国ではなかなか手に入らず、
日本のデパートの独壇場になる。
 しかし、よく見ると、「MADE IN CHINA」
と書いてあるものも多く、中国人の観光客同士、あちこ
ちで「あ、これも中国製だ」「ここにも中国製と書いてあ
る」と言い合っている。それも、どこかうれしそうだ。
日本に来て、「MADE IN CHINA」の製品がた
くさんあるのを目にするのは、悪い気分のはずがない。
 日本人がニューヨークやカリフォルニアに旅行に行っ
て、「MADE IN JAPAN」の電気製品や自動車
を見ると、どこか誇らしくなるのと同じだ。

 しかし、そうはいっても、中国に持って帰る日本みや
げに、「MADE IN CHINA」と書いてあるのは、
ちょっと避けたい。
 そこで彼らは、松坂屋の店員さんに
 「MADE IN JAPANの品物はありませんか」
と盛んに聞いている。
 すると、店員さんも、店内を走り回って、MADE I
N JAPANの商品を探すのだが、最近は、これがな
かなかないのだ。
 そこで、店内には、日本製の商品には、初めから「M
ADE IN JAPAN」という表示がなされている。

 デパートでのもうひとつの人気は、化粧品のフロアだ。
ここで、美容部員のスタッフが、実際に化粧をしてくれ
る。日本やアメリカのデパートではよく見るシーンだが、
こうやって実際にお化粧をしてもらうのは、大変うれし
いらしく、中国観光客の女性陣が、きゃっきゃっ騒ぎな
がら、お化粧をした顔を見せ合っている。
 日本人にとって当たり前のサービスが、外から見ると、
非常に魅力的なサービスに見えるという、これは本当に
いい例だ。観光ということの大きなヒントがここにある
ように見える。

しかし、松坂屋は、もう完全に息を吹き返したようだ。

 さて、博品館、松坂屋と来て、次はどこに行くのか。
 そして、お昼はどこで?
 実は、それも、中国人の観光客の間では、しっかりと
決まっていて、定番となったコースがある。
 それは、また、明日に。
                (続く)
 
 

















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