シネマの森の迷走と探索

FBに投稿した映画作品紹介を整理し、再掲します。

☆は「満足度」(☆5個満点、★で補足)。

瀬々敬久監督「ラーゲリより愛をこめて」(2022年、133分)

2023-11-05 23:33:01 | 日本・2020年~

原作は辺見じゅんによるノンフィクション『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』です。

舞台はアジア・太平洋戦争期の満州、そしてソ連の強制収容所。

昭和20年(1945年)、妻モジミ(北川景子)と4人の幼い子供たちとハルピンで暮らしていた山本幡男(二宮和也)。アジア・太平洋戦争が激化するなか、現地招集で兵士となった幡男は、日本に帰還した妻子と離ればなれになり、ロシア軍の捕虜とされます。スベルドロフスク収容所、さらにハバロフスクの収容所に送られた幡男たちは、やっとのことで帰国のための帰還列車に乗車しましたが、途中で下車を命じられ、別の収容所へ。

冬期に零下40度にもなる過酷なシベリアで、強制労働に従事する幡男たち。生きる気力を失った仲間たちを、「諦めるな」と励まし続ける幡男。

その後、幡男は体調を崩します。彼をもっと設備の整った病院に移すことをもとめ、日本人捕虜たちは松田一等兵(松坂桃李)を先頭にストライキ。

2週間で病院から戻された幡男。咽頭癌の末期との診断でした。そんな彼に遺書を書くことを勧める捕虜の団長。

幡男は、1954年に45才で亡くなります。遺書を記したノートは没収。

1956年、ようやく帰国がかなった日本軍捕虜たちは、翌年から、収容所の仲間たちは幡男の家族の家を訪ね、記憶して来た幡男の遺書の内容を伝えます。収容所では日本語の書類は没収され、仲間たちは幡男の遺書を分担で暗記していたのです。
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エミール・アルドリーノ監督「ダーティ・ダンシング」(アメリカ、1987年、101分)

2023-11-05 23:30:06 | アメリカ・1980年~
舞台はキャッツキル山地にあるケラーマン。

1963年の夏、ここに家族向けリゾートに、裕福なアメリカ人家族と一緒にやってきた17歳のニューヨーカー、ベイビーことフランシス・ハウスマン(ジェニファー・グレイ)がダンスのインストラクター、労働者階級に属するジョニーと出会い、愛に目覚めていく物語。

60年代のヒット・ナンバーと官能的ダンスが続きます。

ふたり姉妹の妹である彼女は大学で開発途上国の経済学を学び、平和部隊でボランティアに取り組むつもりです。父ジェイク(ジェリー・オーバック)は、リゾートのオーナー、マックス・ケラーマン(ジャック・ウェストン)の担当医で友人。

滞在中ベイビーはリゾートでダンスのインストラクターを務め、エンタテイメント・スタッフのリーダーであるジョニー・キャッスル(パトリック・スウェイジ)に親近感を覚えます。特別にもうけられた従業員控室で、彼らのシークレット・パーティーと彼らが踊る「ダーティ・ダンシング」、マンボを初めて目にします。このダンスに興味を持ったベイビーはジョニーに即興でダンスを教わります。

その後ベイビーは、ジョニーのダンス・パートナー、ペニー・ジョンソン(シンシア・ローズ)がロビー・グールド(マックス・カンター)の子を妊娠して取り乱す場面に出くわしますが・・・。
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マキノ雅弘監督「色ごと師春団治」(1965年、89分)

2023-11-04 23:35:35 | 日本・1960年~


舞台は大正から昭和にかけての大坂、法善寺横丁界隈(二度行きました)。桂春団治の破天荒な半生が描かれています。幼ななじみの車夫、耐え続ける妻、腐れ縁の後家、彼の子を産む京都の娘が、不甲斐ない春団治を人情で包みます。

大阪ミナミの寄席「花月」で前座を勤める桂春団治(藤山寛美)。型破りの落語と独特の話術で人気を博します。

生来の女好きと酒好きがたたり、その日暮しの毎日。この春団治には、真打ち小文枝の十八番を横取りして前座で演ってしまう無軌道さがある反面、人情にもろく世話好きで、人力車夫・力松(長門裕之)や小料理屋の女中・おたま(南田洋子)の面倒をみています。

客の好みを知り、流行を巧みにとり入れた春団治の落語。人気は上々。しかし、女道楽は募る一方で、夫婦気どりのおたまから足が遠のいています。

とくに御ひいき筋、古着屋岩井辰の若後家・お千代(丘さとみ)を口説きおとし、春団治はお千代の家に入りびたりです。

そんなとき、京都の宿屋の娘おとき(富司純子)が身重の身体で春団治を訪れます。やがて、春子(藤山直子)という娘が生れます。

春団治の放蕩はいっこうにやみません。お千代と別れてくれと泣いて懇願するおときに愛想をつかし、一人家を出ていきます。

それから六年後、ある日、レコード会社との契約違反で差し押えを喰らいます。これを知ったおたまは何と・・・。その矢先、力松が危篤に・・・。
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市川崑監督「おはん」(1984年、113分)

2023-11-03 23:37:26 | 日本・1980年~

本作品を観るのは2回目です。20年前に初めて観ましたが、あらかた忘れていました。

原作は宇野千代による同名小説です。

舞台は大正時代の関西の田舎町。

控えめな薄幸の美人である妻のおはんと勝ち気な性格の愛人おかよという正反対の性格の女性の間で揺れる、優柔不断な幸吉の情愛物語。

ほとんど商いのていをなしていない古道具屋を営む幸吉(石坂浩二)は、昔なじんだ藝者で、ふたりの舞妓を抱えて置屋稼業のおかよ(大原麗子)の家に住み着いています。彼にはおはん(吉永小百合)という妻がいましたが、離婚をせず、彼女は親元に戻って暮らしています。

ある夏の日、幸吉は小さな町にある橋で、7年前ぶりにおはんをみかけます。いま暮らしている家に一度、よってくれと誘う幸吉。おはんは幸吉を思い続けている様子です。というのもおはんには幸吉との間にできた、悟という男の子いたのです。

後日、おはんが店に遊びに来て、ふたりはよりを戻します。何も知らないおかよは幸吉に、姉の娘、お仙(香川三千)を養女にすると嬉しそうに報告。
幸吉とおはんは逢瀬を重ねますが・・・。

ミヤコ蝶々が味を出して好演です。
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東陽一監督「サード」(1978年、103分)

2023-11-02 23:39:50 | 日本・1970年~


原作は軒上治による小説「九月の街」。これを寺山修司が脚色しました。

少年院を舞台に、少年の日常と過去を描いたドラマです。映像のスタイルがドキュメンタリータッチです。起床、食事、掃除、面会人との対話・・・。

タイトルの「サード」は、主人公のあだ名です。高校野球部で三塁手として活躍していたからです。

そのサード(永島敏行)は、数学ⅡBが得意だった「ⅡB」(吉田次昭)とともに少年院に収監されています。ここの日常は、単調そのもの。毎日をいかにやり過ごすかが、頭に浮かぶ唯一のこと。規則にしばれ、「遊ぶこと」は禁じられています。

サードがここに入れられたのは、傷害事件を起こしたからです。その発端は彼がⅡB、新聞部とテニス部の女の子(森下愛子、志方亜紀子)の4人がつるんで「どこか大きな町に行こう」ということになり、そのためにはお金が必要になり、いかがわしい仕事にかかわったことにありました。

仕事は当初、順調にいっていましたが・・・。

歌手の島倉千代子が、サードの母親役で出演しています。
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