語りかける花たち

角島 泉(かどしまいずみ) 花日記
 ~石川の四季、花の旅、花のアトリエ こすもす日々のこと


春の能登路~野道の花

2011年04月30日 | 能登の花
Img_8718

能登の春は、金沢より一週間ほど遅れてやってくる。

今年は冬のような寒さが長く続き、

梅も 桃も 桜も、その次の花々も

一斉に咲きそろって、

まさに春爛漫の風景が広がっていた。




Img_8736

奥能登の道沿いには

こうしてたくさんの桜や

水仙やチューリップが植えられている。

季節ごとに、誰かが花を咲かせているようだ。


こんな能登の人たちのあたたかさに

いつも和まされる。









Img_8743


車を降りて、野道を歩く。

あてずっぽうに進んで行くと、

黄色い草の道に出た。



Img_8775_2

黄色い道をずんずん歩いていくと、

昔ながらの生活風景がゆっくり流れていく。










Img_8777

小さな小屋の横に、小さな犬小屋。

背後の山桜の巨木が、

風雨から守ってくれているよう。


Img_8723_2




黄色い野道は、

建物や植物を避けるように、蛇行し、のびていく。


Img_8779

ゆるやかなカーブを曲がると、

突然、目を見張るような花の木に出会ったり、

Img_8744


雄大な風景に目を奪われていたら

足元から刺すような視線を感じ、

ふと見ると、小さな野花がびっしり

沿道を埋め尽くしているのである。


Img_8793



車のスピードでは見えないものたち。

自然はこんなにも多様な命に溢れている。

.

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

春の田舎道

2011年04月23日 | 石川の四季
Img_8360_2

こんなお天気のよい春の日に、

郊外へ花の配達を頼まれたら、

思わず小躍りしてしまう。


行き帰りの景色をながめる楽しみ、

新しい道を発見する楽しみ、

道草しすぎて、つい帰りが予定をオーバーしてしまう。


Img_8335

水が張られた田んぼの周りに

いろんな花が植えられていたり。



Img_8342

水田に映る空の色も、

その時間だけの表情を見せてくれたり。




Img_8364



かほく市の山あいの道に

突然あらわれる、安藤忠雄建築。

小さな町の、小さな小学校。


Img_8323

まるみを帯びた体育館は、

カイコの繭のイメージしているらしい。

田舎の風景にほのぼの溶け込んでいる。










Img_8353

河北潟干拓地の、桃農家も花盛り。

まだ穂の出ない麦畑とのコントラストが美しい。


車の窓を全開にして走っていると、

風が植物の香りと一緒に、

遠くで牛が鳴いたり、鳥が鳴いたり、

自然の息づかいを運んでくる。


ここが、金沢の中心から ほんの15分のところとは

きっと誰も信じないでしょうね。

Img_8352_2

道草しすぎて、はっと我にかえり、

最後はあわてて近道を突っ走ることになるのだ。


.

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

見えない力

2011年04月22日 | 金沢の四季
Img_8499

金沢には桜の名所があまたあるが、

中でも一番好きな、裏山の桜。

兼六園の開花から、3、4日遅れて咲き始める。

毎年心待ちにしていて、

咲く前の匂い立つ時や、

散った後の余韻さえも感じ取りに行くほど。









Img_8440

でも今年の冬は雪が多く、

かなりの枝が冬の間に折れてしまった。


上の写真の桜の枝も途中から寸断されている。

実は この大きなしだれ桜が雪の災害にあった後、

私は偶然ここに来て、

その可哀想な姿を目の当たりにしたのだ。

ばっさり折れた太い枝から

しなやかな細い枝がいくつも下がり、

まだ固い、小さなつぼみがびっしり付いていた。














Img_0957

車で持って帰るには大きすぎるし、

その日は迷った末、あきらめた。


でも数日後、強い力に引き戻されるように、現場へ。

するとタイミングよく、工事の方が来て、

たまたま持っていたチェーンソーで

私の車で運べるサイズに切って下さった。












Img_0992

折れた桜の枝を全部積むと、

バックミラーも役に立たないほどの状態だったが、

とにかくアトリエに持ち帰った。



親木も、車上の枝を見守る。

別れの瞬間、でも希望を託された瞬間。

Img_0998


大量の桜の枝を、枝ぶりごとに選別し、

花のアトリエの可能な場所を全部使って生けた。

ちゃんと咲くのかどうかわからなかったが、

とにかく祈るような気持で、生けた。


ある日、気づいた。

つぼみが少し大きくなっていた。


またある日、気づいた。

つぼみの先っちょにピンクの点が現れた。


そしてある日、小さな花びらがほころんだ。

Img_7833


4月10日の桜

Img_7830

4月17日の桜
Img_8227

驚くべきは、DNAの能力。

現地の花の咲き具合と、持ち帰った桜のそれが

ぴったり同じペースなのだ。

こちらは陽も当たらないし、

気温も違うはずである。


今朝の桜、ほぼ満開。





Img_8537

アトリエの中は一気に華やいだ。

ふわぁとした優しい空気につつまれている。









Img_8546

.


裏山の桜の方は、枝を減らした分、

残った体で懸命に花を咲かせている。

満身からみなぎるパワーのすごいこと。

Img_8446

となりの桜とも競うように咲く。

今朝は、この桜のシャワーを浴びて

どれほどのエネルギーをもらったかわからない。

Img_8483


植物の潜在能力の高さを思い知った春。

人間が植物を支配しきれるわけがないのだ。

相互の関係ではあるけど、

テレパシーのようなものを持つ(と私は思う)植物には、

動物のように動く力がなくてもいいのである。

あたふたと余計なエネルギーを使わずとも、

こうして動物を動かして、

枝いっぱいの桜を咲かすことができればよいのだ。


花が咲けば、虫も鳥も人間も

吸い寄せられるように集まってくる。

Img_8401

時々、植物にしてやられたな、

と思うことがあるけれど、

それは、やっぱり我々は自然界の一細胞なのだな、

と再認識するということでもあるのだ。


さて先ほどから降り出した雨で、

いよいよ裏山の桜も散りはじめることでしょう。

今朝の桜の美しさを、眼の奥で再生している。








.


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

喜多家のしだれ桜

2011年04月19日 | 石川の四季
Photo

この一本の大きなしだれ桜は、

一軒の民家の玄関先で、117年もの間

家族や村の平和を見守ってきた。


金沢から車で30分ほどの、

かほく市上山田 という山あいの小さな集落。

この家の先祖が、

金沢の兼六園から桜の種を持ち帰り、

この場所に蒔いたのがはじまりだとか。


Photo_2

大事に育てられて、屋根より大きくなった。

天から桜が滝のように降ってくる。

以前はもっとピンクかかっていたが、

老齢のためか、年々白っぽくなってきた気がする。


確か2 、3年前に一度 危機が訪れ、

花も少なく、弱った木を

家族の方は、懸命に治療なさっていたようだった。

でも見事に復活した桜。





Photo_3

ちょうど満開の朝。

長い枝の端までエネルギーがみなぎっている。


この桜には、毎年、思わず手を合わせてしまう。

今年も会えた喜びをかみしめる。



Photo_4

喜多家の桜

動画でもどうぞ↓

「IMG_1149.MOV」をダウンロード


.

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

吉野の桜(番外編)

2011年04月17日 | 旅日記
Photo

吉野の桜見物の帰り道。

車窓を流れる風景をぼんやり眺めていたら、

はっと心ときめく桜の風景が目にとまり、

衝動的に、次の小さな駅で下車してしまった。


駅長さんしかいない小さな駅、

特に観光名所でもなさそうな静かな町。

通り過ぎた桜の場所へ、

あてずっぽうに道を探して歩いていった。





Img_8086





川沿いに広がる青々とした草の原。

草の中の小道を進んで行くと、

前方に、その桜の園があった。






Photo_2


今まさに満開の桜。

でも人っ子ひとりいない桜の園。







Photo_3

聞こえるのは風の音、川のせせらぎ、

そしてにぎやかな鳥のさえずり。


こんな素敵な場所、近所にあったら

毎日通いたいなぁと思いながら、

足元のやわらかい草の上に腰をおろして、

次の電車が来るまでの一時間、

のんびり読書にふけることにした。














Photo_4

桜の香りと

菜の花の香りにつつまれて

遠い昔にトリップしたような感覚のまま

ふーわりふわりと時間が流れていった。










Photo_5


ときおり吹く風に、花びらが舞う。

夢の情景が、いずれ はかなく消えていくような

せつない表情を見え隠れさせる。








Photo_6

「なんかおもしろいもんありました?」

と聞く駅長さんに、大きくうなずきながら、

今 見たものは ほんとに夢だったのかも、

とキツネにつままれたようにぼんやりしながら、

帰路についた。











.Photo_9


.


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする