語りかける花たち

角島 泉(かどしまいずみ) 花日記
 ~石川の四季、花の旅、花のアトリエ こすもす日々のこと


花展 「空想の森」

2010年06月28日 | 作品展、コンサートなどのイベント
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花のアトリエ こすもす を開いて15年。

節目に、花の作品展をします。

個展は5年ぶりですが、

夏の植物に挑戦するのは初めてです。

今年のはじめに訪れた熱帯の島に、刺激されました。


ライブ音楽や、カフェの時間もあります。

ピクニック気分で遊びにいらして下さい。

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角 島 泉 花 展

「 空 想 の 森 」


とき:7月9日(金)~11日(日)10:00~19:00

ところ:花のアトリエ こすもす 1階~3階
    金沢市安江町5-14 ?076-222-8720


【特別企画①】

 夜の森のパーティ

 7月10日(土)夜7時より、3階の「森」にて 

 matabeさんによる 民族打楽器の演奏 
 
 drink/food あり

 料金 3,000 円

 *参加希望のかたは、ご予約ください。
  

【特別企画②】

  亜熱帯カフェ
   
 1階の「森」では、期間中、

 お茶をしながらくつろいでいただきます。

 ビールもあります。(有料)

 


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青い庭~初夏編

2010年06月20日 | 庭の花たち
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春から咲き続けた、水色の忘れな草が 終わりに近づく頃、

初夏の青い花たちが、庭のあちこちから姿をあらわす。

上の写真は、カンパネラ。

西洋のつりがね草。


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青い花、紫色もふくめての話だが、

この色をベースカラーにして、他の色の花を植えると、

お互いの色が引き立て合って、どの花も輝きながら

全体の調和がとれると、私は思っている。

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だから冬までの間、さまざまな青の花を咲かせている。


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さめた薄青色の丁字草。

庭のいたるところに植えてみたら、数年して、

陽あたりの控えめな場所で、株が大きくなった。

弱い空色を映す花。

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ニゲラも毎年、こぼれ種で増えていく。

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この花は、英名で " Love in a mist "

霧の中の恋人、というロマンティックな花。


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鉄線(てっせん)は、いつもの年より遅れて芽を出した。

すでに他の植物がのびていたが、

その名の通り、強靭な生命力を発揮して、

一気にツルをのばし、

約束通り、ぱっと花を咲かせた。

周りの木いちごの葉っぱに負けないほどの、大きな花を。


いい競争相手がいると、より強くなるようだ。


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風通しのよいところで、

芳香ただよわせるラベンダー。


乾燥気味が好きなはずなのに、

梅雨に入っても平気な顔をして、咲き続けている。

これも少し、進化したのだろうか。


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そして、遅れ気味の雨の季節に合わせて、

ようやく6月の主役、紫陽花(あじさい)が色づいてきた。


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どんよりした空の下でも、

この花の冴えた青は、清々しさを与えてくれる。

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青は、空の色であり、それを映す水の色でもあるから、

他のどんな色の花も、緑の葉も、

青い花と決して喧嘩をしない。

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地球上の調和の色、誰にでも安心感を与える色、

青は、そんな役を授けられた色なのかもしれない。



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黒百合

2010年06月18日 | アトリエから
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この時期、わずかな数だが、黒百合が入荷する。

大きなユリの華やかなイメージとはほど遠く、

うつむいて咲く、3cmくらいの地味な花。

でも花として、黒という、特異な存在感。

他の花たちと一緒に並べても、

みんなの視線が、そこにキューっと寄せられる。

魔性の魅力。



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ニコールのウェディングブーケ(後編)

2010年06月08日 | 思い出の花
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ニコールの結婚式の招待状を送ってくれたのは、

なぜか彼女の叔母にあたる、ヴィクトリアだった。

「式の前の一週間はいろいろ楽しいから、早めにいらっしゃい。」

という、楽しそうな お誘いの言葉が添えられていた。


すべて友人たちによる手作りのウェディングだから、

私も手伝いに加わるつもりで、8日前から

ヴィクトリア叔母さんの家にお世話になることになった。


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私の心は、あの薔薇、

ニコールのために植えられた薔薇の色でいっぱいだった。


でもヴィクトリアから聞かされた現実に呆然とする。


数年前、ニコールの両親は離婚し、

家族は全員、ばらばらに暮らしているという。

そして、あの薔薇の木ごと、家は売ってしまった、と。

「だからこそ、ニコールの結婚式は、

   幸せあふれる、楽しいものにしましょう!」

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一人一枚、ハートのアップリケを作って、

各々メッセージをしたためた。

それをヴィクトリアがつなぎ合わせて、

一枚の大きなキルトに仕上げた。

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当日のパーティを飾る小物を作ったり、

食材や花などを買い出しにいったり。


4日前からは、その準備に加えて、別の仕事も山のように。

女性だけのパーティとか、

親族だけの会食会とか、

連日、さまざまなイベントをこなしてった。


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2日前、ウェディングケーキの仕込みが始まった。

ニコールの母方の先祖がノルウェー人なので、

ノルウェー式のケーキ。


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微妙にサイズが異なるドーナツ状の型で

クッキーのようなものをたくさん焼く。

それを積み重ねて、タワーのようなケーキを作った。


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こうして、ヴィクトリアの家にみんなが集い、

大騒ぎをしながら準備をすすめていった。


ニコールのお母さんも、2,3日前から、合流していた。

お母さんは、私に言った。

「会場の花は、あなたが指揮してちょうだいね。

   ブーケは、当日、私が作ります。

 今のニコールに合う花を集めて、束ねたいと思ってる。」


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きらめく光の朝、

ニコールのお母さんは、庭に咲く薔薇や

野に咲く可憐な花を、大事そうに摘んで帰ってきた。


そして、おだやかに微笑みながら

その花たちを束ねる彼女の横顔が、あまりにも神々しくて、

私は、写真を撮ることもできなかったが、

その、美しい絵画のように静かな場面は

心に焼き付いて、生涯 残っていくだろう。


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やがてドレスに身を包んだニコールが、入ってきた。

お母さんは、まぶしそうに微笑みながら、

束ねたブーケを手渡した。


お転婆娘のニコールが、泣きそうな顔をこらえながら

満面の笑顔をかえした。


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離別した両親が、ニコールをエスコートして、

みんなの前に現れた。


カルフォルニアの、底抜けに明るい光があふれている。

カラッと爽やかな風が、みんなの頬をなでていく。


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サンフランシスコの近く、バークレーにある公園、

といっても、ただ、大きな木々とデコボコの地面の広い場所、

ここで、野外結婚式とパーティを行う。

さすが、ヒッピーの血筋、野性味あふれるパーティだった。



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みんな思い思いの場所に、パイプ椅子を置いて、

食べたり飲んだりおしゃべりしたり、


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突然、誰かがお祝いのスピーチを始めたり、

生演奏で、踊り出したり、


みんなで作ったハートのキルトは、

二人の席に飾られた。


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みんなの笑い声が、森の中にこだまする。

朝から、陽が傾くころまで、

幸せのピクニックパーティは続いた。

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悲しい出来事も、かなえられなかった夢も、

心の中の畑では、いつしか大地の下へ潜っていく。

やがて新しい種がまかれ、

新しい芽が出てくる。


いろんなものを乗り越えて、その朝 ひらいた美しい花は、

いつまでもみんなの心に咲き続けるのだ。

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お母さんがニコールに渡したブーケは、

心の花を束ねたものだった。

二人の間で交感された、他の誰にもわからない思いが、

その小さな花束に、こめられていたのだと思う。

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