いまジャーナリストとして

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東京五輪の問題三点セット・・・この緊張感のなさ。日本は大丈夫かと心配になります。l

2015年08月21日 12時34分50秒 | 日記

 東京五輪は、ちょっと危機的な状況になってしまいました。
 第一が、国立競技場の建設問題です。
 第二が、シンボルマークの盗作疑惑です。
 第三が、東京の猛暑です。
 これが、東京五輪をめぐる問題の三点セットです。
 そのすべてを、解決しなければなりません。
 おっと、もうひとつ、第四に、舛添知事のことです。

 では、まず、暑さからです。
 今年は、というより、今年も東京は猛暑でした。東京五輪は7
月24日が開会式で、それから2週間の日程です。今年、その時
期は、もう、とんでもなく暑かった。ただ暑いというだけではな
く、湿気も多く、熱帯という感じでした。
 そんな時期に、スポーツをやるというのです。
 夏に開く理由は、以前にも何回か書いたので、ここでは書きま
せんが、簡単にいうと、五輪の大スポンサーであるアメリカのテ
レビ局の要請です。秋は野球(メジャー)のワールドシリーズが
あり、五輪との重複を避けたいのです。
 
 しかし、今年の猛暑も、お盆を過ぎるころから、さすがに、少
しましになりました。今年は8月8日の土曜日が立秋でした。
 猛暑の中で立秋とは、という感じはあるのですが、しかし、伝
統的な季節感に基づくいわゆる暦(こよみ)はたいしたもので、
8月8日からお盆にかけて、明らかに、猛暑もピークを超えまし
た。17日の月曜からは、それなりに涼しくなり、きょう21日
の金曜日も、暑いことは暑いですが、猛暑という感じではありま
せん。
 これなら、スポーツもできます。
 国際五輪委員会(IOC)の定款で、夏季五輪をは7月、8月
に開くように規定されています。そう書いてあるから、夏の五輪
も、しかたなく、7月、8月に開くのです。
 東京五輪もそのために7月から8月に開くのですが、しかし、
それならせめて、お盆の後、8月の中旬から後半に、時期をずら
せないでしょうか。
 日本の五輪委員会は、猛暑の五輪の対策として、街のあちこち
にミスト(霧)の出る装置を設置したり、歩道を涼しい舗装にし
直したりするということを打ち出しています。
 しかし、そんなことより、時期を少しでも涼しい時期にずらす
のが、いちばんいいのではないでしょうか。

 第二に、シンボルマーク、エンブレムの盗作疑惑です。
 初めに疑惑を指摘したベルギーの劇場のデザイナーに対し、東
京の五輪委員会は、ベルギー側の言い分は一方的だ――などと反
論、抗議しています。ベルギーの劇場のロゴが商標登録されてい
ないので、法的には問題がないなどとの声も聞きます。
 しかし、東京のデザイナーには、その後、数多くの盗作疑惑が
出てきました。実際に、サントリーはそのデザイナーのデザイン
を使ったバッグの扱いをやめました。
 もう、初めからやり直したらどうでしょうか。
 法的には問題がなくとも、これだけ、盗作疑惑が表面化してし
まっては、もう、無理です。
 五輪は、スポーツの祭典です。
 スポーツは、選手が正々堂々と競うことに意味があります。
 正々堂々、フェアプレー、スポーツマンシップといった言葉が、
スポーツのありようをよく表しています。
 そういう世界に、いくら法的に問題がなくても、盗作疑惑が出
てきたデザインは、どう見ても、そぐわないでしょう。
 東京五輪が始まって、「これが盗作疑惑のシンボルマークだね」
と、各国の人から言われる場面を想像すると、うれしくありません。
 ここはもう、潔く、やり直す一手でしょう。

 第三に、国立競技場です。
 最初のデザインだと巨額の建設費がかかることが分かり、批判
の声が高まって、結局、やり直しになりました。
 これは、だれに責任があったのか、これから、だれに責任があ
るのか、はっきりさせなければならないと思います。
 民間企業でこんなことがあれば、担当者、担当役員、あるいは、
社長まで、辞任を迫られるでしょう。
 今回は、文科省の担当局長が事実上の更迭となりました。しか
し、この局長は、それまで、新競技場の建設で名前が出ていたわ
けでもなく、実際は、文科省の傘下にある日本スポーツ振興セン
ター(JSC)が取り仕切っていたのです。それなら、JSCの
責任はどうなるのでしょう。
デザインを決めた安藤忠雄氏も、記者会見で、自分の責任を問
われても困る、みたいなことを言います。
五輪委員会の委員長である森喜朗氏も、オレは最初のデザイン
はカキみたいで好きじゃなかったんだ、と言います。
みんな、私は知らない、オレは知らない、ばかりです。
当初からこのデザインに疑問を持っていた建築家グループが、
何度か、考え直したほうがいいと提案したときも、文科省なり、
JSCは「やり直していた時間がない」と答えたと、これは、
建築家グループが話しています。
しかし、いまごろになって、白紙から見直しているわけですか
ら、どこに「時間がない」のでしょう。

この三点セットに共通しているのは、
何度も指摘してきたように、ひとつは、「無責任の連鎖」です。
たとえば、東京五輪の開催時期を少しでも涼しい方にずらしま
しょうということを考えるとき、だれが責任を持って、それを
決定するのでしょう。ここでも、無責任の連鎖が続くのです。

そして、もうひとつは、「緊張感のなさ」です。

この緊張感のなさは、いったい、なんなのでしょう。
五輪委員会にも、文科省にも、JSCにも、そして、なにより
も、閣僚や国会議員にも、五輪をやるんだという緊張感が、ほ
とんど感じられません。

最後に、舛添都知事です。
国立競技場の建築問題では、ひとり、批判を繰り返し、ひとり
で「いい者」になっていました。

しかし、シンボルマークの盗作疑惑では、ほとんど何も行動し
ていません。
会見で質問され、似ているといえば似ているような、というよ
うなことを答えただけです。
はっきりしたのは、舛添知事にも、責任感と緊張感が欠けてい
るということです。

このままでは、東京五輪、危ないのではないか。
どうして、なにもかも、こんなにも緊張感のない状態になって
しまったのでしょう。
日本は大丈夫か。




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