笑顔の“いずみ”を湧かせるために

千葉市若葉区都賀にあります「いずみ整骨院」のブログです。

笑顔の効用

2007-10-25 13:21:22 | 管理人の一言

笑顔を見れば、心が和らいだり、うれしい気持ちになったりするものだ。落ち込んでいるとき、他人の笑顔を見て、ホッとすることもあるのでは?なぜ、にこやかな表情は、人を快くさせるのだろうし「笑顔と心の関係」について、上手な笑顔の使い方も含めつつ、認知心理学を専門とする三宮真智子・鳴門教育大学教授に語ってもらった。

にこやかな表情は気持ちを明るくする

――笑顔は、対人コミュニケーションを円滑にします。どんなメカニズムが働いているのでしょうか。

 会話に際して、表情は大きな意味をもちます。初対面の人と話す場合は特に、そう。
 
 人は、相手が自分にに対し、少なくとも嫌悪感やネガティブな感情を持たないでほしいと思いますから、言語コミュニケーションだけでなく、顔面表情や身振り、手振り、声の調子といった非言語コミュニケーションも大いに活用して、自分に対する相手の感情を推測します。
 
 非言語情報は、ある意味、言語情報以上に、相手を知る手掛かりとなります。言葉の表現は慎重に選んで使う一方、顔の表情はわりと素直に出ますので、表情は言葉に比べ、相手にとって信用度は高いのです。少々ぶっきらぼうな言葉遣いであっても、顔の表情がニコニコしていれば、相手は好意的に感じてくれます。
 
 逆に、いくら丁寧な言葉を用いても、無表情であったり、顔がこわばっていたりすると、相手に与える印象はあまりよくないでしょう。
 
 笑顔は、会話相手によりよい印象を与えるための最適な手段です。心理学では「印象管理」の手だての一つとして、よく使われています。もっとも、満面の笑みがずっと続くと、不目然ですけれど……(笑い)。
 
 
――笑顔によって、自分自身の気持ちも和んだり、明るくなったりしまそうですね。

 心理学のジェームズ=ランゲ説では「楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しい」とも諭じられています。少々嫌なことがあっても、笑顔を続けることで、それを乗り越えられるのではないでしょうか。
 
 笑顔を意識的につくることによっても、心を明るくする効果は十分に期待できます。確かに、自己暗示や錯覚であるかもしれないけれど、自分にとって好影響になるならば、笑顔をうまく活用すればいい、と思います。
 
ミスで落ち込む部下を励ますコツは?

――例えば、部下が仕事でミスをした場合、上司は叱らなければなりません。笑顔を用いて、上手に叱る方法はありますか。

 最初から最後まで、叱り続けるべきではないでしょう。叱ることは、人格を否定することではありません。上司はまず、その点を心に留めておきたいものです。貝体的には、上司は失敗の原因を明確にして、そこを直すよう、部下に伝えることが大切です。その上で、部下が意気消沈していたり、萎縮しているならば、少し笑顔を覗かせながら、心のケアを入れてあげましょう。
 
 満面の笑みでは、ダメですよ。部下は「大したミスではなかったんだ」と、誤解してしまいますから(笑い)。
 
――仕事であれ、ほかの何かであれ、部下が上司の命令や頼みを断る際は、どうすれば?


 とても難しいことですね。一つ言えることとして、失礼なく、きちんと断りたいならば、必要以上に笑顔を見せない方がいいでしょう。あまり笑顔をつくり過ぎると、「口では拒否しているが、本心は違うんだな」などと、勘違いされる恐れもありますから。
 
――友人・知人と対話するとき、緊張する人がいます。その場合、どんな笑顔の使い方が考えられますか。

無理のない笑顔で接することが、大切でしょう。頑張って笑顔をつくっていると、それがどうしてもぎこちなくなるからです。話の内容が面白くなくとも、にこやかな表情で、あいづちをうちながら、耳を傾ければ、相手は悪い気はしません。無理に褒める必要はありません。「聞き上手」になろうと思えばいいのではないでしょうか。

少しずつ練習すればいずれ習慣化

――笑顔をつくろうと努力することは、心の負担(ストレス)となるようにも思えますが……。

 そうかもしれません。けれど、人間嫌いでもないのに無愛想・無表情な人であれぱ、誤解されないためにも、笑顔づくりに励んだ方がいい、と考えます。
 
 表情は少しずつ練習すれば、いずれ習慣化されます。どんな人でも、笑った顔の方が感じよく見えますね。それに、だれかと話しているとき、自分が笑顔ならば、相手もそれにつられて、笑顔になります。
 
 つまり、同調するのです。そうなれば、人間関係も円滑に築くことができます。表情がにこやかであることは、自分にとっても、他人にとっても好ましいわけです。笑顔づくりの練習をするにあたり、私は鏡を使うよりも、親しい人に注意してもらうことを勧めます。

  鏡の前では、"自分の顔を見ている"という意識が働きますので、普段の表情は分かりません。常日ごろ、しかめっ面や恐い顔をすることが多い人は、そのつど注意してもらい、直す方がより効果的である、と思います。
  
――古い世代の日本人男性であれば、「笑顔をあまり見せるべきではない」と考える人も少なくないのでは?

 威厳が損なわれるからでしょうね。昔はよく、そう言われたようです。世代の違いによって、笑顔の与える印象も違うといえます。また、気持ちをきちんと伝える欧米人であれば、笑顔もはっきりしていますのその意味では、"表情の文化差"もあるでしょう。
 
 実際、欧米の人たちからすれば、日本人は表情に乏しく、喜んでいても、心から喜んでいないように思えることもあるとか。同じ笑顔でも、文化や世代、状況の違いによって、その意味合いも変化します。
 
 とはいえ、冒頭でも話したように、笑顔の印象は、他の表情に比べ、はるかに好ましい。人間味あふれる、温かい社会を築くためにも、世の中に笑顔の人が増えることは、とてもいいこと――私は、そう思いますね。

さんのみや・まちこ

大阪府生まれ。学術博士。専門は、認知心理学、教育工学、教育心理学。著書に『考える心のしくみ一カナリア学園の物語』(北大路書房)、『認知心理学4思考』(共薯、東京大学出版会)ほか。ホームページはhttp://www.naruto-u.ac.jp~sannomiy/