林真理子のミルキーという短編集の中にある、ワインの話は面白かった。
別に普通のワイン好きの女性が主人公で、「私」がその人について書いているだけなんだけど、何故か最期まで読まされる。他人の人生を少し垣間見れたという感じかな。まあどちらかと言うと週刊誌ネタをふくらませて、小説にしたという感じだね。
それでも微妙に知性を感じさせる答えのない人間的問いが書かれていて面白い。まあそう言う人間的問いをもう少し詳しく説明してくれたらもっと面白いになと思う。人物描写はかなり細かくて面白いんだけど、「問い」の説明が少ないので、腑に落ちない感じだ。
この話は何か取材して、それに基づいて書いたような感じたけど、週刊誌からネタをもらって書いたのかなってな気もする。
小説を書く原点ってやはり書きたいという気持ちと、書くのが好きという気持ちからであって、それ以外のことは後から付けたものなんだろうなって思いますね。
ちなみに、小説みたいなものを書き始めると、過去の文豪は別にして、小説をどうも楽しんで読めなくなる気がします。どうやって書いたんだろうとか、何で書いたんだろうとか、構成はどんな感じかとか、そんな感じで読んでしまって作品そのものを楽しむことはできなくなる気がします。描写の上手さや、構成の上手さなどばかり目が行ってしまいます。
ネタ探しの読書は、すると思いますが。
ってな感じかな。