笑顔の“いずみ”を湧かせるために

千葉市若葉区都賀にあります「いずみ整骨院」のブログです。

シンスプリント

2007-09-12 23:05:14 | けが

シンスプリント

 Shin(シン)=脛、すね、「弁慶の泣きどころ」ともいいます。シンスプリントは古典的な病名であり、幅広い解釈があって内容が一定でありません。過労性(脛骨)骨膜炎、過労性脛部痛、脛骨内側症候群などとも呼ばれています。そのため本稿では、疲労骨折やコンパートメント症候群*を除外した、骨膜あるいは筋腱の炎症に起因する障害に限定して述べます。

原因
 オーバーユース症の1つであり、繰り返しのランニングやジャンプを過度に行った場合に発症しやすい障害です。過度の運動量、運動時間、運動内容、日数またはフォームの変更、硬い路面、薄く硬いシューズ(踵の摩耗)、下肢の形態異常(O脚、回内足、扁平足など)、下腿三頭筋の柔軟性低下、股・膝・足関節の柔軟性低下、足関節可動制限などが発生の誘因となります。このうち、新入部員などにみられる急激な運動量増加が一番悪い影響を及ぼします。思い当たる点がある人は、すぐに改善しましょう。
 病態は下腿内側筋群の疲労による柔軟性低下、特にヒラメ筋を主として後脛骨筋、長趾屈筋付着部が脛骨の表面を覆う骨膜を牽引して微細損傷(骨膜炎)をきたし、下腿内側の痛みを発生させるものと考えられます(図1、2)。ランナーの発生頻度が高く、その20~50%に発生するといわれます。


症状
 徐々に発生する下腿内側(主に脛骨内縁中1/3、目安として脛骨内踝より12~20cm上)の圧痛、運動時痛、腫張が主症状で、足屈筋の抵抗運動で痛みは増強します。
 症状の程度は、次の通りです。
Stage1:痛みはあるがウォームアップにより消失する
Stage2:ウォームアップにより痛みが消失するが、スポーツ活動終了近くに痛む
Stage3:日常活動に支障はないがスポーツ活動中、常に痛む
Stage4:局所の痛みは常に存在して日常生活にも支障がある
 


検査
 骨膜の炎症であるので、レントゲン上では変化がないのが一般的です。症状が続く場合は再検査も必要です。この場合、のちに骨変化が出てきたら疲労骨折と診断を変更します。ただし、MRI画像にて脛骨の骨膜に肥厚した高信号変化(白色)が見られる場合があります。

治療
 運動量など、考えられる上記の原因を制限します。急性期は局所の安静(ランニングの休止)、アイシング(アイスマッサージも)、消炎鎮痛剤を用います。形態補正には足底板を用います。
 
ポイント
 脛に痛みを訴える選手がいたら、最近急激に運動量を増加してないかチェックすること。リハビリに際しては十分な治療期間を待たずに早期復帰することや、急激な運動量増加は再発を招きますので注意しましょう。練習前はもとより特に練習後に入念なストレッチングを行い、その日の疲労を残さないようケアを徹底しましょう。

「スポーツの鉄人に聞け」より


オスグッド病

2007-09-11 07:04:08 | けが

 小学校高学年から中学校の生徒が、積極的なスポーツ活動をしているうちにひざ膝の前面(けいこつそめんぶ脛骨粗面部)(図1)に痛みや骨の隆起を訴え、よく外来を受診されます。その多くはオスグッド病と呼ばれる10代前半に好発する代表的なこったんしょう骨端症(成長期に起きる骨の病変)で、脛骨粗面のこったんなんこつ骨端軟骨に分離や遊離(骨が一部はがれること)が生じる障害です。  症状は、スポーツ時の膝前方部分の痛みや腫れでひどい時には通常の歩行時にも痛みを訴えることもあります。

 発生原因には色々な説がありますが現在ではスポーツなどによる"使いすぎ症候群"の一つされ、非常に広い意味での疲労骨折と考えても良いと思います。
 膝を伸ばす筋肉であるだいたいしとうきん大腿四頭筋(太ももの筋肉)は、ひつがいこつ膝蓋骨(お皿と呼ばれる骨)とひつがいじんたい膝蓋靱帯(お皿の下のすじ)を介し脛骨粗面に付着しています。したがってランニングやジャンプ動作により大腿四頭筋が収縮すると、膝蓋靱帯をとおして脛骨粗面に牽引力が繰り返しかかることにより骨端軟骨に隆起や剥離が起きます(図1)、これがオスグッド病です。


(図1)膝関節伸展機構:大腿四頭筋、膝蓋骨、膝蓋靱帯、脛骨粗面に加わるストレス

 
 治療は、痛みの程度やスポーツ時の障害の程度により異なります。もちろん非常に痛みが強い場合には一時的にスポーツを休止する必要がありますが、基本的には活動を続けながら治療を行います。軽症例では、消炎鎮痛入りの外用薬等で軽快しますがスポーツ活動時の痛みが続く時には脛骨粗面にかかるストレスを軽減する特殊なサポーターを装着する方法もあります。症状の程度に関わらず非常に大事なことは、スポーツ前後の特に活動後の大腿四頭筋のストレッチングです。さらにストレッチ後に、アイシングをすると効果的です。

 オスグッド病による膝の痛みは、骨の成長が完了するに伴い軽減し将来障害が残りスポーツに支障をきたすことはほとんどありません(骨の出っ張りは残ります)。したがって充分知識を持ったコーチや指導者のもとであれば、普段のストレッチなどのケアーをしっかりし、痛みかひどくならないように練習量をコントロールすればスポーツを続けながら治療できます。 


アイシング

2007-08-20 06:19:23 | けが

 近年、日本でもトップクラスのスポーツ選手やアメリカンフットボールや野球などの競技では、運動後のアイシングは常識化してきました。しかし比較的早期にとり入れた全日本男子バレーボールチームでさえ、まだ約15年の歴史しかありません。中・高校生の間では、もっぱらケガをしたときの応急処置のみの使用が現状です。
 しかしアメリカでは、高校生レベルでも練習後のアイシングはもとより、練習前のアイシングも常識化しています。

アイシングによる効果

(1)アイシングした患部(主に皮膚表面)の温度を低下させる。
(2)細胞の新陳代謝を低下させる。アイシングはケガの応急処置にも用いられるが、それは、冷却によって血流と組織レベルでの代謝が低下するため、ダメージを受けた組織の二次的な低酸素症を抑制することができるからである。
(3)局所の炎症が軽減する(腫張〈しゅちょう〉の抑制)。
(4)痛みを和らげる(神経の伝達速度を低下させる)。
(5)血液循環への影響。
(6)筋肉の緊張を和らげるリラクゼーション効果がある。
(7)医学的にはリハビリテーション開始時期に用い、治療期間の短縮、術後の疼痛〈とうつう〉緩和などの効果を期待している。

RICE(S)処置 :急性外傷の応急処置でのアイシング

 急性外傷への安静(Rest)、冷却(Ice)、圧迫(Compression)、挙上(Elevation)、固定(Stabilization)による効果を利用した、最も代表的な処置方法です。

 
運動前のアイシング
 アイシングによって筋肉や関節の痛みに対する鎮痛効果(痛み閾値〈いきち〉の上昇)が得られますので、ウォームアップ時にはその効果を利用することで痛みを感じることなく始動できます。また、骨格筋内の感覚受容器である筋紡錘〈きんぼうすい〉の活動低下によって筋肉の緊張が緩和され、それに伴う可動域アップを目的としています。
 サーモグラフィを使っての皮膚の温度調査(写真1)では、アイシング後20分間とアイシング前とを比較すると、10℃以上の差がみられました。冷却効果が持続している時間内にウォームアップを開始すれば、疼痛を緩和した状態でより効果的な始動ができますので、スムーズに活動期へと移行できると考えられています。
 
アイシングの注意
 アイシングすることで局所の神経や筋の活動は低下していますから、アイシング後の運動はダッシュなどの俊敏な動作は行わず、ストレッチング(冷却とストレッチを組み合わせたクライオストレッチ)などの軽度なものにとどめるべきです。
 また糖尿病やアルコール性末梢神経炎などの局所の知覚神経鈍麻、リュウマチ、レイノー症(指先が冷えて白くなる)、局所の血管性循環障害をもつ人、冷却に過敏な人は要注意。アイシングによって凍傷を起こす場合があります。
 そして、前記の障害をもたない人でも、長時間冷やすと凍傷になる恐れがありますので、冷却部位に感覚がなくなってきたらアイシングを一時中断し、皮膚の温度や感覚が戻ってきてから再開してください。
 
冷却から温熱へ
 アイシングから温熱療法に変更する目安は、(1)局所の熱感がない、(2)局所の腫れ(腫張)がない、(3)局所の発赤がない、(4)局所がうっ血、充血している、(5)アイシングによる効果が半減してきたとき、(6)選手が冷却より温熱を好む場合、(7)急性外傷期が過ぎて慢性期に入った場合、などです。
 
季節による変化
 夏は、屋外で運動をすると酷使した筋肉などによって体温が上がりやすいので、アイシングによる冷却効果は得やすくなります。一方、冬は気温も低いので、練習後は素早く屋内に移動して、暖かい場所でストレッチングやアイシングを行いましょう。


野球肩

2007-07-25 10:22:36 | けが

野球肩とは、滑液包炎、棘上筋腱炎、上腕二頭筋腱炎、肩甲上神経麻痺による棘下筋萎縮、インピンジメント(impingement)症候群、上腕骨骨端線障害(リトルリーグ肩)などの投球動作によって引き起こされる、さまざまな肩関節障害の総称です。

最近は野球の技術指導において、球速を増すために加速期からフォロースルー期に前腕の回内動作を推奨していますが、肘関節が伸展した状態では肩関節の内旋が強調されやすくなります。

筋力の弱いジュニア期や壮年期の選手には、棘上筋腱などに過負荷が加わり障害の原因となりますので注意してください。技術的に速い球を投げることと、解剖的な肩への負担とは相反しているといえます。

 野球肩はオーバーヘッドスローイング動作を行うスポーツ全般で発症しますが、特に野球のピッチャー、キャッチャー、バレーボールのアタッカー、テニスのサーブ・スマッシュ時、アメリカンフットボールのQB、水泳(クロール、バタフライ)、ハンドボール、陸上競技のやり投などでも起こります。

野球の投球動作は、ワインドアップ期、コッキング期、加速期、リリース減速期、フォロースルー期の5相に大別され、それぞれの期において受傷原因が異なります。

ワインドアップ期
特別な肩への負荷は加わりません。

コッキング期
肩の外旋が強調されて肩後方の三角筋、棘上筋、棘下筋、小円筋が収縮し、前方関節包や肩甲下筋は引き伸ばされて肩前面痛の原因となります。

加速期
肩の外旋から内旋の動きが強調されて、広背筋、大胸筋、大円筋が収縮します。腕が前方に移動するときには、肘関節内側にも負荷が加わります。

リリース減速期
肩の内旋と前腕の回内が強調されて腕が前方に振り出されるため、肩後方の筋が収縮しつつ牽引されるというエクセントリックな力が生じます。よって、肩後方に痛みが発生したり、ときには肩甲上神経を圧迫(棘下筋萎縮の原因)したりします。

フォロースルー期
腕が振り抜けて肩甲骨の外転が強調され、手指は遠心力によって血行障害を起こすことがあります。 
 


RICE(ライス)処置

2007-06-30 08:07:17 | けが
先日、院長先生が怪我をした高校生の治療をしていたときにRICE処置の話をしていました。RICE処置は応急処置の基本ですので説明しておきたいと思います。

RICE(ライス)とは処置の頭文字をとって呼ばれています。

REST (レスト)・・・・安静にする
ICE (アイス)・・・・患部を冷やす
COMPRESSION(コンプレッション)・・・・圧迫する
ELEVATION(エレベーション)・・・・患部を高く保つ

です。それぞれ説明していきます。

REST (レスト)・・・・安静にする
●試合や練習を一時中断して安静にすることは、どんなケガであっても同じです。運動中止直後の安静は腫れや炎症を抑え、出血を最小限に食い止めることができます。固定には副木を利用するのが最適ですが、なければ手近にあるダンボールや板などなんでも構いません。
●その後の処置による患部の安静にはテーピングやギプス、松葉杖やクラッチの補助を用います。障害個所を早く動かしすぎると内出血などを増すだけでなく、機能障害も悪化させる恐れがあり、回復を長引かせます。ケガの状態を満足に確認しないままプレーを続行するのは避けましょう。


ICE (アイス)・・・・患部を冷やす
●突き指や捻挫、靭帯の損傷、骨折、打撲などではほとんどの場合、内出血と腫れが見られます。これらを最小限に食い止めるもっとも有効な手段が冷却です。腫れ上がる前、つまりケガの直後に行うのがポイントです。

●受傷後の冷却は組織の代謝を下げ、組織が必要とする酸素の量を減らします。その結果、組織の壊疽を防ぎ、周囲の正常な細胞を守ることになるのです。しかし、長い間冷やしすぎると細胞もダメージを受けてしまいます。
●最良の冷却方法は、氷を使ったアイスパックを皮膚に直接当てることです。凍らせたゲルパックはアイスパックよりも冷却温度が低いので、皮膚に直接当てないようにします。アイスパックを当てている時間は最高20分にとどめ、感覚がなくなればそのときに取り去ります。そして寝るまで1時間から1時間半ごとに冷却を繰り返します。障害の程度や範囲によって24~72時間これを続けます。
●ここからは、冷却時の注意事項について具体的に解説します。冷却する時間は10~20分程度が一般的ですが、その人の体質などによって適切な冷却時間は異なります。そこで、時間の目安とともに自分自身の感覚も目安として利用します。冷却するとまずジーンとする痛みを感じます。その痛みはやがて暖かく感じられるようになり、その後ぴりぴりと針に刺されるように感じます。そして、最終的に感覚がなくなります。即ち、冷却によって[痛い→暖かい→ぴりぴりしびれる→感覚がなくなる]という四つの段階をとおるのです。これを通り越して再び痛みが出始めたら、凍傷の危険性があるので冷却を止めます。基本的には感覚がなくなるまで冷却することです。


COMPRESSION(コンプレッション)・・・・圧迫する
●ほとんどの急性の障害では、すぐに圧迫を加えることは冷却と高挙とともに重要であると考えられています。腫れてくる前、つまり冷却と同時に行うのが理想的です。
●患部を圧迫することは、内出血と血腫の形成を軽減します。また圧迫することで組織間に浸出液が浸透するのを防ぎ、その吸収も促進します。ただし、あまり圧迫が強いと血液などの循環がわるくなり、症状を悪化させる可能性があるので注意が必要です。
●障害をうけたら、腫れが出てきそうな部分にパッドやフェルト、スポンジなどを当てて軽く圧迫する程度に包帯やテープを巻きます。このとき、水につけたパッドを冷凍室で冷やしておいたものがあれば、圧迫と冷却を同時に行うことができます。また、ぎりぎりと締め付けるようにはせず、パッドがずれない程度にやや強く巻くようにします。冷却は断続的に行いますが、圧迫は一日中続けます。

ELEVATION(エレベーション)・・・・患部を高く保つ
●エレベーション(高挙)とは、患部を心臓より高い位置に持ち上げることです。冷却・圧迫とともに高挙は内出血の軽減に役立ちます。
●患部を心臓よりも高い位置に持ち上げることで、流れ込む血液やリンパ液の量が減り、逆に出て行く量が増えるので、腫れを抑えて早く引かせることができるのです。
●高挙の手法は、手ならば三角巾などでつり、足ならば横になって足の位置を高く保つなどです。特に足は腫れが出やすいので、応急処置後の何日間かは就寝時に高挙を保つようにするとよいでしょう。

足関節捻挫

2007-06-17 19:07:31 | けが
足関節捻挫について

1 足関節の構成と運動

足関節捻挫は、走る。跳ぶといった足を使うスポーツに共通して多い外傷の一つです。

足関節は、脛骨、腓骨、距骨、踵骨という骨組織と、それら骨と骨を繋ぐ、脛腓靱帯、足関節外側を支持する外側々副靱帯(前距腓靱帯・踵腓靱帯・後距腓骨靱帯)、足関節内側を支持する内側々副靱帯(内側三角靱帯)という靱帯組織、関節全体を包む関節包組織、などといった組織から成り立っています。これらが協調して動き、足首は大きな可動域(関節が動ける範囲)を得ています。




2 足関節捻挫

 スポーツや、転倒時に足首の正常な可動範囲を越え、強制的に動かされた場合、関節を支持している組織に、捻る、引き伸ばされるというような過剰な負担がかかり、それら支持組織の一部や全体が損傷を受けた場合、それは、一般に「捻挫」と呼ばれる外傷の一つとなります。足関節捻挫は、その痛め方により「内反捻挫」と「外反捻挫」が存在します 。



足関節捻挫

 ○内反捻挫
      足首の痛め方 ……足関節の内返し
      痛める靱帯  ……外側々副靱帯
      
 ○外反捻挫
      足首の痛め方 ……足関節の外返し
      痛める靱帯  ……内側々副靱帯



3 足関節捻挫の多くは、内反捻挫(足首外側の痛み)



 足関節はその構造上、背屈時は骨で支持されるため、充分な安定性が得られますが、底屈時は、これに反し支持性は弱くなり、関節は緩みを生じ、内旋・内転位に傾き易くなります。この底屈状態のまま、着地してしまうと、足関節は必然的に内反を強制されることとなり、捻挫を受傷してしまうことになります。

足関節捻挫といえば、その多くが内反が強制されて受傷する内反捻挫(外側側副靱帯捻挫)で、この足関節の構造が一因となっています。

ジャンプ動作の多いバレー・バスケットでの着地時の失敗で、この内反捻挫の受傷率が高いことも、そういう理由からです。

しかも、着地失敗や、つまずく、などといった動作で受傷する内反捻挫は、足部は底屈位(つま先立ちのような姿勢)であるため、痛める靱帯は、前距腓靱帯や二分靱帯に集中します。 

4 その他の捻挫
 足首の内側は、三角靱帯という太くて強靱な靱帯で保護されており、足首は外反力に対しては強い支持力があります。しかし、この靱帯が損傷を受けた場合、大半がその土台となる骨と一緒に剥がれてしまう骨折(剥離骨折といいます。)を伴う場合があります。

また、見落としが多い捻挫として、脛骨と腓骨を繋いでいる脛腓靱帯と呼ばれる靱帯があり、この靱帯は体重を支える靱帯であるため、この靱帯が損傷され、その処置が遅れた場合、後遺症を残しやすいですが、丁寧な診察により早期発見は可能です。