いせ九条の会

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四川大地震救援のための自衛隊機派遣の見送りに思う/山崎孝

2008-05-31 | ご投稿
【四川大地震:自衛隊機派遣見送り 「成果」焦った?日本】(2008年5月30日付毎日新聞)

 政府が中国・四川大地震の被災地への自衛隊機派遣を見送った背景には、中国側の「要請」をめぐるボタンの掛け違いがあった。その中で、政府内には歴史的な外交成果を狙う焦りも存在し、それが「自衛隊派遣」の独り歩きを招いた側面もありそうだ。

 「昨日、北京の日本大使館に中国政府から要請がありました」

 中国からテントや毛布などの物資の輸送のための自衛隊派遣を要請されたと発表したのは28日午後の町村信孝官房長官の会見。町村氏は「輸送手段について自衛隊によるものを含めて要請があった」と説明した。

 ところが、ある政府関係者は「要請したのは中国軍の少佐」と明かす。少佐は防衛省だと3佐に相当し、陸海空幕僚監部の課長にも満たないレベル。初の自衛隊派遣という歴史的な局面で、課長にも満たない軍人が要請してきたことになる。

 「少佐と聞いた時、この話は大丈夫なのかと感じた」と政府関係者。首相周辺も「中国政府が意思決定したものでも、権威あるものでもなかった。その意味では最初から自衛隊派遣の要請はなかったとも言える」と語る。

 つまり、単なる打診だった可能性があるのだが、中国軍の一部による一つのアイデアは日本政府に伝わる過程で要請に姿を変えていったようだ。

 そのころ、米軍はC17輸送機でハワイから支援物資を四川省・成都まで空輸し、中国軍関係者の出迎えを受けていた。「米軍も受け入れているわけで、過去の経緯からあまり自衛隊を特別扱いしすぎる必要はない」(外務省幹部)との楽観論が広がり、大々的に報道されたこともあって政府はどんどん前のめりになっていった。

 政府関係者は「中国から求められた」と口をそろえたが、実際には日本側が持ち出していた。12日の地震発生の直後、政府は(1)資金援助(2)物資援助(3)緊急援助隊の派遣(4)医療チームの派遣--の4提案とともに「自衛隊の派遣を要請してはどうか」と提案した。

 検討されたC130輸送機での支援内容は、数千万人規模という被害に比べ、テントや毛布の量がかなり限定的。外務、防衛両省には「実現すれば日中関係にとって画期的で、関係改善の象徴的出来事になる」と色めく幹部がいた。自衛隊派遣案がもともと人道支援ではなく、政治的意味合いから出発していたわけで、政府関係者からは「最終的に見送られたのは必然」との声も聞かれる。【古本陽荘】

【コメント】四川大地震に対する緊急支援は国際緊急援助法に基づいて支援隊が組織され派遣されています。私は国際緊急援助法に対応した大量物資の輸送のための飛行機を政府が保有して、平常時にはその飛行機を民間に使用と運用を委託しておけば、緊急輸送の対応を容易に取れると思います。自衛隊の飛行機を出す必要はなくなります。今回は民間機を使用するようです。

政権党である自民党の中には、旧日本軍が中国で行った南京虐殺事件を否定するような勢力が存在しています。これらの勢力の動きを政府が封じ込めない限り、中国国民から日本は信用されないと思います。現在はこれら新自由主義史観の勢力が教科書検定に影響を及ぼしています。

対日「慰安婦」決議の一つで、2007年12月13日、欧州議会が採択した決議の中にある《日本の人々と政府に対して、あらゆる国家の道徳的義務として、自国の歴史全体を認識すること。そして、慰安婦に関連することを含め1930年代から1940年代にかけての日本の行為を認識するために、さらなる手段をとることを奨励し、日本政府にこれらの事例を現在及び未来の世代に教育することを要請》されるような状況を日本が克服をすれば、自衛隊の派遣を中国国民は受容れると思います。

そして、根本的にはアジア侵略の歴史の教訓から生まれた日本国憲法を守り活かす外交政策を取らなければ、アジアの国の人たちからの真の信用は受けないと思います。