いせ九条の会

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集団的自衛権の解釈変更 自民小委が検討開始/山崎孝

2006-11-26 | ご投稿
【集団的自衛権の解釈変更 自民小委が検討開始】(2006年11月24日「しんぶん赤旗」電子版)

 憲法が禁じている集団的自衛権の行使や海外での武力行使を可能にするため、自民党の防衛政策検討小委員会(委員長・石破茂元防衛庁長官)が解釈変更の検討をはじめています。安倍首相の意向に沿うものです。

 15日の同小委員会で石破委員長は、集団的自衛権について「政府の解釈と国際的な定義が違う。集団的自衛権の定義を国際的な標準に合わせる必要がある」と発言。密接な関係にある他国への攻撃を自国への攻撃とみなすべきだとの認識を示しました。

 「集団的自衛権の法的検討」と題する小委員会の討議資料では、「憲法第九条第一項が禁じているのは『国際紛争解決の手段としての武力による威嚇または武力の行使』であり、『国際紛争解決の手段ではない武力の行使』は認められる」と解釈すべきだとしています。

 国連軍への参加や集団的自衛権行使を認めない政府見解の論拠となっている「自衛権は必要最小限度しか行使できない」との論理を批判。さらに、海外での武力行使について「個別的・集団的自衛権の行使」や「集団安全保障への参加」であれば「違法性が阻却(しりぞけること)され行使可能」との判断がなされるべきだと主張しています。

 石破小委員会の検討は、戦争放棄と戦力不保持・交戦権否認を定めた憲法九条のもとで、無理な解釈を積み重ねてきた政府見解の弱点をつくかたちで、さらなる解釈改憲を提起。自衛隊の海外での武力行使に道を開こうとするものです。(以上)

『国際紛争解決の手段ではない武力の行使』はあるのでしょうか。今年起きたイスラエルとヒズボラの武力衝突は、レバノン紛争と呼ばれています。紛争が拡大したのが戦争ではないのでしょうか。今年のレバノンでの紛争に対して国連は停戦監視のための国際部隊を派遣しています。国連憲章第42条の武力制裁は排除しています。

《「自衛権は必要最小限度しか行使できない」との論理を批判》について考えて見ますと、国連憲章の《第51条〔自衛権〕この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持又は回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。》と規定されています。この規定を見れば、「自衛権は必要最小限度しか行使できない」という趣旨にも読み取れます。集団的自衛権行使そのものも抑制的に行わなければならないと規定しています。

国連平和維持活動は、紛争を起こした当事者間の戦闘行動が終息し停戦に合意した後に国連が国際部隊を派遣するのを原則としています。停戦監視活動を行っているときの偶発的な衝突には、自衛が原則で衝突を拡大させるような行動は出来ません。

それに国連平和維持活動はいろいろな分野があり、医療や補修といった仕事もあります。国連から要求もされないのに、憲法を変えてまで海外で武力行使をする必要はありません。

「集団安全保障への参加」は、イラクの大量破壊兵器の脅威を取り除くとして、イラク攻撃をした米国を中軸とした有志連合への参加を「集団安全保障への参加」と主張する可能性があります。自民党はいろいろ口実をもうけて、日米同盟における集団的自衛権行使の突破口を見出したいだけです。。