フランスの貧しい若い共働き夫婦の喜びと悲しみを,宝くじの当り券をめぐる騒動のなかに、細やかなタッチで綴った傑作です。
アントワーヌ(ロジェ・ピゴ)とアントワネット(クレール・マフェ)は,共働きの若い夫婦。アントワーヌは印刷関係の仕事,アントワネットはデパートの写真部門で働いていました。
二人はアパート暮らし。生活は決して楽ではないですが,隣人たちと上手に付き合って毎日を幸せに送っていました。
映画の前半,フランスの人々の生活が丁寧に描かれています。仕事場からの帰り道での買い物,夕食のチーズを少し残して明日のサンドイッチに使おうというセリフ,碍子を使ってアンテナから線をひき旧式ラジオを利用しようとする工夫,等々。
登場人物は個性的です。どちらかとうと胡散臭い人間を代表する工場長,商店主,デパートの上役。それに対して,若い二人とともにアパートに住む人たちはボクサー,夜警,音楽家,工場労働者,キップ売り場に勤める女性など貧しいが楽天的な人たちです。
アントワネットは美人,男に声をかけられることも多い様子。アントワーヌはそれが心配です。
この若い夫婦が買った宝くじが当ります。十万フランの賞金。その日暮らし同然の生活をしていた二人のものになるはずの金,ストーリーはこのことをめぐって展開します。
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