![Img_1627 Img_1627](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0f/92/5462feff5562e7d6dfd783775c5b8cd4.jpg)
バリ島の中心地では、近年、
椰子の木がどんどん減っているのだという。
管理するのがなかなか大変で、
昔、男たちは誰でも登ることができたのに、
街ではすっかり現代の生活が定着し、
学校の体育の時間でも教えてもらえない。
![Img_1624 Img_1624](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/64/85/f290f6aef81608f74b849f2517da1a3e.jpg)
だから椰子の実ひとつ採るにも
椰子の木登りの専門家を呼ぶことになる。
採らなければ、30メートル上空から、
堅い実が落ちてくることになり、
人にも建物にも危険ということになる。
![Img_1516 Img_1516](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/37/53/2c9ed5cacd0d4e132aeb155914311dd7.jpg)
さて、バリ島で染色のアトリエをもつ秦泉寺さんは、
昔ながらのバリの生活を実行していらっしゃるから
当然、椰子の木も敷地内で大きく育ち、
日傘として、天然の扇風機として、家族を守っている。
実が落ちてきたとき、現代の瓦屋根なら割れてしまうが、
秦泉寺さんの家の屋根はかやぶきだから、大丈夫。
昔は自然とうまく共存し、
すべてにバランスがとれていたのだ。
![Img_1148 Img_1148](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/25/cd/c572fedad5345a54ddd3f15d034c83a3.jpg)
椰子の実いわゆるココナッツは、
よく熟した実、
ほどほどに熟した実、
そしてまだ青い色の若い実、
それぞれの段階で、使い分けられる。
若いココナッツの中には、ほんのり甘いジュースが入っている。
病気の時には欠かせないそうで、
ポカリスエットなどのスポーツドリンクの発想は
このミネラルバランス抜群のジュースからきている。
体の細胞にすんなり浸透していく。
![Img_1363 Img_1363](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5b/7c/a979f36b78f77155a8e907741ccd4474.jpg)
ほどほどに熟してくると、
成分が濃くなって、ココナツミルクがとれる。
さらに熟したら、内側の壁に、
固形の白い果肉が残り、それをすって
お菓子に使ったりする。
油分だけをとる方法も教えて頂いた。
よく熟した果肉を、お湯で煮ると、
やがて油が浮いてきて、それを丹念にすくい集め、
水気を完全に除去し、
何度も濾して不純物を取り除いたら、
純粋なココナッツオイルの出来上がり。
![Img_1139 Img_1139](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/e9/636dad37060a75652b8614198f1da754.jpg)
滞在中の食事はすべて
この作りたてのココナッツオイルで調理された。
油料理でも、すばらしく消化がよかった。
毎朝日替わりで、いろんな種類のバナナを
フリッターにして出して下さった。
ココナッツオイルはほんとうにあっさりとして
しかもパリッと揚がる。
中はもっちもちのバナナ。
しかし手間がかかることこの上なく、
今はこうして家庭でオイルを作ることは
めったにないそうだ。
![Img_1496 Img_1496](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/40/a3/5c0f810f700d33f075e020957917d462.jpg)
さてココナッツが実るには、当然、
花が咲かなくてはならない。
房状になって、垂れ下がるようにして咲くその花を
竹筒の中に入れて(もちろん木の上に設置)
ゆっくり花のエキスが溜まるのを待つ。
じっくり時間をかけて溜まった花のジュースは、
やがて竹の中でアルコールに変わる。
丹念に蒸留し、透明なココナツの花のお酒が完成。
そのお酒を買い求めに、深い山奥の、小さな集落へ。
普通の民家から、年配の女性が現れて、
家内で作られた中から、少し量り売りして下さった。
お祭りの時に、神様にお供えするために
魂を込め、手間ひまかけて作る。
そんな貴重なお神酒を分けて頂いた。
その味は、摩訶不思議な味。
ツンッと少しトゲがあって、
あとから柔らかに、花が咲く。
![Photo Photo](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/3b/a2677ba16c5ed85dab4b6ff647dfe239.jpg)
ココナツの話は長い。
後半へつづく。