いせ九条の会

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馬英九政権は「台湾をピースメーカーにする」/山崎孝

2008-05-19 | ご投稿
産経新聞は《防衛省の高見沢将林防衛政策局長は本年3月13日の自民党安全保障調査会で、台湾海峡有事について「中国から『周辺事態(認定)はどうするのか』と聞かれれば、『日本は当然する』(と答える)。日米安保ではなく、これは日本自身の安全保障の問題だ」と述べ、周辺事態法適用の可能性に言及した。これまで政府は台湾有事が同法の適用対象となるか明確にしてこなかった。発言は台湾の武力統一も視野に急激な軍備増強を進める中国への防衛当局の強い警戒感を示したものといえる》と伝えています。

高見沢将林防衛政策局長の観点は、自らの組織の有用性を強調する職業柄から軍事的な見方からしていません。

5月20日に台湾の政権は、台湾独立志向でトラベルメーカーと言われた民進党の陳水扁政権から変わり、国民党の馬英九政権が発足します。馬英九政権は台湾海峡情勢を安定させ「台湾をピースメーカーにする」ことを目標にして友好関係・安定した関係を図ろうとしています。(朝日新聞5月15日の記事の情報)

この友好関係をよく表す出来事が起きています。5月16日に中国の四川大地震に対して台湾からの救援チームが現地入りしました。台湾の台北市の救援チームで1999年の台湾大地震の救援活動をしたチームだと言うことです。

中国と台湾の経済関係は多くの台湾企業が中国本土に進出しています。これを踏まえて中台の飛行機の直行便は今まで旧正月だけだったのを、台北と上海間の直行便を週末運行させ、年内に平日も運行し、来年は定期便化を計る。

台湾への中国からの観光客は2007年の8万人から年間で110万人にする。

人民元と台湾ドルの両替が駄目だったのを可能にする。投資の制限をなくして台湾から中国本土へは40%の枠を大幅に緩和し、中国から台湾へは外資並みに解放することにしています。(朝日新聞5月15日の記事の情報)

台湾有事に関係して日米同盟における集団的自衛権行使の可能が考えられています。軍事的な衝突が起これば双方が無傷でおられる筈はありません。日本の安全保障は軍事的に対処することより、中台宥和に日本が手助けすることの方がはるかに効果的です。

東北アジアの平和と安定を図ろうとする6者協議も大きく進展しています。米国は人道支援も行ない始めました。日本は制裁一本槍ではなく人道支援はすべきです。そして6者協議に積極的にかかわり成功に寄与すべきです。平和憲法の下で粘り強く平和外交をすることが日本の生きる道だと思います。

四川大地震の救援に台湾の他に日本、韓国、ロシア、シンガポールが救援隊を派遣します。これは世界が東西陣営に分かれて対立する冷戦時代を克服したからこそ生まれた状況だと思います。四川大地震はとても悲しい出来事を人々に齎していますが、同時に中国国内はもとより世界中で救援資金を集まり、同じ人間である「義」に基づく助け合いの状況が数多く生まれています。このことは被災地の人々だけでなく、世界の人々に励ましを与えていると思います。

日本国憲法前文は「人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚する」ことが述べられています。私は「人間相互の関係を支配する崇高な理想」の一つは、困った時に助け合う精神だと思うのです。

軍事力に依拠して自らの安全保障を図ろうとすることは、人間を信じなくていつまでも疑心暗鬼の世界に生きることになるのだと思います。