(4)見えにくい?聞こえにくい?噛みづらい!
~目、耳、歯の老化~
●40代後半から急増する目の老化
加齢によって起こる特徴的な目の老化は老眼です。目の構造はカメラのようなもので、レンズに相当するのが水晶体です。水晶体は透明なレンズで、その60~80%が水分です。外から入ってきた光を屈折させ、フィルムにあたる網膜に像を結びます。
物を見るとき、水晶体の周辺についている毛様体筋という小さな筋肉が伸びたり縮んだりすると、水晶体が厚くなったり薄くなったりして、ピントを合わせています。その機能が加齢とともにスムーズにできなくなった状態が老眼です。
●80歳以上では、ほぽ全員が白内障
白内障は、水晶体に濁りが生じて不透明となり、視力が低下したり、色の区別が難しくなったりします。
加齢と共に透過していく光、特に紫外線などの作用によって、クリスタリンという特殊なたんぱく質が化学変化を起こして徐々に変性してしまいます。
その結果、濁りを生じるのです。水晶体が濁った状態で光が入ってくると、乱反射して透過する光の量が減少するため、目がかすむようになります。明るいところでのまぶしさが強くなる、照明があっても薄暗く感じる、老眼鏡の度を調節しても見えにくいなどの症状があれば、白内障の可能性があります。
●目が疲れやすい~もしかしたら緑内障!?~
「最近、目が疲れやすい」という症状を訴える人が増えています。一晩眠って目の疲れが回復されれば問題ありませんが、いくら休んでも疲れがとれない場合は、眼精疲労の可能性があります。
眼精疲労の約60%は、ドライアイによるものといわれます。特に、コンピューターやテレビの画面などを長時間見ていると、大きく目を見開いたり、瞬きの回数が減少して、目からの水分蒸発量が増加してしまうのです。
稀なケースとして、眼精疲労の原因に緑内障があります。房水と呼ばれる眼内水分量のバランスが崩れると、眼圧(硝子体での適正な張力)が異常に高くなります。その状態が長く続くと、網膜にある視神経を圧迫して視野障害が生じてしまいます。
また、近視の眼鏡が合っていない、老眼になってきた、乱視が出てきたなど、目のピントが合わなくなる理由はたくさんあります。すると、目のなかでピント調節をしている毛様体に大きな負担がかかり、目の疲れの原因となります。