語りかける花たち

角島 泉(かどしまいずみ) 花日記
 ~石川の四季、花の旅、花のアトリエ こすもす日々のこと


工藤和彦さんの器 2. 緑粉引と白い花

2012年09月30日 | 花の作品
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工藤さんが去年、白い「シラカバ」シリーズを完成させて、

その次に生まれたのが、この「緑粉引」と名付けられたものである。


小さい頃からの「森」への憧れ、

現在、旭川郊外の深い森の中で制作をする工藤さんの、

まさに森の瑞々しさと深さを合わせ持った「緑」。













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この色の誕生は、簡単なものではなかったらしい。

以下、工藤さんのブログから、抜粋

 日本陶芸史の中で「緑」において代表的なものに「織部釉」があります。
10年前からこの「織部釉」に、しばしばチャレンジしました。
「織部釉」というものは釉薬の中の銅を反応させて緑色に発色させるものです。
しかし鉄分の多い粘土を使っている僕の場合は濃い緑になってしまいます。
なかなか思いどうりの鮮やかな緑にはなりません。
そこで、下地を白い泥で覆ってから「織部釉」を施してみました。
すると、今度は鮮やかではあるのですが深みが無い、、、
もう少し調合を変えてみると今度は真っ黒。結局、粘土を変えて作るしか無いかと思って
鉄分の少ない美濃の土を購入したりして作ったこともありますが、
これは自分の目指す仕事ではないと思い直し、しばらく手をつけていませんでした。

 シラカバの灰から「シラカバホワイト」が誕生した時、ひらめきました。
釉に銅を添加するのではなくて、下地の泥を緑にしたらどうなるのか?
 
 早速、試してみると可能性の一部が見えてきました。逆転の発想。
下地にシラカバの透き通る灰釉を反応させることで、
透明感のある「緑」となったのです。
 さらに試行錯誤を重ね、自分なりの「森の緑」を作り上げました。

(抜粋おわり)

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美しくて植物の潤いを感じる緑色。

眺めていると、森の奥へ吸い込まれていくようだ。

だから、花を生けると何の違和感もなく溶け込むうつわ。

食の器もしかりで、自然からの賜物は

何でもすんなり受け入れ、

美しさを引き立ててくれる、ふところ深いうつわ。

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今日 合わせてみた白い花は、

ミラービ フローラ。

森の精になったような神々しさを見せてくれた。






































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憧れの雑誌「チルチンびと」に

2012年09月29日 | 掲載誌
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その日はあいにくのどしゃ降りでした。

仕方がありません、梅雨の真っ最中ですから。

それでも編集者の植林さんとカメラマンの西川さんは

私の奔放な行動に、果敢におつき合いくださいました。

3人で、金沢近郊の緑の中を駆け巡った一日の記録が、

現在発売中の「チルチンびと」(2012秋号)に載っています。





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私の実家のある かほく市 は、金沢から車で40分ほど、

週に2、3度帰っては、庭仕事をしたりします。

その庭の、一年で一番手入れの行き届かない、

森のような状態を撮って頂きました。

「庭」と説明しなければ、

誰もが自然の森と思うでしょう。

雨の時期は花が少ないので、なおさらです。

黄色いオダマキが一本だけ、咲いていました。





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そのあとは、金沢のアトリエに向かう途中の

いつも私がしている " 道草 " を、一緒に体験です。



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ここは「フランスの田舎道」。

メタセコイヤの並木の両側には、

刈り取られたあとの麦畑が広がっています。



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そして「フィレンツェ郊外の青い花畑」。

しぼりたてのミルクで作ったソフトクリームをほおばりながら、

3人で「妄想の旅ごっこ」を楽しみました。


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はしゃいで ずぶぬれのまま、金沢のアトリエにもどり

普段の仕事風景やアトリエの花たちを

次々に撮って下さいました。

やはり梅雨時期、花の種類に乏しく

かなり野趣あふれる感じです。

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このような機会をいただくと、

普段自分で意識しないでやっていることを

客観的に見る事ができます。

とても楽しく、勉強になるよい体験でした。


当初の予定より多くページをさいて下さって、

私の日常のことが、

8ページにわたる特集記事になりました。

編集者の植林さんは、多忙を極める日々の中、

一年間、この花ブログを読み続けて下さっていたので、

その文章は秀逸です。

とてもよく理解、共感して下さっています。

写真も いきいきとして 素晴らしいです。


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「チルチンびと」は、住宅雑誌の部類に入るそうですが、

特に天然素材を使い、丁寧に建てられた家や、

またそこに暮らす人々の、自然を軸にした

心豊かな日々のいとなみ、などが紹介されていて、

男女問わず、幅広い層に支持される本です。

この本を作るスタッフのみなさんが

時間をかけて取材し、丁寧に作っていく、

という姿勢で臨んでいらっしゃると思いました。

本から その志が伝わってきます。
.


今回の表紙はこんな感じです。



















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本屋さんで見かけたら、ちょっと覗いてみて下さい。

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コメント (2)
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工藤和彦さんの器 ? 黄粉引とテッセン

2012年09月26日 | インポート
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工藤和彦さんの黄粉引(きこひき)の器は、

優しい黄色と 土の味わい が魅力。

この色にはどんな花色も似合ってしまう。

特に黄色の反対色、青紫系の花は

お互いの色を際立たせてくれる。

秋咲きのテッセンを、一輪挿しに。






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工藤さんの花器は、形の美しさと

生けやすさを合わせ持つ。

この器も、花止まりの良い事この上ない。

生けにくいテッセンが、ピタリとおさまった。







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花とグランドハープ~池田千鶴子 演奏会

2012年09月24日 | 作品展、コンサートなどのイベント
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池田千鶴子 Chizuko Ikeda
グランドハープ演奏会

日時:10月14日(日) 
   昼の部 15:00~(14:30 開場)
   夜の部 19:30~ (19:00 開場)

場所:花のアトリエ こすもす 1階の花の中で
   金沢市安江町5-14
?076-222-8720

会費:2,500円(予約制)

****************************


ハープ奏者・池田千鶴子さんのコンサートを催します。

迫力あるグランドハープの演奏です。

美しく心癒される音色と花々との響宴をお楽しみください。

この演奏会は、工藤和彦さんのうつわ展によせて行います。

なぜなら、工藤さんと池田さんの世界は

互いに共鳴し合うからです。

音楽を越えて、

心が、体が、周囲の光景が、

通じ合って一体になるような、

言葉では表しきれない音の世界です。


そんな池田さんの演奏活動を少しご紹介します。




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(写真は、北海道・上野ファームでの演奏)


池田さんは、コンサートホールでの演奏におさまらず、

国内外のさまざまな場所で演奏していらっしゃいます。

例えば、北アルプスの山頂で

北海道の湖の真ん中で

自然と交感するような演奏をしたり、

戦争中のサラエボの人々や

カンボジアの子供たち、

アイルランドの精神病棟の患者さんたち . . .

世界中の、数えきれない場所で

人々の心を癒し続けてこられました。


ところで、
陶芸家の工藤さんには、もう一つの顔があります。

アール・ブリュット(知的・精神的な障害のある創作者の芸術)を深く理解し、

その芸術世界を支援する活動を長年つづけているのです。

数年前に東京、滋賀、旭川で開催された、

スイス人のアーティスト、アロイーズの日本初の展覧会を

アートディレクションしたのは、他でもない工藤さんなのです。

その時に、アロイーズの絵の前で、

池田さんはハープを奏でました。

すると(工藤さんいわく)

その音色から、まるで現実のように

アロイーズが立ち現れたのだそうです。

嬉しさのあまり涙が溢れ出たといいます。

科学では解明できそうもない、

不思議な、波動といいますか、

何かを感じとり、音に代える力が

池田さんにあるのは間違いないようです。

そんな池田さんの、音の世界を

花たちの波動とともに感じて頂きたいと思います。

池田千鶴子さんの公式ホームページ
http://chizuko.org/


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工藤和彦 うつわ展 2012

2012年09月24日 | 作品展、コンサートなどのイベント
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工藤和彦 うつわ展

日時:10月12日(金)~22日(月)※10/18(木)は休み
    11:00~19:00
  (10/14(日)14:30-16:30 は演奏会のため作品をご覧頂けません)

場所:花のアトリエ こすもす 三階ギャラリー
   金沢市安江町5-14 ?076-222-8720

*工藤さん在廊日 10/12~14日

【共催イベント】
 池田千鶴子 グランドハープ演奏会
 10月14日(日) 15:00~16:30/19:30~21:00
  charge ¥2,500 (要予約)

 国内外の ” 特別な場所 ” で演奏活動をする池田さんは
 工藤さんの世界と深く共鳴し合う演奏家です。
 波動を感じ、紡ぎ出される音楽は、心の奥底まで届きます。
 一階の花の中での演奏をぜひお楽しみください。 

********************************

今年で三回目となる、陶芸家・工藤和彦さんの作品展。

食の器、花の器 . . . 新作200点近く展示します。

ただ今、その日に向けて猛然と制作中と思われますが、

数点の花の器を、先発で送って頂きましたので、

これから少しづつご紹介していきます。


上の写真の作品は、去年生み出された

「シラカバ」シリーズの進化形です。

工藤さんが掘り出してくる太古の土と

自生する白樺から作った釉薬の融合です。

特筆すべきは、この刷毛目(はけめ)模様です。

一気に描かれるその線は本当に美しく、

かつ驚くほど自然な流れで描かれています。

描き始めと終わりがわからないくらいです。

どんな花にも似合う色、生けやすい形。

すばらしい作品です。




















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この作品は、工藤さんの代名詞とも言える

「黄粉引(きこひき)」の花器です。

上の方は楕円形で、下へ向かって丸くすぼまっていきます。

普通、楕円形の花器はおさまりが悪く

生けにくいものなのですが、この作品は驚きました。

花が思ったところにぴたっと止まるのです。

そして、横にふわっと広がるように生けられます。

美しさと機能性を合わせ持った、

工藤さんのデザイン力はすごいです。


作品展までに、少しずつ器をご紹介していきます。

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