いせ九条の会

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憲法の書き手たちの政治的資質を検証する/山崎孝

2006-11-09 | ご投稿
安倍首相は10月31日、外国メディアに、改憲理由として、現行憲法は独立前に書かれた。自分たちの手で憲法を書くという精神が新しい時代を切り開くなどと述べました。

この言葉が説得力を持つためには、憲法の書き手たちの政治的資質が自主独立の精神を持ち、世界の情勢や動向を正確に捉えて未来を展望していなければなりません。

この視点で小泉政権の政策と安倍首相の政治資質を検証して見てみます。

9月3日、安倍首相は、国会で「米国の武力攻撃を支持したのは正しい決定だった」と述べています。この言葉が世界の情勢・動向を的確に把握しているのか。米国の機密文書「国家情報評価」が、イラク戦争が逆にテロを拡散させたと結論付けたことを挙げるだけでもイラク戦争の黒白はついています。

ついでに言えば、11月7日に投票した米国中間選挙の結果、勝利をおさめ下院議長に就任する見通しになったペロシ民主党院内総務は「破滅的な道のりを歩み続けるわけにはいかない。イラクで新しい方向が必要だ」(共同通信ニュース)だと述べて、イラク政策の転換が必要と述べています。また、中間選挙の敗北に直面して、ブッシュ大統領は「新しい考え方が必要だ」(NHKニュース)と述べて、度々の辞任要求を斥けてきて、イラク政策の正しさの象徴とも言うべきだったラムズフェルド国防長官の辞任を認めざるを得なくなりました。安倍首相はイラク政策のブッシュ路線を支持してきており、これを見ても情勢と動向を正確に把握していたとはいません。

自民党政府の対米追従外交を見れば、自主独立の精神はきわめて弱い。そのために、小泉前首相は、飼い主に尻尾を振るポチと揶揄されてしまった。安倍晋三氏はその時は政権党の要職にありました。安倍首相は、日米の双務性を強調して集団的自衛権行使の必要を主張するが、集団的自衛権行使の問題は、2001年のアーミテージ・リポート」の日本の集団的自衛権行使の要求やアフガン戦争時に「旗を見せろ」と言われたように、もともとは米国の従来からの要求でした。

アジアの動向は、かつては厳しく対立していた中韓、南北朝鮮、米中、米ロが6者協議という多国間の枠組みで、北朝鮮の言動に大変てこずりながらも、東アジアの平和と安定を追求することを諦めてはいません。欧州連合の成功を見習い、アジア諸国は多国間で平和と安定を追求する東アジア共同体構想の話し合いを始めました。

改憲して、6社協議の目的と論理的に矛盾する中国や北朝鮮を敵国にして想定して、二国間同盟である日米同盟を更に強化していく時代ではありません。容易ではないにしても集団安全保障体制は一番合理的な方策だと思います。日米同盟の強化を前提にした集団的自衛権行使には反対です。