12年前に作った白薔薇のブーケ、
なんという品種かもう忘れてしまったけれど、
花の部分は、美しい花嫁に、
長い茎は当然、私のところに残るので、
何気なく土にさしておいたら、あっさり根がつき、
いつの間にか大きく育っていた。
アトリエの前の植木鉢、
初めての年は1輪咲き、
次の年には2輪になり . . .
今年はたくさんの花を咲かせてくれた。
最初は白い薔薇だったはずなのに、
いつの間にかアイボリーに変化し、
(うっすらピンクかかった年もあったような . . .)
おまけに、花びらの数が減ってきて、
ひらひらと、エレガントな容姿に。
一重(ひとえ)咲きの薔薇に囲まれていいるからなのだろうか?
そんなブーケの残りの薔薇を、
気まぐれに、さし木にしたものが
実家の庭にもいろいろあって、
あまりちゃんと管理していないので、
薔薇園とも呼べない感じだが、
花が咲くと、
あの時、花嫁さんだった人は、幸せでいるのかなぁ . . と
ふと思ったりするのです。
.
「芍薬」がテーマの結婚披露宴
芍薬は、観賞用だけでなく、
" 生薬 " としても昔から人と関わってきた花。
新郎新婦ともに医療関係のお仕事をされているので
この花で会場を飾るというのは素敵なアイデアだと感心した。
折しも、芍薬が真っ盛り。
今でなければ、そう願っても実現しないことだった。
いつもの年より少し寒いので、
ゆっくりひらいてく芍薬。
待つこと一週間。
花はその日をわかっていたのだろうか、
披露宴の朝起きたら、見事にひらいていた。
咲いたばかりの初々しい芍薬、
今日の晴れの日を彩る花。
.
会場は、金沢の老舗料亭、金城楼。
玄関の屏風の前にも、
偶然、芍薬が一輪生けられていた。
立てば芍薬、 そのものの風情。
歴史を刻んだお部屋に、
今日咲いたばかりの花たちを。
背景のお庭の緑も目に鮮やか、
美しい五月晴れの日。
花と人の出会いは一期一会
さらにご縁の不思議、
私の花屋はもと薬局であったため、
アトリエには古い薬品用器具が残っている。
その道具を持ち込んで、薬道具のコーナーを設けた。
濾過(ろか)器やビーカー、すり鉢などに
やさしい野花をあしらった。
紅殻の壁には、試験管の花屏風。
ほんとうに ご縁は異なもの、
ひとつひとつ、一日一日、
大事にしていこう、と思った。
この日は、すべてが輝いて見えた。