いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

記者会見で切り込む覚悟・・・質問に立った記者が「よろしくお願いします」というのは、覚悟が足りません。プロ意識の問題です。

2017年11月14日 13時57分13秒 | 日記

最近、記者会見で、大変気になることがあります。
 質問する記者が、会社名と自分の名前を名乗ったあと、
 「よろしくお願いします」
 というのです。
 もちろん、全員が言うわけではありませんが、10人が質問に立つと、3、
4人は、「よろしくお願いします」と言っています。
司会が、「では、次の方」といって、手を挙げた記者を指名すると、
その記者が、「***テレビの***です。よろしくお願いします」と言
うのです。
 
つい先日、大リーグへの移籍希望を発表した日本ハムの大谷選手が
会見をしました。日本記者クラブという大きな場所で会見し、大勢の記
者が出席していました。
私は、テレビで見ていました。
新聞記者、テレビの記者、テレビのアナウンサーが、次々に質問してい
ました。
私も、意識してチェックしていたわけではないのですが、司会の方に指
名された記者が、何人か続けて「よろしくお願いします」というものだか
ら、気が付いてしまいました。

大谷選手の会見だけではありません。
ほかの会見では、記者が、自分の名前を名乗ったあと、「よろしくお願
いします」と言っています。
今度、何か記者会見がテレビで中継されたら、気を付けてチェックして
みてください。

かつて、記者会見で、発表する側が「よろしくお願いします」ということ
はあっても、記者側が、「よろしくお願いします」などということはなかっ
たと思います。

では、記者会見で、記者が「よろしくお願いします」というのは、どこが
おかしいのでしょうか。
簡単にいえば、記者側が、発表側におもねっているからです。

こんな感じです。
「すいません、私、あんまり勉強してないので、いい質問できないかもし
れませんが、ぜひ、いい答えをお願いしたいのですが。すいませんが、
よろしくお願いします」
とまあ、そんなイメージでしょうか。
言い換えると、記者側に、自信がないのです。

大谷選手の会見の場合、大谷選手というのは、言うまでもなく、日本球
界のスーパースターです。
投手としても打者としても素晴らしい実績を残り、年俸も何億円ともらっ
ています。
大谷選手からは、そういう空気や自信がにじみ出ていて、風圧みたい
なものが、テレビからでも感じられます。

そういう風圧に、記者側が、はじめから、やられてしまっているのです。
会見する人の風圧に、記者側がやられてしまうと、もう、いい会見には
なりません。

大谷選手の会見も、大谷選手は一生懸命答えていて、まじめな人柄
がわかり、大変好感が持てました。
しかし、記者側の質問が、なんだかまだるっこしい。
大谷選手の風圧に負けて、ちゃんと聞けないのです。

記者会見というのは、会見する人に、記者側が、切り込んでいくもので
す。会見に出られる人は限られているわけですから、会見に出た人は、
多くの人の代表として、その場に臨まなくてはなりません。
記者会見で、いい答えを引き出すには、記者側にも、事前の勉強と質
問の工夫、そして、なによりも、相手に切り込む覚悟がいるのです。
大谷選手の風圧に負けないだけの覚悟がいるのです。

それを、「よろしくお願いします」と言ってしまっては、もう、初めから負て
いるのと同じです。
相手に切り込む覚悟など、どこにもありません。
別の言葉でいえば、記者側に、プロとしての意識がないのです。

記者会見で、質問する記者が「よろしくお願いします」と言ってしまえば、
記者失格です。
記者会見で、「よろしくお願いします」という言葉、もう、やめませんか。