最近の悲惨な事件を見るにつけみんながんばりすぎているのではないかと思うことがしばしばある。
そういう小生もいつも頑張らなくてはと思っていた。頑張ることは大事だが、頑張れない自分を発見したときに自分を責めてしまうと気分が滅入ってしまい、鬱々としてしまうのだ。
小生自身は、鬱までいかなかったが、診療内科へカウンセリングに行ったことがある。
目標通りに事が進まなかったり、思い通りにならなかったりすると自分を責めてしまうことが良くあるものだ。それがストレスの原因だろうと思う。
そんな、そんな時に下記のコラムを発見した。短いが気が楽になるコラムである。エッセイスト・斎藤由香さんが、ストレスを乗り越える力をめぐって語っている。
さいとう・ゆか サントリー株式会社健康食品事業部勤務。祖父は歌人で精神科医の斎藤茂吉、伯父は精神科医・斎藤茂太、父は作家であり精神科医の北杜夫。著書に『窓際OLトホホな朝ウフフな夜』など、窓際OLシリーズや、『モタ先生と窓際OLの人づきあいがラクになる本』など。
今年の2月、歌人の斎藤茂吉の妻である、祖母・輝子の生涯を一冊の本にまとめました。最近の報道を聞くと、「3人に1人が鬱病になる時代」と言われています。
戦争があるわけでもなく、高い学歴や財産を持っていても、心の病を抱える方々が多い。「こんなにうつうつとしている時代って何だろう?」と思った時に、89歳で亡くなるまで毅然と生きた祖母・輝子を思い出したのがきっかけです。
東京・青山に4500坪の大病院の娘に生まれ、学習院女学部に学んだ輝子が、火事で病院が焼け、その後、再建した病院も関東大震災、東京大空襲で被災。結婚した茂吉とはうまくいかず、昭和8年から昭和20年まで12年間の別居生活。
伯父の茂太、父の宗吉(北杜夫)以外に二人の娘もいたのですが、逆縁で亡くしています。でも、悲しみに負けることなく、79歳で南極、80歳でエベレスト、81歳でアラビア半島と、世界108力国を旅しました。
その輝子に育てられた伯父は生前、結婚式に呼ばれると、新郎新婦に向かって「お互いに60%で満足するんですよ」とスピーチをしていました。
当時、私は学生で、「何故ラブラブの新郎・新婦に向かって、水を差すようなことを言うんだろう?」と思っていたのですが、ある時「僕のところに来る患者さんは、みんな120%頑張った人なんです」と言ったのです。
「『雨にも負けず、風にも負けず』という言葉があるけれども、たまには雨に負けてもいい、風にも負けていい。
人生は60%で満足する。それが幸せな気持ちを持つコツです」と語ったのですが、この年になって、伯父の言葉の意味が分かるようになりました。
そう言えば友達で悩んでいる人は、美人で、高学歴で会社勤めしながら、もっと頑張らなくちゃと英会話教室に行き、自分探しに翻弄されている人が多い。
伯父は「『もっと、もっと!』という満たされない呪縛から解放されなくてはならない」、もっともっとと求めずにいられない心理を「モアモア病」と呼んで、ストレスが多い時代の生きる知恵として、「好奇心が一番の健康の秘訣。感動こそがストレスに負けない最大の秘訣です」と語っておりました。
夫との不仲、可愛い娘を亡くし、財産を失っても、いつも姿勢をまっすぐに伸ばし、人の目や人の言葉をいっさい気にすることなく80代で世界各国を旅し、「好奇心と感動」に満ちた祖母・輝子と、「モタ先生」と呼ばれて亡くなるまでユーモアにあふれていた伯父の生き方に、私は学ぷことが多いのです。
(エッセイスト)
如何でしたか?人生60%で満足することで良いんだと思うだけで気が楽になるでしょう。そう、大事なのは楽観主義ですね。