20世紀初頭、ニューヨークの下町、ブルックリンに住むアイルランド系移民の貧し一家の生活と哀歓を描いた作品です。
ベティ・スミスの長編小説『ブルックリンに一本の木は育つ』(この映画の原題です)の映画化です。
家族愛、とくに父ジョニーと娘の愛情が印象的です。ジョニーは生活力が全くない人間ですが、彼のまわりでは笑いや歌がたえません。転居先の屋根裏部屋におかれたピアノでジョニーがひきながら歌うスコットランド民謡は、「アニーローリー」です。その父は厳しい生活のなか仕事を探しているさなか、倒れて亡くなります。
窓から見える木が切られて、「木が殺された」と言う娘にかつてジョニーは諭した。「木は殺せない。木は死なない。誰が植えたわけでもないのにセメントを破って生まれた。そんな力は誰にもおさえられない」と。
最後の場面、フランシーと弟のニーリィは、父ジョニーの言ったとおり、しっかり大きく成長している木を感慨深げに眺めるのでした。
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