語りかける花たち

角島 泉(かどしまいずみ) 花日記
 ~石川の四季、花の旅、花のアトリエ こすもす日々のこと


今、ここ、生きる。

2010年08月26日 | 庭の花たち
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朝だけの、はかない命の中に、

一匹の虫が飛び込んだ。

一瞬の、命と命の出会い。

出会いは、一度だけ。


今、この瞬間が、真実。


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朝顔

2010年08月26日 | 庭の花たち
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早起きして、朝顔に挨拶しようと外へ出る。

毎朝、ういういしく、

毎朝、違う表情で、

出会うものすべてに平等に、

やさしく微笑みかけてくれる。





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日が昇って、またあの熱射を浴びるまでの、

ほんのつかの間。

命は燃えているのに、

私たちには、おだやかな愛情をそそいでくれる。


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森の白百合

2010年08月20日 | 能登の花
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かすかに甘い花の香りを、ふいに風が運んできた。

庭に一本だけある白百合はまだ緑色のつぼみ。

その先の野原のが、咲きはじめたようだ。


この白百合は、地元の人たちが

「飛び百合」と呼んだりするほど、

あちこちに飛んで増えていく、野性の百合。


私の秘密の森にも、どこかから飛んできて、

いつの間にか群生するようになった。


その森の白百合に、3年ぶりに会いに行こうと思いたった。


以前より背丈が伸びた草を分け入り、

森の入り口へ。


しかし、私は呆然としてしまった。

百合が、こつ然と消えている。

代わりに勢いよく、外来種の草。


帰ろうと肩をおとしたまま振り返ると、

新しい場所に、暗い茂みの中に、

一輪の百合が、白い光を集めて神々しく立っていた。



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これは、最後の一輪ではない、

はじまりの一輪であってほしい。


生き延びるために、

ここまで渾身のジャンプをしたのだな。

たくましい命がそこに輝いていた。

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神秘の森

2010年08月12日 | 旅日記
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子供の頃から、森を探検するのが好きだった。

夏休みは、ラジオ体操が終わるや否や

近所の森へ遊びにいった。


そんな子供の頃の思い出の森、

心象風景の森を

誰しもが大切に持っているのかもしれない。


九谷焼・上出長右衛門窯の若き担い手である

上出惠悟さんの森は、やはり生まれ育った九谷の地に

今も静かに存在する。

その森の奥には、神秘の池があるという。


その秘密の場所へ、連れて行ってくれることになったのだ。

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夏の朝の山の道は、

目覚めた生物たちの

底知れぬエネルギーに満ちている。


前日に降った雨の露が、

針葉樹の森に 無数のダイヤモンドを降らせていた。


緑したたり、

光が玉となり、線となって踊る。






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森にはたくさんの宝物があるが、

たくさんの危険も待ち受けている。


慣れ親しんだ森であっても、

恐る恐る、歩をすすめていく。

熊よけのベルを時おり響かせながら。

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深い緑に囲まれて、

岩でごろごろした細い道をしばらく登っていくと、

緑のトンネルの奥が急に明るくなった。




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神秘の池、蟹淵(がんぶち)が目の前に現れた。

深い底から不思議な緑色をたたえ、

鏡のような水面に、周囲の緑を映す。


ふいに小さな野鳥、セキレイのような鳥が

舞い降りてきて、

私たちのすぐ目の前の枝にとまった。

向かい合って「ツイー」とひと鳴きして飛び去った。

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まるでおとぎの世界に迷い込んだようだ。


この緑色の淵のぬしは、

巨大な蟹なのだという。

真っ赤な蟹が水を守っているという伝説が残る。

ほんとにいるのではないかと思う。


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その蟹には会えなかったが、

美しい無数のトンボ、

チラホラと鮮やかな赤トンボが

水面ぎりぎりをスイスイすべっていた。


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蝉しぐれが激しく降ってくる。

多様な生物がうごめいている。

でも静謐な森。


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あらゆる造形がありながら

静かに調和する世界。


私が私の森で感じるように、

彼もまたここを訪れるたびに

新しいインスピレーションを得て、

創造につなげていくのだろうか。

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この神秘の池の淵に立っていると、

人間の考えることなんて、

ほんの一粒くらいのものなのかなと思えてくる。


深い緑の水底をどれだけ見つめていても

ちょっと先しかわからない。

” 神秘 ” という言葉は、神の秘密と書くのだなぁ。

私なんかにわかるわけがないのだな。

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帰り道、今度は一匹の蝶があらわれた。

見たこともないような、美しい瑠璃色の蝶々。

私たちをしばらく誘導してくれて、

ふっと闇に消えてしまった。

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庭のルビー

2010年08月11日 | 庭の花たち
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私の庭は、そんなに広いわけではないけれど、

季節ごとの果物の木が、少しずつ植えてある。


梅雨明けのビワの実を堪能し、

真夏の太陽がギラギラ照る頃に、

このブラックベリーが色づいてくる。


おいしそうに見えるけど、

意外とすっぱくて食べにくいので、

毎年、ジャムにして数ヶ月分のストックを作る。


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でも今年は、収穫のピークの日が8月3日で、

「はちみつの日」ということなので、

その日の分は、蜂蜜漬けにすることにした。


2日ほどたつと、

美しいルビー色の果汁が瓶にたまった。


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甘くて、ほんの少しすっぱい味。

激しい暑さを、ひととき忘れさせてくれる。


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