語りかける花たち

角島 泉(かどしまいずみ) 花日記
 ~石川の四季、花の旅、花のアトリエ こすもす日々のこと


2014-03-18 21:14:52

2014年03月18日 | インポート
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工藤和彦 うつわ展 (花・角島 泉)

とき 2014年4月11日(金)~ 20日(日)
   11:00~19:00 ※ 木曜日休み
   作家在廊 11日~13日 
 ※13日(日)は、演奏会のため、14:30~16:30は作品展閉場

ところ 花のアトリエ こすもす 3階
     石川県金沢市安江町 5-14
    ?076-222-8720

北海道に堆積した太古の土と、自生する木や貝殻 . . .
工藤さんは自然の力を引き出し、美しくあたたかい器を作り出します。
料理も花も、その器を心待ちにしています。
うつわ展に合わせて、自然と共鳴しあうハープ奏者、
池田千鶴子さんの演奏会を催します。満開の桜と音楽、お楽しみ下さい。

池田千鶴子  グランドハープ演奏会
 4月13日(日)
 昼の部:15時~16時30分  夜の部:19時30分~21時
 料金 2,500円 (要予約)?076-222-8720(こすもす)


工藤和彦 http://kazuhiko-kudo.com
池田千鶴子 http://chizuko.org




一年半ぶりに、工藤和彦さんの作品展を開催します。

昨年は、フランス・リヨンでヨーロッパ有数の陶器まつりに参加、

(このイベントは欧州の陶芸家でも狭き門なのだとか)

熱い注目を浴びて、運んだ大量の器は、

すべてかの地に納まったのだそうです。

工藤さんは、他の誰も真似できない材料と独自の手法で

その美しい器を生み出します。

北海道の内陸、極寒の地に眠る 2億年前の土。

中国大陸から風に乗って運ばれ、

少しずつ堆積していった土が、日本でここだけ露出しているのだとか。

その土を、みずから掘り出し、

また釉薬は、北海道に自生する木を切り出し、灰にして。

工藤さんは、北海道でやるからには、

ここの自然の恵みを最大限に活かしたい、という信念をもって、

器作りに取り組んで来られました。

あたたかくて 寛大で 躍動感があって、

大地と、工藤さんの人柄、感性から生まれた器。

今年の新たな取りくみをお楽しみに。


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ポンポン咲きの菊 ⅱ

2014年01月15日 | インポート
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工藤和彦さんの器 ? 黄粉引とテッセン

2012年09月26日 | インポート
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工藤和彦さんの黄粉引(きこひき)の器は、

優しい黄色と 土の味わい が魅力。

この色にはどんな花色も似合ってしまう。

特に黄色の反対色、青紫系の花は

お互いの色を際立たせてくれる。

秋咲きのテッセンを、一輪挿しに。






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工藤さんの花器は、形の美しさと

生けやすさを合わせ持つ。

この器も、花止まりの良い事この上ない。

生けにくいテッセンが、ピタリとおさまった。







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大地の芸術祭/越後妻有② 大地、空、光 . . . タレル光の館

2012年09月19日 | インポート
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この夏三度目の、新潟・越後妻有(えちごつまり)。

八月の終わりというのに、太陽の威力は衰え知らず、

灼熱の大地に、夏の植物が旺盛を極めていた。

豊かな大地に育まれたヒマワリは

大きな種をたっぷり付けていた。

その種を、誰かがちょっと抜いて、

こんな微笑ましい光景。

ヒマワリは、太陽の化身のようでありながら、

大地の力も感じさせてくれる花。


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越後妻有の、大きな空。

伝統的な家屋の上にも

現代アート建築の上にも

青い、雄大な空が広がっている。


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星の峠の棚田と空。

田の神様が降りてきていた。

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黄花コスモスと ひと雨きそうな空。

そわそわする花たち。








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今回の芸術祭に出品されている作品は

300点を越えるそうで、この夏3回通ったが、

広大なエリアに散在する作品たち、とても全部は回れない。

作品は、田んぼの真ん中にあったり

廃校になった学舎の中にあったり

民家や、森の中や、川縁や、

風土や土地の文化の魅力も味わいながらの作品鑑賞。














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新潟全土の土を採集した作品。

まるで画材屋さんの陳列のよう。











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さて、この夜は、半年の準備を経て実現した、

ジェームズ・タレルの作品、光の館での宿泊。

友人ら20名近くで貸し切り、

タレルの表現する光の世界を堪能した。

光の作品観賞とは、ごくシンプルなことで、

和室の天井(屋根)が開き、私たちは疊に仰向けになる。

そこに真四角く切り取られた空を眺めるのだ。

我々と空の間には、ガラスもフィルターもなく

ただ空の色の移り変わりを見つめる。

午後の空は、高く碧く、

薄い雲が時おり流れていった。

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その夕刻から日没後までの空。

























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真夜中は、外に出て地面に寝転がり、

降るような満天の星につつまれる。

そして、宵の闇から朝日の時間までの空。









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今まで気づかなかった空の色をたくさん発見した。






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この地に集まったアーティストたちが、

大地や、空や、光の色や、様々な自然の事象から

どれだけ強いインスピレーションを受けたことだろう。

まだまだ自然界には、驚くべきものが隠されているだろうし、

その懐は、無限に深くて、怖くて、あたたかい。

そこに何かを仕掛けようとする人間とは

なんて面白い存在なのだろう。




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自然を堪能し、

人が創り出すものを楽しみ、

何だかモヤモヤと、頭の中で小さなものが生まれたような

それは錯覚かもしれないけど、

兎に角たくさんの刺激はもらって、

私の夏が終わった。




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田中一村の絵

2012年08月21日 | インポート
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画家、田中一村(いっそん)が、石川県に残した49枚の天井画。

長い修復を終え、

現在、石川県立美術館で、全国初公開されている。

しかも元の場所を再現するように、

仰ぎ見るかたちで、展示されている。


田中一村のことを知ったのは、いつのことだったか、

友人がくれた一冊の本がきっかけだった。

その高潔で情熱的な芸術への姿勢と

印刷からも伝わってくる絵のすごさ、

いつかは実物を見てみたいと願い続けていた。

ある時、奈良の飛鳥で展覧会が催され、

ようやく本物の絵と対面することになる。

それは予想もはるかに越えた神々しさ、

植物の湿度や匂いまで立ち上がってくる絵なのだった。


それからほどなく、私の実家から近いところに

一村の残した天井画が存在するという話を聞いた。

灯台もと暗し。

春のお花見に行く以外は寄ることもなかった「やわらぎの里」

その園内の、聖徳太子が奉られた御堂の中にあるのが

この美しい天井画である。



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はじめて御堂に入った時は愕然としてしまった。

堂内は無人で、侵入自由、

雨漏り、虫食い、と 本当にあの名画伯の絵なのだろうか、

と一瞬、目を疑うほどだった。

しかし、その薄汚れた環境の中でも、

絵は素晴らしい光を秘めていた。

それは、今まで見たこともないようなテーマの絵、

華やかな花々ではなく、

よもぎ、わらび、ワレモコウ、くずの花、など

雑草とさえ呼ばれる、身近な植物たちの絵だった。

一つひとつの絵の構図、生き生きとした表情、

すばらしくて、時間を忘れて魅入ってしまった。

それから何度ここを訪れたことだろう。


ある時、近所でここの管理を任されているおじさんに話を聞いた。
(管理、と言えるのかはわかなないけど . . . )

一村は、当時、千葉に住んでいたが、

縁あってこの石川の地で天井画を任され

半年ほど現地に滞在し、地元の子供たちにも協力してもらって

たくさんの植物を採集、スケッチを重ねたのだそうだ。

手伝ってくれたたくさんの村人たち全員に

色紙や掛け軸の絵などを贈ったようだが、

現在はそれらのほどんどが見つかっていないのだという。


近年 ようやく専門家チームで一村の本格的な研究がはじまり、

その一環として、この天井画が修復され

美術館での一般公開、となったようだ。

このあと、天井画が「やわらぎの里」に戻るのか、

美術館で管理されることになるのかはまだ決まっていないらしい。


今回の展覧会では、天井画もさることながら、

奄美大島で描かれた晩年の名作もたくさん見ることができる。


〈田中一村は栃木で生まれ、東京、千葉時代を経て、

 画壇の表舞台に立つことのないまま

 50歳の時に奄美大島に渡り、69歳で亡くなるまで

 この島で独自の日本画の世界を切り開いていった。〉


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(写真は絵の一部分、本より)

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「アダンの海辺」と題されたこの絵を、奈良で初めて見た時、

潔く切り取った、ダイナミックな構図と

人間業と思えぬほどの精緻さに驚愕した。

そして

同じ太陽の陽に照らされているような錯覚、

波の音が聞こえるような錯覚、

見たこともない「アダンの実」の甘い香りがする錯覚を

おぼえてしまった。つまりそこへ連れていかれたということだ。


ここからさらに奄美への強烈な興味がわき、

3年半前、ついに私は彼の地に導かれた。














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この光景 . . . 確かにはじめてなのに、デジャヴな感じ . . .

それは一村の絵の力なのだろう、と思った。

でも実際の場に身をおくということは、

何にも代えられないことである。

勝手に感じていた香りは、少し違うものだったし、

頬にあたる風の強さ、湿度も、初めての感じ、

新鮮な体験だった。







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一村が住んでいた家も訪ねた。

元はもっとあばら屋に住んでいたらしいが、

最期を迎える少し前にここに移り、

「天国のようだ」と喜んでいたとも伝えられる。

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家の裏手には自給していた畑、

そして亜熱帯の植物、

その奥には深い奄美の森が

簡単に入ってはいけないようなオーラを放っていた。






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恐る恐る森に入って行くと、

絵に描かれたたくさんの植物が、

森の中から立ち現れる。

が、やはり怖くて先に進めない。


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「不喰芋と蘇鉄(くわずいもとそてつ)」(一部)









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「蘇鉄残照図」(一部)


車で、島を一周してみた。

島全体が一つの生命体のように、呼吸しているようだった。

「海の向こうから、ここに神が渡ってくる」

という場所の辺りには、本当に神がいると思った。


ものすごい自然のエネルギーを、

ここにくると誰もが体感するに違いない。






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「熱帯魚 三種」(一部)




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3年働いて、画材費を貯め、

3年描く。

そしてまた3年働き . . .

極貧の生活だったが、

奄美に魅せられ、ひたすら絵に残そうとした画家の一念。


“ すでに世の中の乖離(かいり)など奄美に渡った時点で清算済みで、
 一村の心情はそんなところにはなく「天地一体」の画境に遊んでいる “
    (金沢21世紀美術館館長・秋元氏の北陸中日新聞寄稿より抜粋)


それほど大きな力を内包する場所。




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「神童」と呼ばれていた頃の絵から

千葉や、石川や、四国、九州と

遠征先で感化され描いて来た絵を順番におっていき、

奄美の絵へと続いていく。

最後にたどりついた奄美の地で、

すべての経験が統合され、昇華されていった。

一村は、ここだ と直感した場所で、

とてつもない領域に到達してしまった。

「5秒とかからない署名もできなかった」ほど

絵に 持てるもの全てを注いだ画家。


その力を与える自然の神秘は

到底、 人知のおよぶところではないけれど、

ここまで近づくことができた画家がいるのだと

絵を見るたびに、深く感じ入ってしまうのだ。


会期あとわずかだが、ぜひ目の当たりにしてほしい。




























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「孤高の画家 田中一村 展」~知られざる石川での軌跡
 石川県立美術館 8月26日(日)まで


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