語りかける花たち

角島 泉(かどしまいずみ) 花日記
 ~石川の四季、花の旅、花のアトリエ こすもす日々のこと


夜咄(よばなし)茶会

2012年01月30日 | アトリエから
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雪にとざされた夜こそ、

こんな愉しみを。

気のおけない友人たちと

夜咄(よばなし)のお茶会。


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ろうそくの灯火だけを頼りに、

その部屋へすすむ。

いつもは音楽で集まるメンバーなので、

掛け軸には「楽」の文字。

この日 使われる 楽茶碗(らくちゃわん)にもかけている。















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客が全員座したところで

亭主が静かに入室。

闇の中に、張りつめた空気が漂う。

粛々と茶事はすすんでいった。


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闇に浮かぶ小さな明かりは

とてもあたたかで愛おしく感じる。

また闇の中には無限の世界があるように思え、

外の闇、あるいは雪とつながり、

想像力は奥深いところまで広がっていった。





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お茶を一服いただくと、

体の中からほんのり暖まり、

みなの緊張も少しほどけて、

心に「楽」の明かりが灯った。

そしてゆったりと夜が流れていった。



























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雪の茶屋街

2012年01月28日 | 石川の四季
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休日の木曜日朝、

起きたら街はすっかり雪に覆われていた。

一晩で30センチの積雪。

降るだけ降って、雲は去り、

澄んだ青空が美しかった。


ふわふわの新雪が光を反射して眩しいくらい。

こんな美しい雪景色は、そういつも見られるわけではないので、

浅野川沿いの茶屋街まで散歩に出ることにした。



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ところが家を出て5分もしないうちに、

また雲が流れてきて空を覆いはじめた。

再び白い空。













枯れ木にかかる綿菓子のような雪をたのしみながら、

主計町(かずえまち)茶屋街を歩く。










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雪の白、空の白

明るいところの白

暗いところの白

白色もいろいろ。

他に色彩の乏しい季節だから、

白の微妙なニュアンスが感じ取れる。

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雪が、ちらちらと舞いはじめた。

茶屋街から少しずつ色と音が消えていく。


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間もなく雪は激しく降りてきた。

鳥たちが一斉に飛び立ち、

屋根の向こうへ消えていった。













主計街茶屋街の雪景色。

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橋を渡り、東の茶屋街へ。

雪の中に映える紅。





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格子戸からもれる明かりがあたたかい。

あの紅殻格子(べんがらごうし)の中から見る雪は

さぞかし美しいのだろうなぁ。


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普段は観光客でにぎわうこの街も、

この日は人もまばらで、落ち着きをとりもどしていた。

住む人たちの雪かきの音が響き、

垣間見える生活感に なんとなくほっとする。


雪囲いされた植木鉢の趣き深いこと。

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裏路地の喫茶店でひと休み。

他に客はなく、お茶で暖まりながら、

ゆっくり外の雪を愉しむ。

格子戸越しの雪は、スローモーションのように降りてくる。

昔の無声映画を見ているような、不思議な感じ。

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時が経つのも忘れ、眺めていると、

いつの間にか、最後の一口がすっかり冷めていた。

急いで飲み干し、お店を出た。


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迷路のような路地をさまよううちに、

狭い隙間から、光がさしてきた。

見上げると、雲間からまた青空。


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金沢の天気は「回り舞台」と例えられるが、

まさにそんな一日。

光と影の織りなす摩訶不思議な世界、

泉鏡花の物語の中に、妄想 入り込む。


陽が沈みかけてきた。

帰路は浅野川沿いの雪の小道にした。


東の空には、華奢な三日月。

西の空は、この妖しさ。

相変わらず雲は、めまぐるしく変幻していく。
















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白い山茶花(さざんか)

2012年01月25日 | アトリエから
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隣の家が空き家になってからもう随分経つ。

その庭から、静かに立ち上がる気配、

人知れず、白い山茶花が咲いていた。

雪をかぶったように沢山の花。

そこから一輪いただいて、花器にさしてみた。

急にスポットライトを浴びた花は、

その奥に潜めていた香気とともに

ふわり優しい笑みを浮かべた。


(長瓢花入れ/二代 開発文七 )








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It's snowing

2012年01月23日 | アトリエから
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夜半からの雨が、雪にかわった寒い朝。

ほんとうは初夏の花なのに、

なぜか冬にもやってくる、レースフラワー。

冬に会えるその花は、

まるで雪に乗り移ったように、

静かなたたずまいで舞い降りてくる。






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ちらちら降っていた雪は

だんだん激しくなってきた。

白い空の、美しい午後。


雪の精を一輪、

静謐な氷のようなガラス器に。


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(ガラス器/大迫友紀)


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黄色の糸菊

2012年01月21日 | アトリエから
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小さい頃、黄色は一番好きな色だった。

ところが幼稚園で、七夕の織り姫様の着物を

まっ黄色に塗っていたところ、担任の先生から

「キチガイ色の着物ね」と言われて以来、黄色が苦手になった。

そのトラウマらしきものが結構つづいているようで、

花市場での仕入れでも、

まっ黄色の花はつい少なめになってしまう。

まったく店頭に並ばない日もある。


でもこの黄色い糸菊は、一目惚れして買った。

華奢な花びらが、

カールを少しずつほどいてひらいていった。

陰影があり気品ただよう黄色の花。


棚の整理をしていたら、

箱の中から真鍮のティーポットが出てきたので、

その偶有性にゆだねてみた。


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