いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

中国と南シナ海・・・中国に歯止めをかける外交力が、日本には必要です。現状は?

2015年06月01日 11時56分27秒 | 日記


 南シナ海の南沙諸島(スプラトリー諸島)を中国
が埋め立てて、さらに、兵器を設置していることに、
批判が高まってきました。しかし、中国は、知らん顔
です。
 ちょうど同じタイミングで、安倍内閣が新しい安保
法制案を国会に提出し、激しい議論になっていま
す。
 
 私は、憲法9条は守るべきだとずっと思ってきまし
た。
 いまも、そう思っています。
 
 しかし、この何年かの中国の拡大路線を見てい
て、痛切に感じることがあります。
 それは、憲法9条を守っていくには、強力な外交
の力、外交のパワーが不可欠だということです。

 ただ単に憲法9条を守っていくと唱えるだけでは、
何もできません。

 憲法9条を守っていくためには、まず、日本が戦
後70年、9条の下で、ただの一度も戦争をしていな
いことを世界中に、はっきり分かってもらう必要があ
ります。
 そのための外交努力、というのは、結局のところ、
ひとつには、それを広報、PRする姿勢と努力という
ことになりますが、その姿勢と努力がなによりも必要
です。
 しかし、日本政府、とくに、外務省がそれだけの
努力をしているかというと、それが非常に疑問です。

 シンガポールで、「アジア安全保障会議(シャング
リア・ダイアローグ)」という国際会議が開かれていま
す。
 そこで、日本の中谷防衛相とアメリカのカーター
国防長官が5月30日、相次いで、南シナ海におけ
る中国の埋め立てを非難しました。
 
 それに対し、中国の孫建国副総参謀長は31日
に講演し、中国が進める埋め立てについて「完全に
主権の範囲内であり、合法で道理にかなったもの
だ」と主張しました。
 孫副参謀長はさらに、埋め立てによって建設を
進める人工島は「軍事防衛の需要を満たすため」
と説明し、軍事目的であることを認めました。
 テレビのニュースでその講演の一部が流れていま
したが、孫副参謀長は「これは大国にふさわしい行
為だ」とさえ、述べました。
 これに対しては、会場から「本当に大国であるな
ら、そのように各国と摩擦を生じることはやめるべき
だ」との質問が出ていましたが、孫副参謀長は聞く
耳を持たないという感じでした。

 南沙諸島(スプラトリー諸島)というのは、地図で
見ると分かるように、完全にフィリピンの沖にありま
す。

 これのどこをとって、中国の領土だというのでしょ
う。前回書いたように、中国は、明の時代に南沙諸
島は明の領土だったというのです。
 そんな理屈が通るなら、現在の世界の国境は、も
う無茶苦茶になってしまいます。

 こういうことをして、それが中国の主権の範囲だ主
張してはばからない国が、「日本は戦争の行為を謝
れ」「日本は軍国主義的になっている」と日本を批
判するのですから、どうかしています。

 こうした中国の行動や発言にストップをかけるの
が、外交というものでしょう。
 
 しかし、中国の動きには、まったくストップが
かかりません。
 こう書くと、必ず、こういう反論があります。
 「いや、外務省もよくやっている」
 「日本の外交もがんばっているんだから」
 と。

 それは、違います。
 外交に限らず、政府の政策は、すべて結
果が勝負です。
 すべての政策は、結果責任です。
 「よくがんばっている」「よくやった」という言
葉が通用するのは、スポーツの世界の話で
す。「負けたけれど、よくやった」。
 外交は、「がんばっている」では済まされな
いのです。外交は、結果が問われるのです。

 日本が9条の下、戦後70年もの間、戦
争をしてこなかったという事実を、世界のだ
れもが知っているでしょうか。
 70年も戦争をしていないのに、中国や韓
国からは「日本は軍国主義の危険がある」
とか「日本は右傾化している」と非難されま
す。これは、いわれなき非難というほか、あり
ません。

 私たち日本人がフラストレーションを感じる
のは、
 「日本は、なぜ、正しく理解されないのだ
ろう」
 という点にあります。
 日本で軍国主義が台頭しているとか、日
本が右傾化されていると、中国や韓国から
いわれたとき、
 「なんで、そんなふうに誤解されるのだろう」
 と思います。
 軍国主義だとか右傾化しているといわれ
て、一番「えっ?」と思うのは、ほかならぬ日
本人です。
 中国や韓国からそういわれた時点で、日
本の外交は、あまりうまく機能していないと
いうほか、ありません。

 外交への失望が広がると、次は、軍事へ
の期待ということになってしまいます。
  
 新しい安保法制に対し、日本で反対運
動が盛り上がらないのは、間違いなく、中
国の脅威、中国に対する不安感が、私た
ちの間に広がっているからでしょう。
 9条を守るためには、圧倒的な外交力、
外交のパワーが必要です。
 9条は、「平和への願い」という願いだけ
守られるものではありません。9条は、外交
力とセットで語られなければなりません。それ
が、これまで、決定的に欠けていたのではな
いかと思わざるをえないのです。
 





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