工藤さんが去年、白い「シラカバ」シリーズを完成させて、
その次に生まれたのが、この「緑粉引」と名付けられたものである。
小さい頃からの「森」への憧れ、
現在、旭川郊外の深い森の中で制作をする工藤さんの、
まさに森の瑞々しさと深さを合わせ持った「緑」。
この色の誕生は、簡単なものではなかったらしい。
以下、工藤さんのブログから、抜粋
日本陶芸史の中で「緑」において代表的なものに「織部釉」があります。
10年前からこの「織部釉」に、しばしばチャレンジしました。
「織部釉」というものは釉薬の中の銅を反応させて緑色に発色させるものです。
しかし鉄分の多い粘土を使っている僕の場合は濃い緑になってしまいます。
なかなか思いどうりの鮮やかな緑にはなりません。
そこで、下地を白い泥で覆ってから「織部釉」を施してみました。
すると、今度は鮮やかではあるのですが深みが無い、、、
もう少し調合を変えてみると今度は真っ黒。結局、粘土を変えて作るしか無いかと思って
鉄分の少ない美濃の土を購入したりして作ったこともありますが、
これは自分の目指す仕事ではないと思い直し、しばらく手をつけていませんでした。
シラカバの灰から「シラカバホワイト」が誕生した時、ひらめきました。
釉に銅を添加するのではなくて、下地の泥を緑にしたらどうなるのか?
早速、試してみると可能性の一部が見えてきました。逆転の発想。
下地にシラカバの透き通る灰釉を反応させることで、
透明感のある「緑」となったのです。
さらに試行錯誤を重ね、自分なりの「森の緑」を作り上げました。
(抜粋おわり)
美しくて植物の潤いを感じる緑色。
眺めていると、森の奥へ吸い込まれていくようだ。
だから、花を生けると何の違和感もなく溶け込むうつわ。
食の器もしかりで、自然からの賜物は
何でもすんなり受け入れ、
美しさを引き立ててくれる、ふところ深いうつわ。
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今日 合わせてみた白い花は、
ミラービ フローラ。
森の精になったような神々しさを見せてくれた。