語りかける花たち

角島 泉(かどしまいずみ) 花日記
 ~石川の四季、花の旅、花のアトリエ こすもす日々のこと


初夏の祝宴

2013年07月02日 | ウェディングの花
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新郎新婦は登山がご趣味で、

白山で出会った。

祝宴は、白山のふところにある静かな料亭にて。

山野の草花が大好き、というお二人のために

野趣あふれる季節の花々と、

桔梗(ききょう)やテッセンなどの落ち着いた風情の花たちを飾った。

さわさわと、そこに風を感じて頂けるように。


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お座敷で、和装の披露宴なので、

ケーキではなく、用意されたのは羊羹で、

白山とそのシンボル花、黒百合がデザインされていた。

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まわりにあしらった花たちは、

神聖な山に注ぐ光、雨粒、そしてまたたく星。

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自然を愛する、慎ましやかなお二人、

きっとここから幸せな道が続いていることでしょう。


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ワイン色のブーケ

2013年03月15日 | ウェディングの花
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大切な友人同士の結婚披露宴。

音楽、美食、と共感し合うものが多い二人にとって

その「らしさ」が隅々までいきわたる素敵なパーティだった。

ことにワイン好きの新郎新婦だから、

お色直しのドレスは深いワイン色。

私はそのドレスのブーケを任された。

この季節に一番かがやく花の中で、このドレスに似合う花 . . .

春の花、ラナンキュラスをたっぷり選んだ。

赤ワイン、ロゼワイン、白ワインの花色がそろい、

ドレスにも会場にもよく映えていた。









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ラナンキュラスは新婦が小さい頃、

家族旅行で出会った、一面の花畑、思い出の花なのだそうだ。

このブーケは宴後、妹さんに手渡された。

きっと その美しい思い出を共有したことだろう。


新郎の友人の中に、私が花屋になって間もない頃、

ブーケを作らせて頂いた方が。

15、6年ぶりの再会、とても感慨深かった。


花の仕事をはじめて17年。

今まで何百個のブーケを作ってきたことだろう。

そのすべてに物語があるから、

ほとんどのブーケを覚えている。

特別の心を込めて束ねる花束。

花嫁にブーケを渡す時は、いつも胸が熱くなる。



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末永く、お幸せにね。


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緑のウェディングブーケ

2012年07月28日 | ウェディングの花
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梅雨明け間近、雨上がりの京都で、

友人のウェディングパーティ。

花嫁になった彼女は、初めて会った時から

緑色のイメージの人。

その時はいていたスカートが美しい緑色で、

優しい野の花がデザインされていたと思う。

そんな緑のブーケが、花嫁の希望で、

私もすんなり共感できて、作る幸せをかみしめた。

彼女は、外見の可憐さからは想像つかないが、

若くして、欧米からも注目される建築家。

野花のブーケを、さっと持ってさまになるなんて、

芯がしっかりしているからこそ。

緑の花たちも、夏の熱気に萎えることなく、

ハレの一日を、みずみずしく彩ってくれた。
























コメント (2)
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芍薬(しゃくやく)の花嫁

2012年05月25日 | ウェディングの花
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「芍薬」がテーマの結婚披露宴

芍薬は、観賞用だけでなく、

" 生薬 " としても昔から人と関わってきた花。

新郎新婦ともに医療関係のお仕事をされているので

この花で会場を飾るというのは素敵なアイデアだと感心した。

折しも、芍薬が真っ盛り。

今でなければ、そう願っても実現しないことだった。


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いつもの年より少し寒いので、

ゆっくりひらいてく芍薬。

待つこと一週間。














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花はその日をわかっていたのだろうか、

披露宴の朝起きたら、見事にひらいていた。

咲いたばかりの初々しい芍薬、

今日の晴れの日を彩る花。


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会場は、金沢の老舗料亭、金城楼。

玄関の屏風の前にも、

偶然、芍薬が一輪生けられていた。

立てば芍薬、 そのものの風情。






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歴史を刻んだお部屋に、

今日咲いたばかりの花たちを。

背景のお庭の緑も目に鮮やか、

美しい五月晴れの日。

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花と人の出会いは一期一会

さらにご縁の不思議、

私の花屋はもと薬局であったため、

アトリエには古い薬品用器具が残っている。

その道具を持ち込んで、薬道具のコーナーを設けた。










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濾過(ろか)器やビーカー、すり鉢などに

やさしい野花をあしらった。


紅殻の壁には、試験管の花屏風。







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ほんとうに ご縁は異なもの、

ひとつひとつ、一日一日、

大事にしていこう、と思った。

この日は、すべてが輝いて見えた。

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白無垢の花嫁と薄桃色の花

2011年06月08日 | ウェディングの花
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この薄桃色の花、

新緑の山を彩る空木(うつぎ)の花。

貴重な品種だそうで、葉に斑点があり、

咲き始めは白く、

やがてうっすらとピンク色に変わっていく。


これを、もとスタッフのるり子ちゃんが

能登にある実家のお庭から持ってきてくれた。




るり子ちゃんの実家は、

「牡丹 (ぼたん) の寺」の愛称で知られるお寺さんなのだが、

牡丹だけでなく、一年中、様々な花を咲かせる

美しい花のお寺なのである。


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その るり子ちゃんが金沢の大学に通っていた頃、

ちょうど私が花屋を始めたばかりで、

初代アシスタントとして、

時々、仕事を手伝ってくれた。


卒業後、東京で就職し、かれこれ10年以上たったけど、

先日、ひょっこり現れて、

私の店からすく近所のお寺さんに嫁ぐことになった、

という 驚きの吉報をもたらしてくれた。

細く繋がっていたご縁の糸が、

太く強度を増して、結び直されたようだ。


そして、今日、るり子ちゃんは花嫁になった。


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お寺さん同士の結婚式、

仏前の結婚式を 私は生まれて初めて拝見した。

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ご本尊への奉告、

僧侶による、笙(しょう)や篳篥(ひちりき)の演奏、

三三九度の杯を交わし

厳かに式が進んでいく。

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そして、神式などでは見られない、献花の儀式。

新郎新婦が、それぞれ花を献上する。

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御仏前に献げられた花は、

遠い能登の地、

花嫁の実家のお寺に咲いていた花である。

淡いピンク色の芍薬と白いカラーの花。


見物に集まったご近所の人々も、

思わず顔をほころばせて、

花の儀式を見守っていた。


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とどこおりなく儀式が終わり、

" 花嫁のれん " の向こうに入った花嫁は、

わたぼうしをはずして、少しほっとした表情になった。



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その控え室の床の間にも、

花が美しく生けられていた。

花嫁の家の庭に咲いていた薄桃色の花、

白無垢姿の花嫁を優しく見守っている。


これからの人生にも、たくさんの花が咲いて

慰めと歓びを与えてくれますように。


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