いせ九条の会

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福田政権 不人気の本質/山崎孝

2008-05-22 | ご投稿
5月18日に開催した「いせ九条の会」の総会の運動方針に、憲法9条の守る問題と国民生活を守る問題と結びつけて活動していくことが打ち出されました。

憲法9条や憲法13条、憲法25条を活かす問題は、政府の政治姿勢と対峙して考える問題です。

憲法9条の改変の問題は、冷戦時代の遺物である、日本の歴代政府が米国に重きをおいて日本の安全保障を考える姿勢から来るもので、米国の要求と日本の政治家の軍事指向とが結びついて起こっていると思います。

憲法13条や憲法25条の理念を政府が守ろうとしないのは、自民党が大企業から政治献金を受けていることから、大企業に有利な政策を実行する政治姿勢にあります。国家財政が逼迫している理由に庶民には負担を増大させるが、大企業はバブル期以上の利益を上げているのに大企業には増税はしません。

私は以上のような認識に立って、福田政権の不人気の本質を考えた事柄を新聞に投書しました。

2008年5月22日付朝日新聞「声」欄掲載文【顔を替えても政権浮揚せぬ】

 朝日新聞社が、道路特定財源をめぐる再可決に合わせて、自民・民主両党の47都道府県連に取材した結果は、自民党で次期衆院選を福田首相で戦うべきだと答えたのは12道県で、22府県が新しい党首でと考えていることが分かったと報道された。

今日の福田政権の不人気は、福田首相の指導力だけが原因ではない。小泉政権下で決定された規制緩和や後期高齢者医療制度が響いている。選挙の顔を替えて政権党を続けられる問題ではない。

労働者の格差問題の要因は、労働市場の規制緩和政策にあり、この政策は大企業には景気の変動に応じて、安価な労働力を確保できる大きなメリットを生んだ。高齢者の怒りをかう後期高齢者医療制度は、医療制度に国費の投入を抑えることを主眼にしたものであった。

与党議員がこれら政策の内容を庶民の立場に立って判断しなかったことが、力の弱い国民を困らすことになった。与党議員はこのことを深く認識し、自らの政治姿勢を正さねばならない問題を有権者から突きつけられていることを自覚すべきだ。

【関連文章】2007年7月22日付朝日新聞「声」欄掲載文【憲法を生かし いのちを守ろう】

 本紙「ポリティカ日本」(16日)は、がんで余命半年と宣告された現職参院議員が「私は国会議員の仕事は人々のいのちを守ることと思った」と語る演説を紹介し、「命は大切にされているか」という観点で、政治や社会を論じていた。その結果、参院選の争点の奥底にあるほんとの争点は、「『いのちを大切にすること』から出発しているかどうかということなんだなと私も思った」と書いていた。同感だ。

 命を大切にすることを出発点にしている、と言えるのが日本国憲法だ。日中戦争、太平洋戦争を起こした日本は、憲法前文で政府の行為により再び戦争の惨禍を起こさないと決意し、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持すると述べる。第9条では国家の手で人命を奪わない考えの戦争放棄の規定をした。

命を大切にすることと密接に結びついている個人の尊重を第13条でうたい、第25条では健康で文化的な最低限度の生活の保障を政府に課している。

政府が危険なイラクに自衛隊を派遣している現実やとてもひどい格差社会を見れば、憲法の精神を生かす政治こそが、国民の命と、生活を守ることになる。