陪審員制度は,日本の司法制度に組み込まれていないので分かりにくい(日本では裁判員制度が2009年から施行されている)。簡単に言えば,一般市民から選ばれた陪審員が審判に参与し,事実の有無などを評決する制度である。
この作品(ヘンリー・フォンダ主演)はほとんど有罪が確定していた殺人容疑の18歳の若者に対して,「証拠が希薄」と有罪に疑問を持った一人の陪審員がねばり強い議論を重ねて陪審員会の結論を無罪と評決せしめたプロセスを描いている。
陪審員制度がどういうものかがよく分かるうえ,議論のプロセスがドラマチックに構成され,真実を明らかにするにはどれほど勇気とエネルギーとが必要であるかが気迫をもって描かれている。
死刑になる寸前で少年は,救われる。12人の陪審員は,長い裁判所の階段をおり,それぞれの家路につく。陪審員制度の難しさ,審議の重要性を手に取るように,息もつかせぬ緊迫感でまとめている。
第7回(1957年度)ベルリン国際映画祭金熊賞。
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