![Photo Photo](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/44/bd/f0d1e012ac49c3d5ee6a81499610cbf5.jpg)
キルト作家であり染色家である、
秦泉寺 由子(じんぜんじよしこ)さんが
バリ島に染色のためのスタジオを作りはじめたのは、
1980年代前半のことである。
長い年月をかけて、地元の自然素材を使って
家や作業場を作り上げてこられた。
![Studio_jinnzennji_3 Studio_jinnzennji_3](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/41/b8/cab3434eb6a4ed8b3867f753ec3ec094.jpg)
植物が生い茂るスタジオは、精気に満ちている。
ここで、島に自生する植物たちから色彩を取り出し、
布や糸に移し込んでいくという作業をおこなう。
![Photo_6 Photo_6](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/30/db/dd5acf18bd01f2bda3e2c9c80701c882.jpg)
秦泉寺さんは、ここで染色をし、のちに京都の家に運び、
美しいキルトの作品を作り上げるのだ。
そのキルトには、大自然との濃密な交感から生まれる
普遍的な美と、力強さが存在する。
抽象的なデザインに、自然界の光の彩のリズムが
そのまま表されているように感じられる。
残念ながら、その素晴らしい作品のほぼすべてが
すでに欧米の美術館、博物館に永久保存され、
日本では今、見ることができなくなってしまったが、
いくつもの写真集に記録されている。
![Photo_7 Photo_7](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/91/f824e36f6819b91db44112fefb47148e.jpg)
ハマゴウの葉を火にくべる、秦泉寺さん。
虫よけに効果があるという昔ながらの知恵を
現地の人たちから聞き出し、その習慣にのっとる生活。
![Photo_8 Photo_8](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2d/17/e7fbfbd5ed74fe0317a074c77d8a80f8.jpg)
ヤシの葉を燃料に、染色のための湯をわかしているところ。
この大鍋に、色の原料を入れ、煮出す。
![Photo_9 Photo_9](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6f/88/8e586a982948058f00c20535f39bb4b8.jpg)
染色した布を水にさらすための桶(バスタブ)
![Photo_11 Photo_11](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7b/be/7731d2c0efa1cc92aa3a6c96de392b4f.jpg)
染料を濾すための布。
秦泉寺さんは、バリの地を踏んで以来、
染色の材料となる植物を探し出すために、
並外れた情熱と行動力を持って、
ジャングルの奥地や、周囲に点在する未知の島々へ
果敢に足を運んだ。
蘇芳(すおう)から出る鮮烈な赤
ソガの木から出る眩しい黄
島の藍から出る海のような青
現地の人々が大事に守ってきたものだから
わずかな無駄も出さず、随まで使い切る。
その厳かな精神が、作品に反映されている。
自然にお返しをするような、美しいキルト。
![Img_1711 Img_1711](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3a/61/cbcdc061afa6ee1d1566844446e37032.jpg)
秦泉寺さんの色への探求は、
ついに未開の色、「白」へと向かっていく。
白の話につづく