興味を引く本を発見しました。フィンランド・メソッド入門という本です。
北川達夫氏が書かれている本なんですが、そこに書かれているPISAという試験の順位をみるとなんと日本の学力というか読解力が下がっていることか。
日本の国語は、有名な小説の主人公の心情を推察したり考えたりすることが主な授業内容です。でもそれではどうしても国際社会では通用しない。
育った環境や言語、歴史、背景が違ったら、相手も同じことを考えているだろうと考えること自体が間違った考えです。
そう、ディベート力が必要なんです。ディベート力は相手を潰すことではないと思っています。相手を納得させながらこちらの方へ導いてあげる力だと思っています。
それは、知識の押しつけではありません。今の日本人、知識は豊富で難しいことも知っているが、相手の立場で話すことが出来ない人が多い。難しい内容をいかに優しく話すことができるか。それであらゆる立場の人でも納得することができると思うんです。
抜粋ですが一部をご紹介させていただきます。
読解テストで
連続一位の
フィンランドって何?
優れた能力が育つ背景
日本が読解テストの順位を落としていく一方で、二〇〇〇年・二〇〇三年と連続して一位を取った国があります。それはフィンランドです。
この快挙により、フィンランドは「読解力が世界一の国」ということで、世界中の教育者の注目を集めました。
実際のところ、OECDの国際統一テストが行われるまで、フィンランドの教育が注目されたことはありませんでした。そのため、一回目のテストでフィンランドが一位を取ったときは、世界中がびっくりしました。おもしろいことに、当のフィンランドも、自らの快挙にびっくりしていたフシがあります。
一方、私はそれほどびっくりしませんでした。九〇年代のほとんどを外交官としてフィンランドで過ごしたので、フィンランド人の能力を身にしみて実感していたからです。
どうやってフィンランド人は優れた読解カーつまり「グローバル・コミュニケーション力」を身につけたのでしょうか?これについては、いろいろな説があります。
①フィンランドの教師は修士号の取得が義務付けられているので、きわめて質が高い。
②フィンランドの学校では、少人数制の授業が行われている。
③フィンランド人は伝統的に読書意欲が高い―――などなど。
それでは、日本の教師にも修士号の取得を義務付け、日本の学校でも少人数制の授業を行い、日本人も読書意欲を高めるようにすれば、日本も「読解力が世界一の国」になれるのでしょうか?
一に練習、二に練習を
どうも、肝心なところがスッポリと抜け落ちてしまっています。
私がフィンランドの教育事情を調査しているとき、現場の教師たちと次のような会話を交わしたものです。
「どうしてフィンランドは読解テストで一位になれたのだと思いますか?」
「よく練習したからだろうね」
「残念ながら、日本はあまり点数がよくなかったんですよ」
「練習が足りなかったんだろうね」
実は、この会話の中に、すべての秘密が隠されています。
フィンランド人は「よく練習したから」成績がよかった。
日本人は「練習が足りなかったから(実際には、ぜんぜん練習していないから)」成績がよくなかった。
そう、ただそれだけのことなのです。ただそれだけのこととはいえ、グローバル・コミュニケーション力に対応したフィンランド教育と、ぜんぜん対応していない日本教育の差が如実にあらわれたわけです。