遠藤周作による小説「闇のよぶ声」の映画化です。ミステリー・タッチ。
稲川圭子(中村久美)は結婚をひかえていますが、フィアンセの田村樹生(小林薫)は三人の兄が蒸発しノイローゼ気味。病院(精神科)を訪れ、医師の会沢(高橋悦史)に相談します。
樹生は熊本の原田家から東京に来て、田村家の養子になりました。熊本の長兄・順吉(藤田まこと)と沼津の三兄・捷平とはほとんど交流がなく、東海村の次兄・和生(渡瀬恒彦)とだけは親しかったのでその失踪がショックでした。
会沢はノイローゼの原因を解明するため、樹生の夢を記録してくれと頼みます。夢が近未来の事態を予見することがあるからです。それを聞いて、樹生は和生が失踪前に見た、長いトンネル、線路、城跡の出る夢の話をします。
会沢、圭子、樹生は、和生の夢の謎を追い樹生の兄たちの家々を訪ねます。和生が沼津に住む捷平の失踪の謎を探りに行くと、そこには捷平が失踪前に、熊本に住む彼と長兄の妻が写っている写真を持ちかえったことがわかります。その写真には、二人の背後に謎の老人が写っていました。和生はその写真を捷平の家から持ち出した後に、蒸発したのです。
熊本を訪れた圭子は、長兄の順吉の妻ミツ(宮下順子)の兄だという久世豊吉(米倉斉加年)が順吉の描いた絵を保管していました。そこにも、捷平の写真に写っている老人が描かれていて無気味そのもの・・・。