このガラス器との不思議な出会いについて、
記念の日なので少し書きたいと思います。
あれは21世紀になったばかり、6月の終わり頃、
もと薬局の古い建物に花屋を移し
開店しました。(別の場所で5年)
しばらくして、いつもは車で通る道、その時はなぜか徒歩で、
急いでいたから走り抜けようとした時に、
骨董屋さんの店先で足が止まりました。
りかちゃん人形が山盛りの、大きなガラスの什器に
目が釘付けになったからです。
かかえても両手が届かないほどの大きさ。
ぶあついガラス、くびれがあって、
そこに陶磁の中ぶた(ところどころ丸い穴があいている)、
何かの道具であることはわかりましたが、
花を生けるにはすばらしい器になると確信して、
次の瞬間、お店のおじさんに価格交渉をしていました。
4~5万円くらいの値段を言われましたが、
欲しかったので即決、配達して下さい、と住所を書いたら、
お店のご夫婦そろって「ええっ!」と叫んで のけぞるのです。
このガラス器は、私が手に入れた薬局にあったものだったのです。
「デシケーター」と呼ばれるもので、
中ぶたの下に乾燥剤を入れ、お薬か何か、
水分をとりたいものを入れて使うものだそうです。
薬局のおじいさんから譲ってもらって10年経っていて、
いつもは店の奥でマニア向けに温存してあったそうですが
売れないから、りかちゃん人形を入れて表に出したとたんに、
私が通りかかったのだそうです。
「これでお金もらうとバチがあたりそう」と
買い取った時と同じ5千円にして下さいました。
その骨董屋さんは幻だったかのように、今はもうそこにありません。
この器は、どうしてもこの家に帰ってきたかったのでしょうね。
だから、特別わたしも大事にしているし、
日々これに守られて生活しているように思います。
開店した日はどしゃ降りの大雨でした。
あの日もたくさんの紫陽花で店を飾りました。
鏡開きをしたお酒を 一日中お客さんにふるまっていたので、
花屋ではなく、飲み屋がオープンしたと
ご近所から勘違いされていたことも愉快な思い出。
何周年イベントなどはほとんどしたことがありませんでしたが、
来年は移転15周年、花屋になって20周年、
何か特別なことをしてみようかなと考えています。
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