いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

党首討論会が開かれました・・・非常に違和感を感じました。違和感の原因は、2点あります。

2014年12月02日 00時04分36秒 | 日記

 総選挙に向け、与野党の党首による討論会が、12月1
日、日本記者クラブの主催で開かれました。
 見ていて、いくつか、非常に違和感がありました。
 違和感の原因を考えていて、2つ、思い当たりました。
 きょうは、そのことを書いておきたいと思います。


(1)維新の党の代表は江田氏でいいのか。
 まず、維新の党です。
 この党首討論会に、維新の党から、江田憲司氏が出てい
ました。
 ここに、江田氏が出ていることに、非常に違和感を感じ
ます。



 江田氏は、橋下徹氏とともに、維新の党の共同代表だそ
うです。
 共同代表だから、党首討論に出ても、おかしくはないの
でしょう。
 しかし、そんなことは、形式的な話です。

 江田氏は、つい最近まで、「みんなの党」の幹事長だっ
たのです。みんなの党は、渡辺喜美氏が代表として作った
党で、初めのころは、渡辺氏と江田氏が二人三脚でそれな
りの勢力を持っていたのです。
 しかし、江田氏と渡辺氏はやがて対立し始め、今年、と
うとう、江田氏がみんなの党を離党しました。

 江田氏は、その際、みんなの党で仲間を募り、新しく「結
いの党」を作りました。当然、江田氏が代表です。

 夏が過ぎると、江田氏は橋下徹氏と接近し、結いの党を、
そっくり、維新の党に合流させました。
 そして、勢力を拡大した維新の党で、江田氏は、橋下氏
とともに、共同代表に就任したのです。

 そして、12月1日の党首会談には、維新の党を代表し
て出席し、安倍首相の隣りに座ったというわけです。

 振り返ってみると、
 みんなの党の幹事長
 結いの党の代表
 維新の党の共同代表
という変遷です。

 たった1年でこれです。
 まさしく、
 ホップ ステップ ジャンプ
 です。

 江田氏にすれば、してやったりというところでしょう。

 逆に、渡辺喜美氏にしてみれば、地団駄を踏むような思
いでしょう。
 なにしろ、つい最近まで、みんなの党で、渡辺氏が代表
をしており、その下の幹事長に江田氏がいたのですから。
 もし、どこかでもう少しうまくやっていれば、1日の党
首討論会で、維新の党を代表して、安倍首相の隣りに座っ
ていたのは、渡辺喜美だったかもしれないのです。
 渡辺氏にしてみれば、これほど、くやしいことはないで
しょう。

 江田氏は、してやったりということなのでしょうが、し
かし、有権者として見れば、いくらなんでも軽すぎます。
 わずかの間に、これだけ党を変え、ポストを変えれば、
有権者としては、いったい何なんだろうという思いになり
ます。
 はっきりいえば、不信感です。

 もっといえば、橋下氏もおかしい。
 維新の党は、橋下徹氏が作った党です。
 そんなことは、だれもが知っている。
 江田氏など、最後の最後に、ぱっと来ただけです。
 いまでも、維新の党といれば、橋下徹氏です。

 そうであれば、1日の党首討論会は、橋下氏が自分で出
るべきだったでしょう。

 橋下氏が出ていれば、座りもよかった。
 だれも、文句を言わないでしょう。
 違和感もなかった。

 きっと、維新の党の内部にも、江田氏に対する不満が出
ているはずです。

 橋下氏も、江田氏も、策士タイプの政治家です。
 
 策士、策におぼれる。
 1日の党首討論会を見ていて、しみじみと、そう思いま
した。
 もしかすると、維新の党は、総選挙を前に、とんでもな
い失敗をしたのではないですか。

 そうそう。
 ひとつ、大事なことを書き忘れていました。
 維新の党は、大阪が発祥の地であり、大阪が拠点です。
 そして、大阪の人は、江田氏のようなタイプが好きでは
ないということです。
 もしかすると、維新の党は、江田氏が共同代表となって
党首討論にまで出てきたことによって、肝心の大阪での票
を失ったかもしれません。

(2)党首討論にユーモアがない。
この日の党首討論は、どこか、ぎすぎすしていました。
 なぜだろう。
 
 与党・自民党の党首である安倍首相と、野党・民主党の
海江田代表に、ともども、ユーモアというものがないので
す。
 2人とも、どうにも、ユーモアのセンスがない。
だから、記者とのやりとりに、トゲが出る。
トゲが出るから、討論会で、思わず会場が爆笑するとい
うようなことが、いっさいありません。

 安倍首相という人は、記者から質問で突っ込まれると、
ムキになる。ムキになって、気色ばんで、答えます。まる
で、質問した記者を攻撃するような感じになります。
 もっとユーモアを交えて答えればいいのにと思うのです
が、あまりにムキになって答えるから、なにか、余裕がな
いように見えてしまう。
もっとユーモアを持って、討論に臨んでほしいと思いま
す。

 一方の海江田氏は、これがまた、安倍首相に輪を掛けて、
ムキになる。ユーモアのセンスという点においては、安倍
首相よりもっと悪いのではないでしょうか。
海江田氏は、記者の質問に対し、一生懸命答えようとす
るのですが、ちょっと突っ込んだ質問が来ると、自分を防
衛しようとするような答え方になります。
記者がいじわるな質問をしたら、ユーモアを持って切り
返せばいい。質問する記者の側も、いじわるな質問で海江
田氏をとっちめようなどとは思っていません。いじわるな
質問に対し、ユーモアのある答えを返してくれればいいな
と思っています。
 ところが、残念ながら、海江田氏は、そういうことの出
来るタイプの政治家ではないのですね。

 安倍首相も海江田代表も、少しタイプは違うけれど、同
じように生真面目で、同じようにユーモアがない。
 だから、党首討論会も、討論が進めば進むほど、ユーモ
アという潤滑油が切れ、ぎすぎすした雰囲気になってしま
うのです。

 ユーモアがあれば、ぎすぎすした空気も、いっぱつでな
ごやかなものにすることができる。
 しかし、残念ながら、日本の与野党の党首・代表には、
ユーモアのセンスがない。
 まったく、困ったことです。