![Img_4417_2 Img_4417_2](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/07/bc/c3eb96109e0dced02313f5fc68d8cda3.jpg)
灼熱の夏がやってきた。
この強烈な太陽光をあびて、
ひまわりが爛々と咲いている。
あたかも、太陽の化身のように。
![Img_8392 Img_8392](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/60/17/18d1c36049fe78a8cb667cc96755f4dd.jpg)
ひまわりの、この野性味あふれる匂いは、
瞬時に、私を遠い日の夏に旅立たせてくれる。
ひりひりするような光の触感も、
あの旅の記憶と直結しているようだ。
![Img_0575 Img_0575](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/5c/5da304a4833ea578f61519be6e881e15.jpg)
20代の半ば頃、私は長い放浪の旅に出た。
アジアからヨーロッパへ、ユーラシア大陸の旅。
真冬の日本を発って、
真夏にトルコにたどりついた。
![Img_8462 Img_8462](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5b/f5/a2c93b8874cb71bfb487ec1d2deec5c9.jpg)
イスタンブールの市場(バザール)では、
様々な木の実やドライフルーツが売られていたが、
中でもひまわりの種は
トルコの人々にとても親しまれているらしく、
小さな紙袋に量り売りしてもらって、
それをポンポン 口に放り込みながら、
歩いている人をよく見かけた。
その時まで私は、ひまわりの種といえば、
オウムの食べ物と思い込んでいたので、
目からウロコが落ちたようだった。
![Img_8394_2 Img_8394_2](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/77/3b/aa973b914f03e8fb5f0fc7a1da734783.jpg)
イスタンブールから、
ギリシャへ向かう長距離バスの中。
私はいつの間にか、眠りに落ちていた。
突然、むせるような植物のにおいにつつまれ、
目が覚めた。
![Img_4421_2 Img_4421_2](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/c5/0dfe7d2042a640ede43d1846f9a93178.jpg)
窓の外は、見渡す限りのひまわり畑。
バスは、ひまわり畑の真ん中を
ずんずん進んでいった。
2時間? いや3時間?
行けども行けども、ひまわりしか見えなかった。
手には、さっきバザールで買った、
ひまわりの種。
ひとつまみ、口に放り込んだ。
この小さな種が、大地に蒔かれ、
やがて太陽に向かって
黄金色の花を咲かせるのだ。
その生命のいとなみの中に、人間がつながっている。
ひまわりと、地球と、太陽と、私たち。
小さく、大きく、つながっている。
![Photo_3 Photo_3](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/73/c0fabd65be1d032e72279250df9c6ea2.jpg)
ちなみに、ひまわりの花は、
小さな花の集合体である。
つまり、花びらの内側の黒いところにある
小さな黄色い点々が、ひとつづつ、花なのだ。
そして、そのひとつの花が受精して、
ひと粒の種になる。
一粒一粒に、熱いロマンが秘められているのだ。
たくさんの情熱を乗せた一本のひまわりが、
ぐんぐん太陽に向かってのびていく。
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